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松阪大映劇場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アサヒ興業から転送)
松阪大映劇場
Matsusaka Daiei
種類 事業場
略称 松阪大映
本社所在地 日本の旗 日本
515-0085
三重県松阪市湊町153番地
設立 1940年前後
業種 サービス業
事業内容 映画の興行
代表者 支配人 大久保克己
資本金 1,000万円(2013年)
従業員数 3人(2013年)
主要株主 アサヒ興業株式会社
関係する人物 的場信一(創業者)
大久保喜助
大久保克己
特記事項:略歴
1940年前後 アサヒ館として開館
1960年前後 現館名に改称
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松阪大映劇場(まつさかだいえいげきじょう)は、日本の映画館である[1][2][3][4][5][6][7][8]。1940年(昭和15年)前後に三重県松阪市湊町アサヒ館(アサヒかん)として開館[9][10][11][12][13][14][15][16][17][18]、1960年(昭和35年)前後に現館名に改称した[19]。改称当時は大映封切館であったが、1970年(昭和45年)前後に同系列から独立、成人映画館に業態変更した[7]。略称は松阪大映[5][7][8]

本項では、同館を経営するアサヒ興業株式会社(アサヒこうぎょう)についても扱う[13][14][15][16][20]

沿革

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  • 1940年前後 - アサヒ館として開館
  • 1950年1月 - 同館の経営母体としてアサヒ興業株式会社を設立[5]
  • 1960年前後 - 松阪大映劇場に改称
  • 1970年前後 - 成人映画館に業態変更

データ

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歴史

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松阪大映劇場に向かう路地

正確な時期は不明であるが、第二次世界大戦前の1940年(昭和15年)前後の時期に、国鉄(現在のJR東海松阪駅西口、湊町153番地に同館の前身であるアサヒ館が新築・開館された[9][10][11][12]。開館当時の同館は、的場信一の個人経営であり、支配人は大久保匡記、観客定員数は400名という記録が残っている[11][12]

同館が建つ前の松阪市、市制施行以前の当時の飯南郡松坂町には、旧制中学校時代の小津安二郎が通ったことで知られる神楽座愛宕町、経営後藤藤男)[9][10][21][22][23][24] のみが長らく存在し、アサヒ館とほぼ同時期に巴座(のちの巴映画劇場日野町2丁目)が開館している[9][10][11]。当時のアサヒ館は、1,000人収容の神楽座、990人収容の巴座に比して、400人という比較的小さな映画館であった[11][12]。1942年(昭和17年)には、東宝映画が直営する松阪東宝映劇(平生町)が開館している[12]

戦後の同館の経営は、的場信一の個人経営から、的場が代表を務めるアサヒ興業株式会社の経営に変わっている[13][14][15][16]。アサヒ興業株式会社は、1950年(昭和25年)1月に設立された[5]。同市内には、同館のほか戦前からの巴映画劇場があり、神楽座も残っていたが、1951年(昭和25年)12月16日に起きた「昭和の松阪大火」により全焼し、神楽座は火災後の復興はなされなかった[25][26]。1957年(昭和32年)までに国際劇場、松阪日活劇場(中町)、近代劇場(松阪近代劇場京町)および近代コニー、いすず会館南劇・東劇(五十鈴町)、スバル座(松阪スバル座、新町)、松阪映画、紅葉座と多くの映画館が開館している[17]。同館は、1960年(昭和35年)前後に松阪大映劇場と改称、同時期に同館を経営するアサヒ興業の代表も、大久保喜助に変わっている[18][19]。このころは、大映の封切館であり、大映配給の映画をロードショー公開していた[7]

1970年(昭和45年)6月、大映は日活と配給網を統合し、配給会社ダイニチ映配を設立するが、この前後に同系列から独立、成人映画館に業態変更した[7]。以降、日活ロマンポルノの三本立興行を始め、1988年(昭和63年)に日活が成人映画から撤退した後は、新日本映像の配給作品の三本立興行を行い、現在に至る[7][8]。同時期に、同館を経営するアサヒ興業の代表に大久保克己が就任している[1][2]。『映画年鑑 1992 別冊 映画館名簿』によれば、1990年代初頭の同市内の映画館は、同館と戦前からの巴映画劇場のほか、松阪近代劇場、松阪パールシネマ1・2(塚本町荒木、現在の塚本町81番地5号)の5館になっていた[3]。2001年(平成13年)になると、同館のほかは松阪パールシネマ1・2以外すべて閉館してしまっていたが、2013年(平成25年)現在では、同館は同市内に残る最後の映画館として、デジタルシネマではなく35mmフィルムによるプリント上映のみで営業を続けている[6]

