アラン・レイスの三類型
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アラン・レイスの三類型(アラン・レイスのさんるいけい)とは、キリスト教の救済論における三類型。アラン・レイス(Alan Race)の説[1][2]。
排他主義
[編集]→詳細は「宗教的排他主義」を参照
特定の宗教を絶対視する立場。歴史的にキリスト教は、「唯一の中保者」[3]、「唯一の救い主」[4]、「神の独り子」[5]である主イエス・キリストのみ認める排他主義であった[6]。またこの信仰が世界宣教の原動力となった[7]。1980年代まで「排他主義」と呼ばれていたこの立場は、キリスト教信仰の個別制・特徴的な性質を主張することから、現在では一般に「特殊主義」と言われるようになっている。[8]
包括主義
[編集]→詳細は「宗教的包括主義」を参照
カール・ラーナーの無名のキリスト者論。ライムンド・パニカーの『ヒンズー教の知られざるキリスト』。
多元主義
[編集]→詳細は「宗教多元主義」を参照
ジョン・ヒックの多元主義。あらゆる宗教が唯一の神的実存のまわりをまわるとするコペルニクス的転回を主張。キリスト中心の従来のキリスト教をキリストを中心とする地球中心説(天動説)とし、神を太陽にたとえ、神を中心とする太陽中心説(地動説)を唱える。キリスト教も唯一の神である太陽の周囲をまわる諸宗教の一つであるとする。ジョン・ヒックはキリスト中心主義から神を中心とするパラダイムシフトをなし、ルビコン川を渡った。[9][10]
日本のカトリック作家遠藤周作もジョン・ヒックの多元主義を受け入れている。彼の晩年の著作「深い河」にはその影響が色濃く見られる。
脚注
[編集]- ^ Race, Alan (1983、(c)1982) (english). Christians and Religious Pluralism, Patterns in the Christian Theology of Religions. Maryknoll, New York: Orbis Books. ISBN 9780883441015 - タイトルを翻訳すると『キリスト者と宗教多元主義-キリスト教神学における諸類型』
- ^ ユニテリアン宣教師ナップにおける日本宗教観 : 宗教多元主義との関連で 杉田俊介
- ^ 第一テモテ2:5
- ^ 使徒4:12
- ^ ヨハネ1:14
- ^ 『現代福音主義神学』
- ^ ハロルド・ネットランド『どんな宗教でも救われるか-福音的キリスト教信仰と宗教多元主義』いのちのことば社
- ^ Kirisutokyō shingaku nyūmon. McGrath, Alister E., 1953-, Kōjiro, Masami, 1962-, 神代, 真砂実, 1962-. 教文館. (2002). ISBN 4764272032. OCLC 676510923
- ^ ジョン・ヒック『もうひとつのキリスト教-多元主義的宗教理解』日本基督教団
- ^ ジョン・ヒック『神は多くの名前をもつ-新しい宗教的多元論』
参考文献
[編集]- 宇田進『総説 現代福音主義神学』いのちのことば社、2002年10月。ISBN 4264020492。