アダム M-309
アダム M-309
- 用途:試作機
- 分類:ビジネス機
- 設計者:バート・ルータン、スケールド・コンポジッツ
- 製造者:スケールド・コンポジッツ
- 運用者:アダム・エアクラフト・インダストリーズ
- 初飛行:2000年3月21日[1]
- 生産開始:1999年8月[1]
- 運用開始:2000年4月5日[1]
- 運用状況:退役、展示中
- ユニットコスト:予価695,000US$[2]
アダム M-309(Adam M-309)は、アメリカ合衆国のアダム・エアクラフト・インダストリーズの試作機。コンセプト実証機として設計・製造をバート・ルータンとスケールド・コンポジッツが行った[1][3]。これに続く実用ビジネス機がアダム A500である[3]。
開発は、1999年5月設計開始から、2000年3月21日の初飛行、4月5日の公開まで1年以内で達成した[1]。アダム・エアクラフト・インダストリーズは、この機体を初期の10機を695,000US$、次の10機を725,000US$で販売する予定であった[4]。
名称の「309」はバート・ルータンによる309番目の設計であることに由来するものである[5]。2001年にはより実態を反映させた名称を求めて、アダム・エアクラフト・インダストリーズは公募を行った[6]。これによって、決定した名称がカーボンエアロ(CarbonAero)であるが、生産型には引き継がれず単にA500と呼ばれる結果となった[7]。
2003年までに実用機を納入する計画であったが[2]、実用機は発展型のアダム A500となった[8]。M-309はその後、ウィングス・オーバー・ザ・ロッキーズ航空宇宙博物館にて展示されている[1]。
機体構造
[編集]機体の前後にエンジンを搭載する、プッシュプル方式 (航空機)である[2][9]。この構造は、通常の並列配置よりも空力に優れ、同軸に配置することで1基のエンジンが故障した場合の非対称性を防ぐものであった[10][2]。エンジンにはテレダイン・コンチネンタルTSIO 550を採用し、実用機ではこれをFADEC化する構想であった[10]。プロペラは、ハーツェル・プロペラの3翅のものであった[9]。
主翼、ツインブーム式の水平尾翼、方向舵、昇降舵などの主要パーツの一部は単一の部品として製造され、接合を行わないことによって軽量化や構造の強化をもたらした[1]。素材としては炭素複合材が使用されている[9]。降着装置は機体前方のノーズギアと、ツインブームに主脚が配置された三脚式引込脚で、トレーリングアーム式サスペンションを備えていた[9][11]。
乗員・乗客計6人が搭乗可能な機内は与圧されているが、機体前方に位置する貨物室は、与圧されなかった[1]。
要目
[編集]出典: [9]
諸元
- 乗員: 1
- 定員: 乗客5、乗員1
- 全長: 10.5m (34.5ft)
- 全高: 2.9m (9.5ft)
- 翼幅: 13m(42ft)
- 有効搭載量: 1,000kg (2,300lbs)
- 動力: テレダイン・コンチネンタルTSIO 550 レシプロエンジン、260kW (350hp) × 2
性能
- 巡航速度: 396km/h 220ノット
- 失速速度: 140.4km/h 75ノット
- 航続距離: 2,778km (1,500nm)
- 実用上昇限度: 7,600m (25,000ft)
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h “Adam M-309”. スケールド・コンポジッツ. 2015年6月7日閲覧。
- ^ a b c d アダム・エアクラフト・インダストリーズ (2001年1月8日). “Adam Aircraft Announces Price for M-309”. PR Newswire. 2015年6月8日閲覧。
- ^ a b Paul Eden (2012-12-21). Civil Aircraft Recognition. Crowood. ISBN 9781847974976
- ^ “M-309”. アダム・エアクラフト・インダストリーズ. 2001年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月23日閲覧。
- ^ Di Freeze. “Rick Adam—The Essence of Entrepreneurship”. Airport Journals. 2015年6月8日閲覧。
- ^ “Adam M-309 in Search of a Name”. Flying 128 (7): 38. (2001-07). ISSN 0015-4806.
- ^ “Adam Aircraft's A500 to Fly Next Week”. Aero News Network (2002年6月20日). 2015年7月1日閲覧。
- ^ J. Douglas Hinton (2007年7月6日). “Flying the Adam A500”. General Aviation News. 2015年7月1日閲覧。
- ^ a b c d e “Frequently Asked Questions”. アダム・エアクラフト・インダストリーズ. 2001年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月8日閲覧。
- ^ a b “Adam M-309 Launched”. Flying 127 (8): 44. (2000-08). ISSN 0015-4806.
- ^ Matt Thurber (2008年7月7日). “Innovation, funding woes mark rise and fall of Adam”. AIN Publications. 2015年7月1日閲覧。