アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ
「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』 | |||||||||
英語名 | I'll Be on My Way | |||||||||
リリース | 1994年11月30日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ロック | |||||||||
時間 | 1分58秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ブライアント・マリオット[1] | |||||||||
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「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」(I'll Be on My Way)は、ポール・マッカートニーによって作曲された楽曲である。作曲者のクレジットにはジョン・レノンとの共同名義であるレノン=マッカートニーが使用されている。マッカートニーがデビュー前に書いた本作は、バディ・ホリーからの影響が見受けられる。1963年にビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスに提供され、4月26日にシングル『ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット』のB面曲として発売された。
4月4日にはビートルズがBBCラジオの番組『Side by Side』(6月24日放送)用にレコーディングを行っており、当時の演奏が1994年に発売された『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』に収録された。
背景・曲の構成
[編集]「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」は、ポール・マッカートニーが1959年の前半に書いた楽曲で、作曲者のクレジットはレノン=マッカートニー名義となっている[2][注釈 1]。ジョン・レノンは、1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで、「完全にポールの曲。そういうふうに聞こえないかい?トラ・ラ・ラ・ラ・ラ(笑)田舎道をドライブしている時にポールが余興で作った曲さ」と語っている[4]。マッカートニーは本作の作曲で初めて手にしたフラムス社のアコースティック・ギターを使っていて、『ザ・ビートルズ・アンソロジー』内で「『ミッシェル』や『アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア』といった、僕が初めて書いた曲はすべてゼニスを使っている。このギターで『トゥエンティ・フライト・ロック』を習得して、クオリーメンに入った」と回想している[5]。作曲当初はメロディのみであったが、ビートルズのライブのレパートリーに加えられてから数年後に肉付けされた[6][注釈 2]。
本作にはバディ・ホリーからの大きな影響が見受けられる。音楽評論家のイアン・マクドナルドは、「少し速めのテンポで演奏すると、バディ・ホリーのシンプルな3コードの進行に対する恩義があらわになる」と述べている[8]。エヴェレットも「デュエットのリフレイン」を引き合いに、これに同意している[9]。ルイソンも本作について「Hollyesque(ホリーエスク)」と呼んでいる[6]。歴史家のケネス・ウォマックもホリーの「もうおしまい」からの影響について言及している[1]。ギターのイントロにおける半音階のフレーズは、ザ・クリケッツのカバー曲「ドント・エヴァー・チェンジ」に由来する[10]。11小節目以降、マッカートニーはレノンよりも3半音高い平行調で歌っているが、これはホリーのボーカルのダブルトラッキングから派生した技法となっている[10]。歌詞の中では「June light」と「moonlight」というかたちで韻を踏んでいる[11]。ルイソンは「As the June light turns to moonlight(六月の光が月の光に変わるとき)」というフレーズを例に挙げ、シンプルで魅力的なメロディなのだが、歌詞には普段の彼らなら絶対に使わないようなフレーズが入っている
と述べている[12]。
レノンは本作でマッカートニーとともにリード・ボーカルを務めてハーモニーを加えているが、本作を嫌っていた[6]。ルイソンはレノンの意思表示について歌詞が「この道をぼくは行くのだろう」の一節に来たときで、ジョンは突然顔をゆがめ、「せむし男」のように背中を丸めてマイクのコードを巻きつけるという突飛な行動に出た。ポールは一緒に笑いに乗っかるしかなかった
と書いている[13][14]。
レコーディング
[編集]マッカートニーは、ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスによるレコーディングに向けて、本作のデモ音源を作成[10]。ザ・ダコタスのギタリストであるマイク・マックスフィールドは、デモ音源が収録されたアセテート盤を所有していて、ビートルズのメンバー全員で演奏していることを主張しているが、この主張は未だに実証されていない[15]。
1963年4月4日、ビートルズはロンドンにあるBBCのパリス・シアターで、ブライアント・マリオットのプロデュースのもとで本作を録音[1]。この時の演奏は、同年6月24日にBBCラジオの番組『Side by Side』で放送された[8][11]。エヴェレットは、著書の中でジョージ・ハリスンによるギターソロの特徴について、エルヴィス・プレスリーの「ジャスト・ビリーヴ」や「監獄ロック」でのスコッティ・ムーア、ジェリー・リー・ルイスの「リヴィン・ラヴィン・レック」を引き合いに書いている[16]。本作は、レノン=マッカートニーの作品でビートルズがBBCラジオの番組用にレコーディングを行った後に、スタジオでのレコーディングを行わなかった唯一の楽曲となっている[1]。
リリース・評価
[編集]エヴェレットは、著書の中でビートルズによるレコーディングは、クレイマーのレコードの宣伝が目的であることを示唆している[10]。ビートルズによる「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」は、1970年代から1980年代にかけて複数の海賊盤で流通[17]し、1994年に発売された『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』に収録された[18][8]。
マクドナルドは、本作の歌詞と音楽性について「嘲笑的なまでにうぶ」と評している[8]。エヴェレットは、著書の中で本作の「This way will I go(そこへ行くよ)」というフレーズが、「アイル・フォロー・ザ・サン」の歌詞と密接な関係にあると書いている[10]。また、コード進行については「つまらない」と結論づけている[10]。ピーター・ドゲットとパトリック・ハンフリーズは、本作について「(これまで唯一未発表とされていたオリジナル曲であるため)『ライブ・アット・ザ・BBC』の発売に対する批判の対象とされていたことを不当に思う」とし、「誰もこの曲を大々的に宣伝しなかったが、当時2人が書いた多くの作品に引けを取らない」と評している[19]。『オールミュージック』にレビューを寄稿したリッチー・アンターバーガーは、「初期のビートルズの楽曲としては弱いが、シングルのB面曲にはふさわしかったであろうかなり典型的な1963年初頭のレノン=マッカートニーの作品」とし、「『アスク・ミー・ホワイ』や『サンキュー・ガール』よりも優れたB面曲となっていたことだろう」と評している[20]。
J-WAVEの『PIONEER TOKIO HOT 100』では、1995年1月1日の週で最高位5位を記録[21]。
クレジット
[編集]※出典[8]
ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスによる演奏
[編集]「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」 | |||||||||||
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ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスの楽曲 | |||||||||||
英語名 | I'll Be on My Way | ||||||||||
リリース | 1963年4月26日 | ||||||||||
規格 | 7インチシングル | ||||||||||
A面 | ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット | ||||||||||
録音 | 1963年3月14日、21日 | ||||||||||
ジャンル | ロック | ||||||||||
時間 | 1分40秒 | ||||||||||
