アラン・クルーガー
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アラン・クルーガー(2009年) | |
生誕 |
1960年9月17日 アメリカ合衆国、ニュージャージー州リヴィングストン |
---|---|
死没 | 2019年3月16日(58歳没) |
国籍 | アメリカ合衆国 |
研究機関 | プリンストン大学 |
研究分野 | 労働経済学 |
母校 |
コーネル大学 ハーバード大学 |
受賞 |
カーショウ賞(1997年) マハラノビス賞(2001年) 政治学および社会学のIZA賞(2006年) トムソン・ロイター引用栄誉賞(2013年) |
情報 - IDEAS/RePEc |
アラン・ベネット・クルーガー(英語: Alan Bennett Krueger、1960年9月17日 - 2019年3月16日)はアメリカ合衆国の経済学者。プリンストン大学の教授であり、全米経済研究所(NBER)のリサーチ・アソシエイトでもある。バラク・オバマ大統領の大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長も務めた。
概要
[編集]政策評価や社会学の実験にも用いられる実社会のデータから結果を出す自然実験の手法を開発し、教育が収入に与える影響、最低賃金が雇用に与える影響などを研究した[1][2]。2021年にノーベル経済学賞を受賞したデヴィッド・カード、ヨシュア・アングリストらと授賞理由に関する共著を行っており、自殺で亡くなっていなければとアラン・クルーガーの功績を称え惜しむ声もある[3][4]。
研究の例として、以下のようなものがある。
- 最低賃金を引き上げたニュージャージーのレストランの仕事と、そうでなかったペンシルベニアのレストランの仕事を比較し、ニュージャージーのレストランの雇用は増加したが、ペンシルベニアでは減少したことを発見した[5]。この結果は、最低賃金の雇用効果に関する議論を再活性させた。
略歴
[編集]- 1960年 ニュージャージー州リヴィングストンで生まれる。
- 1979年 リヴィングストン高校を卒業する。
- 1983年 コーネル大学のSchool of Industrial & Labor Relationsを優秀な成績でB.S.を取って卒業する。
- 1985年 ハーバード大学でA.M.を取る。
- 1987年 ハーバード大学よりPh.D.を得る。
- 1987年 プリンストン大学経済学部とWoodrow Wilson Schoolの教授に就任。
- 1989年~1990年 全米経済研究所のOlinフェローとなる。
- 1994年~1995年 労働省のチーフエコノミストとなる。
- 1996年 計量経済学会のフェローに選ばれる。
- 1997年 カーショウ賞に選ばれる。
- 2000~2006年 ニューヨーク・タイムズに‘Economic Scene’というコラムを載せる。
- 2001年 マハラノビス賞に選ばれる。
- 2002年 アメリカ芸術科学アカデミーのメンバーに選ばれる。
- 2003年 アメリカ政治社会学会のフェローになる。
- 2003年~2009年 経済教育に対する国家会議のチーフエコノミストになる。
- 2005年~2007年 アメリカ経済学会の役員になる。
- 2005年 労働経済学会のフェローとなる。
- 2006年 政治学および社会学のIZA賞にデビッド・カードと共に選ばれる。
- 2007年 『テロの経済学』を出版する。
- 2009年~2010年 財務省の財務次官補(経済政策担当)およびチーフエコノミストとなる。
- 2010年 プリンストン大学へ戻る。
- 2011年~2013年 大統領経済諮問委員会の委員長となる。
- 2013年 トムソン・ロイター引用栄誉賞受賞。
- 2019年 自殺により死去[6]。
将来通し
[編集]- 朝日新聞(夕刊)2012年1月7日
クルーガー氏は「米経済や、労働市場が治癒しつつあることを示している」と指摘。雇用情勢の行方は11月の大統領選を左右するとみられているだけに、政権の取り組みが実を結びつつあるとの考えを強調した。一方で、欧州の政府債務(借金)危機などの影響で「世界経済は脆弱な状態が続いている」との認識も示し、「米国内の需要を増やすなど我々がとれる対策を打つことが重要だ」と語った。
具体的には、昨年12月末の期限切れ直前に米与野党が合意した「給与税減税の2カ月延長」について、今年末まで延ばす必要性を強調。また「インフラへの投資を増やし、教師や警官・消防士の雇用を維持するために米国の各州や地方政府を支援する」ことなどを挙げ、「これらは米経済がいま必要としている一種の治療薬だ」と語った。
欧州危機については、9日に独仏首脳会談が開かれることを念頭に、「欧州連合(EU)のリーダーたちが、問題に対処する対策をとることが重要だ。彼らは早く行動する力がある」と、欧州が自発的に危機を封じ込めるよう促した。
主な著作
[編集]日本語訳
[編集]著書(原書)
[編集]- Card, David; Krueger, Alan B. (1995). Myth and Measurement: The New Economics of the Minimum Wage. Princeton: Princeton University Press. ISBN 0-691-04823-1
- Krueger, Alan B. (2001). Education Matters: Selected Essays by Alan B. Krueger. Cheltenham, UK: Edward Elgar. ISBN 1-84064-106-1
- Heckman, James J.; Krueger, Alan B. (2003). Inequality in America: What Role for Human Capital Policies?. MIT Press. ISBN 0-262-08328-0
- Krueger, Alan B. (2007). What Makes a Terrorist: Economics and the Roots of Terrorism. Princeton: Princeton University Press. ISBN 978-0-691-13438-3
- Krueger, Alan B. (2019). Rockonomics: A Backstage Tour of What the Music Industry Can Teach Us About Economics and Life. Currency. ISBN 978-1-5247-6371-8
脚注
[編集]- ^ Casselman, Ben (March 18, 2019). “Alan B. Krueger, Economic Aide to Clinton and Obama, Dies at 58” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 March 18, 2019閲覧。
- ^ Smith, Noah (March 18, 2019). “Alan Krueger Led a Quiet Economics Revolution”. Bloomberg. March 18, 2019閲覧。
- ^ Natural experiments in labour economics and beyond: The 2021 Nobel laureates David Card, Joshua Angrist, and Guido Imbens Jörn-Steffen Pischke 更新日:16 October 2021 参照日:21 October 2021
- ^ 今年のノーベル経済学賞の受賞者たちの功績は「統計」を「洞察」に変えたこと サイト:クーリエ・ジャポン 更新日2021.10.20 参照日:21 October 2021
- ^ Nasar, Sylvia (August 22, 1993). “Conversations/David Card and Alan Krueger; Two Economists Catch Clinton's Eye By Bucking the Common Wisdom”. The New York Times. August 29, 2011閲覧。
- ^ A・クルーガー氏死去、オバマ米前政権のCEA委員長 58歳ロイター
先代 フィリップ・スワゲル |
経済政策担当財務次官補 2009年5月7日 - 2010年10月16日 |
次代 ジャニス・エバリー |
先代 オースタン・グールズビー |
大統領経済諮問委員会委員長 2011年11月3日 - 2013年8月2日 |
次代 ジェイソン・ファーマン |