アップサイジング (データベース)
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アップサイジング (英: upsizing)はマイクロソフトによる造語で、Microsoft AccessデータベースをMicrosoft SQL Serverにアップグレードするためのプロセスのこと。これにより、Microsoft Accessをデータベースをフロントエンドとして引き続き利用しつつ、バックエンドは別のローカルまたはリモートのSQL Serverによって提供されるため、生産性とデータ量が大幅に向上する。バージョン2000以降のMicrosoft Accessには、Microsoft SQL Serverへのデータ移行を容易にする特別なアップサイジングウィザードが実装されている。現在、アップサイジングでサポートされている他のRDBMSは存在しない。
アップサイジング戦略
[編集]データベースをAccessからSQL Serverに移行する方法には2つの戦略がある。
- マイクロソフトのODBCを使用して、ADOを介してリモートデータベースにアクセスする。
- Microsoft SQL Serverとのより「ネイティブな」統合を可能にするAccessプロジェクト(Microsoft Access 2000以降で利用可能)の使用。
最初の戦略は、多くの場合、ステージ2のSQL Serverでの完全な移行に向けた最初のステップと見なされ[1] 、戦略2の一部と見なすことができる。各戦略の特性については、以下の表を参照のこと。
パラメータ | 戦略1 | 戦略2 |
---|---|---|
データベースアクセス | ADOを使用したODBC経由。戦略2よりもやや遅い。 | Access Project (.adp)を使用したMicrosoft SQL Serverとのネイティブ統合、 ADOを使用したデータアクセス |
統合 | (ほぼ)すべてのRDBMSと統合可能 | Microsoft SQL Serverのみのネイティブサポート |
アクセスの役割 | Microsoft Jet Database EngineとVBAの全機能を備えたデータベースフロントエンドとして機能。 (シッククライアントと比較) | 機能が制限されたデータベースフロントエンドとして機能。ローカルテーブルは許可されない[2]。 クエリは通常、データベースビューに変換され、データを操作するVBAコードは、サーバーに保存されているプロシージャに変換される。 (シンクライアントと比較) |
アップサイジングの実行
[編集]他のデータ移行手順と同様に、Microsoft Accessデータベースのアップサイジングでは、データベース構造とソースコードの基本的なリファクタリングが必要である。この手順のいくつかの側面はアップサイジングウィザードによって自動化されるが、それでも人手必要とする箇所が多くある。アップサイジングでは、以下の変更を行う必要がある。
- DAOからADOへのデータアクセスインターフェイスの完全な変更。
- Microsoft JET SQLからTransact-SQLへの大幅な変更 。
- オブジェクト(テーブル、列など)の名前の大幅な変更。
- 「アップサイズ」後のテクノロジーであるADOとMicrosoft SQL Serverの新機能を最適に使用するためのソースコードの再認識。
関連項目
[編集]- Microsoft Access
- Microsoft Jet Database Engine
- Microsoft SQL Server
- Data Access Objects (DAO)
- ActiveX Data Objects (ADO)
- Open Database Connectivity (ODBC)