レーベル | パーロフォン | ||||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | ||||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | ||||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | ||||||||||
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ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスは、1963年3月14日と21日に「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」のレコーディングを行なった[22]。プロデュースはジョージ・マーティンが手がけた[1]。こちらのバージョンは、ビートルズよりも速いテンポで演奏されている[20]。
ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスによる「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」は、1963年4月26日にデビュー・シングル『ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット』のB面曲として発売された[23][24][8]。アメリカでは1964年10月にシングル『フロム・ア・ウィンドウ』のB面曲として再発売された[25]。その後、同年に発売されたEP『The Billy J. Kramer Hits』[26]や、1979年に発売されたコンピレーション・アルバム『ザ・ソング・オブ・レノン&マッカートニー』[27]に収録された。
アンターバーガーは、「きらめく密集したボーカル・ハーモニー」や「イントロにおける独特の上昇進行」が含まれていないことから、「ビートルズのBBCでの演奏より劣っている」と評している[20]。
シングル収録曲
[編集]全作詞・作曲: レノン=マッカートニー。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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A. | 「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」(Do You Want To Know A Secret) | |
B. | 「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」(I'll Be On My Way) | |
合計時間: |
全作詞・作曲: レノン=マッカートニー。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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A. | 「フロム・ア・ウィンドウ」(From A Window) | |
B. | 「アイル・ビー・オン・マイ・ウェイ」(I'll Be On My Way) | |
合計時間: |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e Womack 2014, p. 442.
- ^ Lewisohn 2013, p. 214-215.
- ^ Compton 2017, pp. 48–49.
- ^ Sheff 2000, p. 170.
- ^ The Beatles 2000, p. 20.
- ^ a b c d Lewisohn 2013, p. 705.
- ^ Everett 2001, p. 101.
- ^ a b c d e f MacDonald 2005, p. 82.
- ^ Everett 2001, p. 52.
- ^ a b c d e f Everett 2001, p. 169.
- ^ a b Winn 2008, p. 42.
- ^ マーク・ルイソン『ザ・ビートルズ史 誕生(上)』訳者: 山川真理、吉野由樹、松田ようこ、河出書房新社、東京都渋谷区、2016年、410頁。ISBN 978-4-309-27789-9。
- ^ Lewisohn 2013, p. 706.
- ^ マーク・ルイソン『ザ・ビートルズ史 誕生(下)』訳者: 山川真理、吉野由樹、松田ようこ、河出書房新社、東京都渋谷区、2016年、582頁。ISBN 978-4-309-27790-5。
- ^ Everett 2001, p. 388n190.
- ^ Everett 2001, p. 134-135.
- ^ Winn 2008, pp. 42–43.
- ^ Everett 2001, p. 160.
- ^ Doggett & Humphries 2010, p. 224.
- ^ a b c Unterberger, Richie. “I'll Be on My Way by The Beatles - Track Info”. AllMusic. RhythmOne. 2022年7月14日閲覧。
- ^ “PIONEER TOKIO HOT 100”. Billboard (Nielsen Business Media) 107 (3): 73. ISSN 0006-2510 .
- ^ Everett 2001, p. 167.
- ^ Everett 2001, p. 387n182.
- ^ Ingham, Chris (2003). The Rough Guide to the Beatles. London: Rough Guides. p. 381. ISBN 978-1-843-53140-1
- ^ Womack 2014, p. 287.
- ^ The Billy J. Kramer Hits (EP sleeve notes). Billy J. Kramer with The Dakotas. Parlophone. 1963. GEP 8885。
- ^ Unterberger, Richie. Songs Lennon & McCartney Gave Away - Various Artists | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2022年7月17日閲覧。
参考文献
[編集]- The Beatles (2000). The Beatles Anthology. San Francisco: Chronicle Books. ISBN 978-0-8118-2684-6
- Compton, Todd (2017). Who Wrote the Beatles Songs? A History of Lennon-McCartney. San Jose: Pahreah Press. ISBN 978-0-9988997-0-1
- Doggett, Peter; Humphries, Patrick (2010). The Beatles: The Music and the Myth. London: Omnibus Press. ISBN 0857123610
- Everett, Walter (2001). The Beatles As Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. Oxford and New York: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-514105-4
- Lewisohn, Mark (2013). The Beatles – All These Years, Volume One: Volume One: Tune In. Crown Archetype. ISBN 978-1-400-08305-3
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd revised ed.). London: Pimlico. ISBN 978-1-84413-828-9
- Sheff, David (2000). All We Are Saying: The Last Major Interview with John Lennon and Yoko Ono. New York: St Martin's Griffin. ISBN 0-312-25464-4
- Winn, John C. (2008). Way Beyond Compare: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1957-1965. New York: Crown Archetype. ISBN 0307452387
- Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. ISBN 0-313-39172-6
外部リンク
[編集]- I'll Be on My Way - Geniusの歌詞ページ