アデプト
アデプト(adept)とは、一般的には「達人」や「名人」を意味する英単語である。近現代のオカルティズムでは、しばしば霊的に高位の人物を指す専門用語として用いられ、その場合アデプトゥス(adeptus)というラテン語表記も見られる。
日本語では、アデプト(熟達者)は神に近づいた「最終解脱者」であるという解説もみられる[1](解脱は仏教用語)。
語源
[編集]「adept」という英語は、「(卑金属を金に変える金属転換の秘密に)到達した者」というラテン語 adeptus (アデプトゥス)に由来している[2]。
錬金術
[編集]1500年から1700年に最盛期を迎えた錬金術(キミア)では、自然界でも金属転換は自然に起こっていると信じられており、この自然過程は遅いので、錬金術師たちは、金属転換を速やかに行うには、それを加速する添加物(現代で言う触媒のようなもの)が必要だと考えており、全ての金属の転換に使えるものが「賢者の石」であるとされていた[3]。金への金属転換を成功させるには、正しい出発物質(金属かアンチモンのような半金属と考える錬金術師が多かった)を知り、それに対する正しい処方(操作)を発見する必要があり、これを知る者がアデプト(匠)とされた[3]。
神秘学
[編集]魔術系秘密結社「黄金の夜明け団」では、「アデプトゥス」の名は中位の位階に使われる。ただしこれより高い位階は「肉体を持った者は到達できない」名目上のものであるため、事実上の最高位と言える[4]。
「黄金の夜明け団」で確立された位階制度は、他の多くの魔術結社も踏襲しており、同様にアデプトゥスの語も導入している。
フィクション
[編集]神秘学の用法を踏まえ、ファンタジー要素のあるフィクションでは、しばしばアデプトがある種の魔法使いとして登場する。
- ロールプレイングゲーム
参考文献
[編集]- 梶雅範「化学大家434 ジョージ・スターキー」『和光純薬時報』第83巻、2015年、24-27頁。