光楯類
光楯類 | |||||||||||||||
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保全状況評価 | |||||||||||||||
絶滅(化石) | |||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||
カンブリア紀 - オルドビス紀 | |||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||
Aglaspidida Walcott, 1911 | |||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||
光楯類 | |||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||
Aglaspidid | |||||||||||||||
下位分類群 | |||||||||||||||
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光楯類(こうじゅんるい、Aglaspidid、学名:Aglaspidida)は、古生代に生息した節足動物の分類群である。分類学上は光楯目とされ[2][1]、三葉虫と似た体と剣状の尾をもつ。かつて鋏角類と誤認され、後に三葉虫などと共にArtiopoda類に分類されるようになった[2] 。
形態
[編集]体は腹背に偏平で、頭部(cephalon)と胴部(trunk)が区別できる。一見して三葉虫に似ているが、外骨格の硬質化(リン酸塩化)は三葉虫ほどでなく、頭部の表面・眼の位置・尾部の構成などの細部も明確に異なる[1]。
頭部の背甲 (head shield) は幅広く、背面にある1対の複眼は三葉虫に比べてより正中線に寄せて配置される[1]。その左右は三葉虫より単調で、脱皮時の割れ目に当たる溝(弱線 facial suture)をもたない[1]。胴部は頭部とほぼ同じ幅から次第に後方に狭まり、7から12節の胴節と剣状の尾節 (telson) からなる[1]。全ての胴節は分節しているが、最後の胴節は往々にして直後の尾節と癒合する[1]。最終1-2胴節の腹側には1対の板状の構造体(postventral plate)がある[1]。
付属肢(関節肢)はごく一部の種類のみによって知られる。全て体の下に隠れ、頭部に少なくとも4対(最多5対)と、最終胴節以外の各胴節にそれぞれ1対をもつ[3][2][1]。最初の1対は細い触角であり、鋏角類のような鋏型の口器(鋏角)ではない[3]。それ以降の付属肢は少なくとも5節に分かれた歩脚型である[3]。なお、前述した腹面の板状構造を付属肢由来と考えれば、これが最終胴節の付属肢となる[1]。
生態
[編集]光楯類は浅い海底に生息していたと海棲動物であると考えられ、海底をはい回ったあととされる生痕化石も発見されている。
分布
[編集]化石は北アメリカ大陸、ヨーロッパ、オーストラリア、中国から産出する。古生代のカンブリア紀前期からオルドビス紀後期まで発見される。中生代の記録もあるが疑問視されている。このような点から、この動物はローレシア大陸中央部に生まれ、この大陸周辺でのみ発展を遂げたものと考えられる。
分類
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2017年までの見解に基づいた節足動物における光楯類の系統的位置[1]。 |
光楯類の化石は19世紀で既に記載されたが、その付属肢の形態や分類学上の位置付けは20世紀の見解から劇的に変更された。最初は甲殻類、その後は鋏角類、やがて三葉虫などと共にArtiopoda類と見なされるように至った[2]。
光楯類は最初では甲殻類と思われていたが、1939年の見解をはじめとして、光楯類の頭部(当時においては「前体」)は節口類の鋏角類のように、鋏角を含めて6対の付属肢があると考えられた[4][5]。こうして光楯類を節口類の鋏角類と見なす見解は、それから数十年もほぼ疑問視されていなかった[2]。ただし1979年、光楯類のアグラスピス(Aglaspis spinifer)を対象にした再検証において、その頭部に鋏角は見当たらず、代わりに触角が発見されており、付属肢の総数も4-5対しかなかった[3]。この研究が公表される直後ではそれを認めない研究者はいたが、その後の再検証もこの見解の正確性を証明しており[6]、光楯類は鋏角類でない別系統であることが徐々に明らかになった[2][7]。1997年以降、光楯類は三葉虫類などと共にArtiopoda類(亜門)という化石節足動物の大グループに分類されるようになり[8][2]、その中で光楯類はシドネイア、ケロニエロン類(Cheloniellida)、エメラルデラなどと共にVicissicaudata類(上綱)を構成するとされる[9][1]。
下位分類
[編集]光楯類とされるものは以下の属が知られる。
- Aglaspella
- アグラスピス Aglaspis(模式属)
- Australaglaspis
- ベックウィジア Beckwithia
- Chlupacaris
- Chraspedops
- Cyclopites
- Flobertia
- Girardevia
- Glypharthrus
- Quasimodaspis
- Raaschichnus (生痕化石)
- Setaspis