アサヒ興業

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アサヒ興業株式会社(アサヒこうぎょう)は、日本の映画興行会社である[20]。「松阪大映劇場」を経営する、松阪商工会議所会員企業である[20]

  • 所在地 : 三重県松阪市湊町158番地[5][20]
  • 代表 : 大久保力[20]
    • 歴代
    1. 的場信一
    2. 大久保喜助
    3. 大久保克己
  • 従業員数 : 3人(2013年[20]
  • 資本金 : 1,000万円(1998年[5]・2013年[20]
    • 100万円(1961年[19]・1995年[4]
  • 事業内容 : 映画の興行ほか付帯事業[5][20]
  • 創立 : 1950年1月[5]

脚注

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  1. ^ a b 年鑑[1987], p.308.
  2. ^ a b 名簿[1991], p.122.
  3. ^ a b 名簿[1992], p.83.
  4. ^ a b 年鑑[1995], p.264.
  5. ^ a b c d e f g h 年鑑[1998], p.270.
  6. ^ a b c d e f g 名簿[2013], p.133.
  7. ^ a b c d e f g 消えゆく淫灯、ネコジカ、2012年11月付、2013年8月20日閲覧。
  8. ^ a b c d 松阪大映新日本映像、2013年8月20日閲覧。
  9. ^ a b c d 総覧[1930], p.579.
  10. ^ a b c d 昭和7年の映画館 三重縣 18館 Archived 2013年12月15日, at the Wayback Machine.、中原行夫の部屋(原典『キネマ旬報』)、2013年8月20日閲覧。
  11. ^ a b c d e f 年鑑[1942], p.10-67.
  12. ^ a b c d e f 年鑑[1943], p.490.
  13. ^ a b c 年鑑[1950], p.165.
  14. ^ a b c 年鑑[1951], p.312.
  15. ^ a b c 年鑑[1952], p.509.
  16. ^ a b c 年鑑[1956], p.99.
  17. ^ a b 昭和32年の映画館 三重県 110館 Archived 2013年4月16日, at the Wayback Machine.、中原行夫の部屋(原典『キネマ旬報』)、2013年8月20日閲覧。
  18. ^ a b 便覧[1958], p.133.
  19. ^ a b c 伊勢年鑑[1962], p.290.
  20. ^ a b c d e f g h アサヒ興業松阪商工会議所、2013年6月14日付、2013年8月20日閲覧。
  21. ^ 小津安二郎氏梅川文男(1952年筆)、三重大学、2013年8月20日閲覧。
  22. ^ 年鑑[1925], p.471.
  23. ^ 総覧[1927], p.674.
  24. ^ 総覧[1929], p.272.
  25. ^ 松阪市[1981], p.51.
  26. ^ 伊勢(松阪・山田・津)の文化が育んだ 世界の映画監督 小津安二郎、三重映画フェスティバル実行委員会、2013年8月20日閲覧。

参考文献

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  • 『日本映画年鑑 大正十三・四年』、アサヒグラフ編輯局東京朝日新聞発行所、1925年発行
  • 『日本映画事業総覧 昭和二年版』、国際映画通信社、1927年発行
  • 『日本映画事業総覧 昭和三・四年版』、国際映画通信社、1929年発行
  • 『日本映画事業総覧 昭和五年版』、国際映画通信社、1930年発行
  • 『映画年鑑 昭和十七年版』、日本映画協会、1942年発行
  • 『映画年鑑 昭和十八年版』、日本映画協会、1943年発行
  • 『映画年鑑 1950』、時事映画通信社、1950年
  • 『映画年鑑 1951』、時事映画通信社、1951年
  • 『映画年鑑 1952』、時事映画通信社、1952年
  • 『映画年鑑 1956』、時事映画通信社、1956年
  • 『映画便覧 1958』、時事映画通信社、1958年
  • 『伊勢年鑑 1962』、伊勢新聞社、1962年
  • 『松阪市史 第10巻 史料篇 民俗』、松阪市史編さん委員会、蒼人社、1981年3月 ISBN 4326200219
  • 『映画年鑑 1987』、時事映画通信社、1987年
  • 『映画年鑑 1991 別冊 映画館名簿』、時事映画通信社、1991年
  • 『映画年鑑 1992 別冊 映画館名簿』、時事映画通信社、1992年
  • 『映画年鑑 1995』、時事映画通信社、1995年
  • 『映画年鑑 1998』、時事映画通信社、1998年
  • 『映画年鑑 2013 別冊 映画館名簿』、時事映画通信社、2013年

外部リンク

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