アエルログナトゥス
アエルログナトゥス | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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A. tigricepsのホロタイプ標本頭蓋骨
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
後期ペルム紀ウーチャーピンジアン期 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Aelurognathus Haughton, 1924 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
属レベル
種レベル
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種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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アエルログナトゥス(学名:Aelurognathus)は、ゴルゴノプス科ルビジア亜科に属する絶滅したゴルゴノプス亜目の属[1]。化石は南アフリカ共和国とザンビアから産出している[1]。頭蓋骨は後側ほど幅広になり、頑強な四肢を有し、全長は2メートル前後に達した[1]。ルビジア亜科の中では最も多くの化石が知られている属であり、胃内容物も発見されている[1]。生存個体を捕食したか死肉を漁ったかは定かではないが、獣弓類を食餌としたことが示唆されている[1]。
発見
[編集]タイプ種Aelurognathus tigricepsはホロタイプ標本SAM 2342に基づき[2]、当初はScymnognathus tigricepsとして命名された。記載は南アフリカの古生物学者であるロバート・ブルームとシドニー・H・ホートンが1913年に行い、その後ホートンが1924年に新属Aelurognathusに再分類した。
Scymnognathus parringtoni von Huene (1950) はかつてアエルログナトゥス属に分類されたが、後にサウロクトヌスの種として再分類された[3]。また、本属に分類されていたAelurognathus nyasaensis Haughton (1926)についてKammererは犬歯より後方の歯を数えることができないことを指摘し、またディノゴルゴンやスミレサウルスの化石である可能性にも触れている。最終的にKammererはプレパレーションが不完全であることを指摘し、本種を本属に分類できないと結論した[4]。
古生物学
[編集]Tropidostoma Assemblage Zoneから産出したディキノドン類の骨格の横に位置する折れた歯はアエルログナトゥス属のものと同定されており、これはこの個体が死肉を漁っていたことを示唆している。骨格の前半身の骨は関節しているが、後半身の骨は散在している。散在した骨が残存しており、また前半身の骨格の保存が良いことから、遺骸は漁られた後短時間で埋没したと推測される。死骸を発見したアエルログナトゥスの個体は柔らかい腹側に到達するために遺骸の左大腿骨を噛んで除去した可能性が高い。アエルログナトゥスの門歯は小型であるため骨の破砕は不可能であり、現生のリカオンと同様に獲物の肉を剥ぎ取っていた可能性が高い。骨に残された噛み跡はアエルログナトゥスによるものとは考えにくく、他の捕食者がディキノドン類個体を殺害した可能性がある[1][5]。また2009年にはアエルログナトゥスの胃内容物が報告されており、小型の獣弓類の化石が発見されている[1]。
分類
[編集]以下はGebauer (2007)に基づくクラドグラム[6]。
Gorgonopsia |
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以下のクラドグラムはKammerer and Rubidge (2022)に基づく[7]。
ゴルゴノプス亜目 |
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出典
[編集]- ^ a b c d e f g 土屋健『前恐竜時代 失われた魅惑のペルム紀世界』ブックマン社、2022年10月22日、130-133頁。ISBN 978-4-89308-953-3。
- ^ Gebauer, E. V. (2007). Phylogeny and Evolution of the Gorgonopsia with a Special Reference to the Skull and Skeleton of GPIT-RE-7113 ('Aelurognathus?'Parringtoni) (Ph.D. thesis) (英語). University of Tübingen.
- ^ Gebauer E I, 2014. Re-assessment of the taxonomic position of the specimen GPIT/RE/7113 (Sauroctonus parringtoni comb. nov., Gorgonopsia). In: Kammerer C F, Angielczyk K D, Fröbisch J eds. Early Evolutionary History of the Synapsida. Dordrecht: Springer. 185−207.
- ^ Kammerer CF. (2016) Systematics of the Rubidgeinae (Therapsida: Gorgonopsia) PeerJ 4:e1608 https://doi.org/10.7717/peerj.1608
- ^ Fordyce, N.; Smith, R.; Chinsamy, A. (2012). “Evidence of a therapsid scavenger in the Late Permian Karoo Basin, South Africa”. South African Journal of Science 108 (11/12). doi:10.4102/sajs.v108i11/12.1158. hdl:11427/29098.
- ^ Gebauer, E.V.I. (2007). Phylogeny and evolution of the Gorgonopsia with a special reference to the skull and skeleton of GPIT/RE/7113 ("Aelurognathus"? parringtoni) (PDF) (Thesis). Dissertation Universität Tübingen.
- ^ Kammerer, C. F.; Rubidge, B. S. (2022). “The earliest gorgonopsians from the Karoo Basin of South Africa”. Journal of African Earth Sciences 194: 104631. Bibcode: 2022JAfES.19404631K. doi:10.1016/j.jafrearsci.2022.104631.