- トレマグラスピス Tremaglaspis
- Tuboculops
- Uarthrus
- Zonoscutum
- Zonozoe
参考文献
[編集]- 関口晃一,(1980),カブトガニ -最近の研究ノートから-.動物と自然,Vol.10,no.5,p.49-53
- 石川良輔編『節足動物の多様性と系統』,(2008),バイオディバーシティ・シリーズ6(裳華房)
- 内田亨監修『動物系統分類学(全10巻)第7巻(中A) 節足動物(IIa)』,(1966),中山書店
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m Lerosey-Aubril, Rudy; Zhu, Xuejian; Ortega-Hernández, Javier (2017-09-11). “The Vicissicaudata revisited – insights from a new aglaspidid arthropod with caudal appendages from the Furongian of China” (英語). Scientific Reports 7 (1). doi:10.1038/s41598-017-11610-5. ISSN 2045-2322 .
- ^ a b c d e f g Ortega-Hernández, J.; Legg, D. A.; Braddy, S. J. (2013). “The phylogeny of aglaspidid arthropods and the internal relationships within Artiopoda”. Cladistics 29: 15–45. doi:10.1111/j.1096-0031.2012.00413.x .
- ^ a b c d D. E. G. Briggs, D. L. Bruton, H. B. Whittington (1979). “Appendages of the arthropod Aglaspis spinifer (Upper Cambrian, Wisconsin) and their significance”. Palaeontology 22: 1 .
- ^ Raasch, G.O., 1939. Cambrian Merostomata. Spec. Pap. Geol. Soc. Am. 19, 1–146.
- ^ Størmer, L., 1944. On the relationships and phylogeny of fossils and recent Arachnomorpha. A comparative study of Arachnida, Xiphosura, Eurypterida, Trilobita and other fossil Arthropoda. Skrifter utgitt av Det Norske Videnskaps-Akademi i Oslo. I. Matematisk-Naturvidenskapelig Klasse 5, 1–158.
- ^ Hesselbo, Stephen P. (1992/11). “Aglaspidida (Arthropoda) from the Upper Cambrian of Wisconsin” (英語). Journal of Paleontology 66 (6): 885–923. doi:10.1017/S0022336000021016. ISSN 0022-3360 .
- ^ Lamsdell, James C. (2013-01-01). “Revised systematics of Palaeozoic ‘horseshoe crabs’ and the myth of monophyletic Xiphosura” (英語). Zoological Journal of the Linnean Society 167 (1): 1–27. doi:10.1111/j.1096-3642.2012.00874.x. ISSN 0024-4082 .
- ^ Hou, Xianguang. (1997). Arthropods of the Lower Cambrian Chengjiang fauna, southwest China. Bergström, Jan, 1938-. Oslo: Scandinavian University Press. ISBN 82-00-37693-1. OCLC 38305908
- ^ Ortega-Hernández, Javier; Azizi, Abdelfattah; Hearing, Thomas W.; Harvey, Thomas H. P.; Edgecombe, Gregory D.; Hafid, Ahmid; El Hariri, Khadija (2017-02-17). “A xandarellid artiopodan from Morocco – a middle Cambrian link between soft-bodied euarthropod communities in North Africa and South China” (英語). Scientific Reports 7 (1). doi:10.1038/srep42616. ISSN 2045-2322 .