アドヴェンチャー級偵察巡洋艦
アドヴェンチャー級偵察巡洋艦 | |
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就役時の「アドヴェンチャー」 | |
基本情報 | |
種別 | 偵察巡洋艦 (Scout cruiser) |
命名基準 | Aで始まる単語 |
運用者 | イギリス海軍 |
就役期間 | 1905年 - 1920年 |
前級 | トパーズ級 (防護巡洋艦) |
次級 | フォワード級 |
要目 | |
常備排水量 | 2,670トン |
満載排水量 | 2,893トン |
全長 | 120.40 m |
垂線間長 | 114.00 m |
幅 | 11.66 m |
吃水 | 3.73 m |
ボイラー | 水管ボイラー×12缶 |
主機 | レシプロ蒸気機関×2基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 16,000馬力 |
速力 | 25.0ノット |
航続距離 | 2,370海里 (10kt巡航時) |
燃料 | 石炭450トン |
乗員 | 268名 |
兵装 |
・40口径7.6cm砲×10門 ・40口径4.7cm砲×8門 ・45cm魚雷発射管×2門 |
装甲 |
甲板:19~51mm 司令塔:76mm |
アドヴェンチャー級偵察巡洋艦(英語: Adventure-class cruiser)はイギリス海軍の偵察巡洋艦の艦級。初代E級の整備に伴って1903年度計画で建造された嚮導艦のうち[1]、アームストロング社による建造分である[2][3][4]。
来歴
[編集]イギリス海軍の駆逐艦は、もともとフランス海軍を仮想敵として、近海での作戦を想定してきたが、英仏関係の改善とドイツ帝国海軍の台頭に伴い、1901年度計画より、想定戦場を北海に移して、航洋性を向上させたE級の建造に着手した。これを受けて、1901年4月、地中海艦隊司令官フィッシャー提督の水雷戦隊指揮官であったジャクソン大佐は、駆逐艦を嚮導する小型・高速の巡洋艦の必要性を提言した[4]。
これは実質的に嚮導艦というべきものであり、ピローラス級防護巡洋艦やバーラム級水雷巡洋艦、水雷砲艦の後継となる、より高速の艦として構想された。ジャクソン大佐は公試速力24ノットと持続速力19ノット、航続距離1,200海里という運動性能と、無線設備・旗艦設備の搭載を提唱した。1902年5月には、ヴィッカース社、ジョン・ブラウン社、フェアフィールド社、テムズ鉄工造船所、アームストロング社、キャメル・レアード社に要請が発出され、アームストロング社、フェアフィールド社、キャメル・レアード社、ヴィッカース社が2隻ずつを競作することになった。このうちアームストロング社による建造分が本級である[4]。
設計
[編集]上記の経緯にもとづき、駆逐艦に匹敵する高速性能が求められたことから、基本的には駆逐艦を拡大した船型となっている[5]。ただし巡洋艦としての基準で建造されたことから、海軍本部の要求にもとづき、甲板に装甲を施す防御甲板方式が採用された[4]。装着範囲は甲板を全通しており、19~51ミリ厚とされた。水線部装甲はもたない。なお本級は、英巡洋艦としては初めてクリッパー型の艦首を採用しており、簡素な単脚式の簡素なマストとあいまって、スマートな艦容となっていた[3]。
ボイラーとしてはヤーロウ式水管ボイラー12缶、主機としては直立式3気筒3段膨張レシプロ蒸気機関2基を搭載しており、スクリュープロペラ2軸を駆動した。出力は16,000馬力であった。なお12基のボイラーの排気は4本の煙突に導かれているが、中央の2本が4基ずつ、前後の2本が2基ずつを分担していることから、太さが異なっている[2][3]。
装備
[編集]艦砲としては、1902年5月の設計では40口径7.6cm砲(QF 12ポンド砲)6門を搭載する予定とされていたが、8月には更に4門が追加された。また魚雷防御砲として40口径4.7cm砲(QF 3ポンド砲)8門が搭載された。水雷兵器としては、駆逐艦と同様の旋回式45cm魚雷発射管2門が搭載されている[4]。
船体中央部には4本煙突が立ち、その周囲には煙管型の通風筒が立っている。煙突の周囲は艦載艇置き場となっており、2本1組として片舷4組ずつ計8組のボート・ダビットにより運用された。
同型艦
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- Friedman, Norman (2009). British Destroyers From Earliest Days to the Second World War. Naval Institute Press. ISBN 978-1-59114-081-8
- Gardiner, Robert (1979). Conway's All the World's Fighting Ships 1860-1905. Naval Institute Press. ISBN 978-0870219122
- 中川, 務「イギリス巡洋艦史」『世界の艦船』第517号、海人社、1996年11月、ISBN 978-4905551577。
- 青木, 栄一「船体 (技術面から見たイギリス巡洋艦の発達)」『世界の艦船』第517号、海人社、1996年11月、176-181頁、ISBN 978-4905551577。
- 阿部, 安雄「機関 (技術面から見たイギリス巡洋艦の発達)」『世界の艦船』第517号、海人社、1996年11月、182-187頁、ISBN 978-4905551577。
- 高須, 廣一「兵装 (技術面から見たイギリス巡洋艦の発達)」『世界の艦船』第517号、海人社、1996年11月、188-195頁、ISBN 978-4905551577。
関連項目
[編集]- イギリス海軍艦艇一覧
- バイーア級防護巡洋艦 - 本級の設計を基にした準同型艦
- パスファインダー級偵察巡洋艦 / フォワード級偵察巡洋艦 / センティネル級偵察巡洋艦 - 他社設計の同用途艦。
外部リンク
[編集]- 'Adventure' (1904)「アドヴェンチャー」の写真とスペックのあるページ。(英語)
- Adventure class in World War I
- History of the Adventure class
- The Adventure class