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アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンス
分類
ドメイン : 細菌 Bacteria
: プロテオバクテリア門
Proteobacteria
: δプロテオバクテリア綱
Delta Proteobacteria
: 粘液細菌目
Myxococcales
: Cystobacteraceae
亜科 : Cystobacterineae
: アナエロミュクソバクテル属
Anaeromyxobacter
: A. デハロゲナンス
A. dehalogenans
学名
Anaeromyxobacter dehalogenans
Sanford et al. 2002

アナエロミュクソバクテル・デハロゲナンスAnaeromyxobacter dehalogenans)は、粘液細菌の一種である。粘液細菌であるが、子実体形成能力や溶菌性を持たず、通性嫌気性であり、ハロゲン化合物を還元するなど、典型的な粘液細菌とは異なる特異な性質を持つ。ウランテクネチウムなども還元・不溶化することから、汚染された土壌の浄化について検討されたことがある[1]

学名は、幾つかのギリシャ語ラテン語の合成語で、ラテン語としては「脱ハロゲンする、嫌気性粘液細菌」などといったほどの意味になる。

ミシガン州ランシング近郊の河川堆積物より単離、2002年に記載された[2]。0.25μm×4-8μmほどの桿菌で、赤色に着色するコロニーとして観察され、滑走による運動能がある[2]。粘液細菌の系統に入り、粘液胞子形成能力を持つが、典型的な粘液細菌と異なり、溶菌性や子実体形成能力は持たない[2]。また、既知の粘液細菌はその全てが偏性好気性であったが、本菌は通性嫌気性であり、酸素の外に、硝酸塩、フマル酸塩、2-クロロフェノール2-ブロモフェノールなどを最終電子受容体として利用可能である[2]。このほか、マンガンウラン化合物の還元が可能であり、ウランの不溶化を行う[3]。また、間接的に人工元素であるテクネチウム化合物の還元も行った[1]

電子供与体としては酢酸、水素、コハク酸、ピルビン酸、ギ酸、乳酸などを利用する[2]

ゲノムサイズは501万3479塩基対で、細菌の中では大型の方だが粘液細菌としては小型である。全細菌中で最高のGC含量を持つことでも知られており、そのGC含量は74.9%と極度に高い[4]

参考文献

[編集]
  1. ^ a b Marshall, M. J., Dohnalkova, A. C, Kennedy, D. W., Plymale, A. E., Thomas, S. H., Löffler, F. E., Sanford, R. A., Zachara, J. M., Fredrickson, J. K., Beliaev, A. S. (2009). “Electron donor-dependent radionuclide reduction and nanoparticle formation by Anaeromyxobacter dehalogenans strain 2CP-C”. Environ. Microbiol. 11 (2): 534-43. doi:10.1111/j.1462-2920.2008.01795.x. PMID 19196283. 
  2. ^ a b c d e Sanford, R. A., Cole, J. R., Tiedje, J. M. (2002). “Characterization and description of Anaeromyxobacter dehalogenans gen. nov., sp. nov., an aryl-halorespiring facultative anaerobic myxobacterium.”. Appl. Environ. Microbiol. 68 (2): 893-900. doi:10.1128/aem.68.2.893-900.2002. PMID 11823233. 
  3. ^ Wu, Q., Sanford, R. A., Löffler, F. E. (2006). “Uranium(VI) reduction by Anaeromyxobacter dehalogenans strain 2CP-C”. Appl. Environ. Microbiol. 72 (5): 3608-14. doi:10.1128/AEM.72.5.3608-3614.2006. PMID 16672509. 
  4. ^ Apostolos Almpanis, Martin Swain, Derek Gatherer, and Neil McEwan (2018). “Correlation between bacterial G+C content, genome size and the G+C content of associated plasmids and bacteriophages”. Microb Genom. 4 (4). doi:10.1099/mgen.0.000168. PMID 29633935.