アッバース
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アッバース(アラビア語: عباس, ラテン文字転写: ‘Abbās)はアラビア語の男性名もしくはそれに由来するイスラム教徒男性の名前。イスラーム以前からあった人名で、古くは定冠詞をつけたアル=アッバースというファーストネームもしばしば見られた。
意味は「眉をたびたびしかめる者、頻繁に眉をひそめる物」「(他の獅子たちが逃げ出すほどの)獅子(ライオン)」[1]。男性名としては「獅子(ライオン)」という意味で命名されるのが一般的だったが、後代には預言者ムハンマドの父方叔父(アル=)アッバース・イブン・アブドゥルムッタリブやシーア派第3代イマーム(アル=)フサイン・イブン・アリーの兄弟だったアッバース・イブン・アリーにあやかっての命名が多数となった。
日本語では原語に含まれる長母音部分を省いたアッバスとカタカナ表記されることが多い。
なお、アッバース朝の名前は一族の始祖となったクライシュ族男性(預言者ムハンマドの父方叔父)のファーストネームが由来。
人名
[編集]- (アル=)アッバース・イブン・アブドゥルムッタリブ - 預言者ムハンマドの叔父。イブン・アッバースの父。アブル・アッバース・アブドゥッラー(サッファーフ)の曾祖父。
- (アル=)アッバース・イブン・アリー - アリー・イブン・アビー・ターリブの息子。ハズラテ・アッバース。
- アッバース・イブン・フィルナース - 後ウマイヤ朝の宮廷詩人で、飛行器械を使って空を飛ぼうとした人。
- アッバース1世 - サファヴィー朝の第5代君主。アッバース大王。シャーヘ・アッバーセ・ボゾルグ。
- アッバース2世 - サファヴィー朝の第7代君主。
- アッバース3世 - サファヴィー朝の第11代君主。
- アッバース・ミールザー - 19世紀前半ガージャール朝イランの王族。ファトフ・アリー・シャーの息子。
- アッバース・パシャ - 19世紀中葉のエジプト及びスーダン副王。アッバース1世。
- アッバース・キヤーロスタミー(アッバス・キアロスタミ) - イランの映画監督。
- アッバース・アラーグチー - イランの外交官。元駐日大使。
クンヤ
[編集]- イブン・アッバース - 預言者ムハンマドの叔父アッバースの息子。預言者伝承の伝承者として高名。
- アブル・アッバース(サッファーフ) - アッバース朝の初代カリフ。
- アブル・アッバース - アッバース朝がフランク王国に贈呈した象につけられた名前。
ナサブ
[編集]- マフムード・アッバース - パレスチナ自治政府の第2代大統領。アブーマーゼン。
その他
[編集]- バンダレ・アッバース - アッバース大王の名にちなんでその名がつけられたイランの港。ペルシャ湾に面する。
- アッバース朝 - 8世紀から10世紀ごろまでアナトリアを除く西アジア全域と北アフリカを支配したカリフ制国家。アッバース・ブン・アブドゥルムッタリブから始まるアッバース家にイマーム継承の正統性があることを主張したため「アッバース朝」と呼ばれる。
脚注
[編集]- ^ “معنى شرح تفسير كلمة (عباس)”. www.almougem.com. 2024年1月15日閲覧。