ワンカップP
ワンカップP(ワンカップピー)は日本の音楽家・イラストレーター。「わんかっぷP」あるいは「わP」とも呼ばれる。
なお、名前の最後についている「P」の文字は敬称であるとも言える(後述の#影響を参照)が、ワンカップPは「P」を除いて呼ばれることはないため、本稿では名前の一部として扱う。
概要
[編集]動画投稿サイトニコニコ動画を中心に作品を発表している。本業は愛知県在住の会社員。2007年8月、ニコニコ動画で歌声合成ソフトMEIKOを使用した動画を見たことをきっかけにニコニコ動画への投稿を開始。MEIKO購入の半月後にはMEIKOの次世代の音声合成エンジンを使用したソフト初音ミクの発売を迎えるが[1]、予約した初音ミクが発売当初の品薄のため発売日を過ぎても届かず、ゲーム音楽のメロディーに初音ミクが届かないことを題材にした歌詞を乗せた歌をMEIKOで作成、ニコニコ動画へ投稿し、これをきっかけに人気となる。初音ミク入手後はオリジナル曲も発表。動画に使用している筆ペンを用いたイラストにも定評がある[1]。投稿した動画を見た編集者やプロデューサーから声がかかるようになり、音楽やイラストなどの仕事も手がけているが、2008年7月のITmediaのインタビューでは音楽や絵を本業にしていくつもりはないとしている。2011年12月には名古屋市の大須で初の原画展を行なった[2][3]。
なお、MEIKOや初音ミクといったVOCALOIDの人気はキャラクターとしての人気という要素も強いが、ワンカップPは自身にとってVOCALOIDは「楽器」であるとしている[1]。
商業作品
[編集]CD
[編集]- 『名鉄パノラマカー・メモリアルアルバム・メモリアルアルバム 〜ありがとさよなら〜』(sweeprecord、2009年1月4日発売)
- 『EXIT TUNES PRESENTS Vocarhythm feat.初音ミク』(EXIT TUNES、2009年3月4日発売)
- 初音ミクを用いた楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。初音ミクによる「子猫のパヤパヤ」を提供。
- 『EXIT TUNES PRESENTS STARDOM 2』(EXIT TUNES、2009年8月19日発売)
- 動画サイトで人気の楽曲を収録したコンピレーション・アルバム。柳麻美による「子猫のパヤパヤ」を収録。
- 『初音ミク -Project DIVA Arcade- Original Song Collection』(MOER、2010年7月7日発売)
- セガのアーケードゲーム『初音ミク -Project DIVA Arcade-』に使用されている楽曲を集めたコンピレーション・アルバム。「ペリコ・スペースシッパー」を収録。
- 『ぼーかろいど みんなのうた おうた:はつねみく』(MOER、2010年12月22日発売)
- VOCALOIDを用いた楽曲を収録したコンセプトアルバム。初音ミクによる「子猫のパヤパヤ」を提供。
書籍
[編集]- 世界一へんな地図帳(白夜書房、2008年3月15日発売、ISBN 978-4861913808)
- イラストを担当。
- 日本一へんな地図帳(白夜書房、2008年9月13日発売、ISBN 978-4861914591)
- イラストを担当。
- 絵本「こねこのパヤパヤ」(ローヤル企画、2008年9月17日発売、ISBN 978-4904459003)
- ワンカップP作詞作曲の「子猫のパヤパヤ」をモチーフにした ゆき による絵本。初音ミクを用いてニコニコ動画で公開されていた同曲にゆきがPVをつけて公開したことがきっかけで商品化された。付属CDには柳麻美・新田まこの歌う「子猫のパヤパヤ」のオリジナル版と、新田まこの歌うピアノ版を収録。
- ワンカップPファンブック「子猫のパヤパヤ」(同上、ISBN 978-4904459010)
- 絵本「こねこのパヤパヤ」と同時発売のファンブック。付属CDには柳麻美・新田まこの歌う「子猫のパヤパヤ」のオリジナル版、柳麻美の歌うbug-ageによるゲーム風アレンジ、OSTER projectによるピアノアレンジを収録。イラストも担当。
その他
[編集]- MEIKOの日本酒(柏露酒造、2013年3月12日発売)
影響
[編集]ワンカップPが初音ミク発売直後に、品薄のため届かないことを題材として発表した一連の動画は、VOCALOIDのブーム全体に大きな影響を与えた。
- ワンカップPの名前は、「初音ミクが届いた気がしましたが」に視聴者がつけた「ワンカップPの次回作に期待」というコメントが由来となっている。名前の最後についている「P」の文字はプロデューサーの略で、元々はアイドル育成ゲームTHE IDOLM@STERのプレイヤーネームに由来するとされ[6]、ニコニコ動画にTHE IDOLM@STERを使用したMAD動画やVOCALOID関連の動画を投稿する作者につけられる敬称、あるいは称号として使用されているものである。VOCALOID関連動画の投稿者で「P」と名付けられたのはワンカップPが最初だとされ、そこからVOCALOID関連の制作者をPと呼ぶ慣習が広まったと言われる。
- 動画「初音ミクが来ないのでまだスネています」でMEIKOで歌わせた「ワンカップを一気飲み 明日は届くといいな」という歌詞をきっかけに、MEIKOが酒好きというイメージが広まり、MEIKOのフィギュアにも一升瓶、ワンカップ、グラスなどの小物を付属させるといった形で取り入れられている[7][8]。
- これらの動画は、初音ミクの知名度を上げるとともに、品薄による飢餓感を煽り、初音ミクの人気拡大の要因の一つとなったとされる[9]。なお、「初音ミクが来ないのでスネています」に対していち早くアンサーソング「初音ミクが来たのでスネていません」を発表して反応したのが、同様に初音ミク人気拡大のきっかけとして挙げられる動画「VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた」を発表したOtomaniaである。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- 岡田有花 (2008年7月3日). “遅く来た春 ミク×ニコ動がうんだ36歳の人気者”. ITmedia 2009年3月3日閲覧。
- 鮎川ぱて (2011年9月1日). “新連載 『初音ミク 4周年記念 未来の音楽夜話』”. ASCII.jp (アスキー・メディアワークス) 2011年12月16日閲覧。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 「特集 VOCALOID」『DTM magazine』(通号 173) 2008.8、寺島情報企画、37頁。
- ^ “わんかっぷP原画展 第2アメ横1F”. 大須 アメ横. 2011年12月18日閲覧。
- ^ “出た!名古屋大須で「ワンカップP原画展」が開催中”. 初音ミクみく. (2011年12月4日) 2011年12月18日閲覧。
- ^ 『週刊アスキー』第921号、アスキー・メディアワークス、2013年3月、20頁。
- ^ “ファミリーマート、「メイコの日本酒」予約受付中”. マイナビニュース (マイナビ). (2013年4月21日) 2013年5月16日閲覧。
- ^ 増田聡 著「データベース、パクリ、初音ミク」、東浩紀・北田暁大編 編『思想地図. v.1』 特集・日本、日本放送出版協会、2008年、175頁頁。ISBN 978-4-14-009340-5。
- ^ 『初音ミクMIXING BOX』講談社、2008年、初音ミク スペシャルファンブック30頁頁。ISBN 978-4-06-358260-4。
- ^ 伊藤真広 (2011年12月8日). “パッケージイラストも再現可能、ねんどろいどのMEIKOが登場”. ASCII.jp (アスキー・メディアワークス) 2011年12月16日閲覧。
- ^ 『初音ミクMIXING BOX』講談社、2008年、初音ミク スペシャルファンブック23頁頁。ISBN 978-4-06-358260-4。