コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

幼女戦記 (アニメ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ようじょしぇんきから転送)
幼女戦記 > 幼女戦記 (アニメ)
幼女戦記

ジャンル 戦争[1]異世界ファンタジー[2]
アニメ
原作 カルロ・ゼン
監督 上村泰
シリーズ構成 猪原健太
脚本 猪原健太
キャラクターデザイン 細越裕治
音楽 片山修志
アニメーション制作 NUT
製作 幼女戦記製作委員会
放送局 AT-Xほか
放送期間 第1期:2017年1月6日 - 3月31日
話数 第1期:全12話
アニメ:ようじょしぇんき
原作 カルロ・ゼン
監督 芦名みのる
脚本 芦名みのる
キャラクターデザイン たけはらみのる
音楽 片山修志
アニメーション制作 スタジオぷYUKAI
配信サイト YouTube
配信期間 2017年1月6日 - 4月3日
話数 全13話
映画:劇場版 幼女戦記
原作 カルロ・ゼン
監督 上村泰
脚本 猪原健太
キャラクターデザイン 細越裕治
音楽 片山修志
制作 NUT
製作 劇場版幼女戦記製作委員会
配給 角川ANIMATION
封切日 2019年2月8日
上映時間 101分
その他 PG12指定
ラジオ:幼女戦記 ラジオの悪魔
配信期間 2017年1月7日 - 7月1日
配信サイト 音泉
配信日 毎週土曜日
パーソナリティ 悠木碧三木眞一郎
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメラジオ

幼女戦記』(ようじょせんき)は、カルロ・ゼンによる同名のライトノベルを原作とした日本のアニメ作品。AT-Xほかにて、第1期が2017年1月から3月まで放送された。第2期『幼女戦記II』は2021年6月19日にABEMAでの特番「『幼女戦記』生還記念座談会〜激闘を振り返って〜」で製作が発表され[3]、同特番内で新規短編映像「砂漠のパスタ大作戦」が放送された[4]

2019年2月8日には完全新作アニメーション『劇場版 幼女戦記』が公開された。

登場人物

[編集]

スタッフ

[編集]
第1期[6][7]
原作 カルロ・ゼン
キャラクター原案 篠月しのぶ
監督 上村泰、春藤佳奈(副)
シリーズ構成・脚本 猪原健太
キャラクターデザイン
・総作画監督
細越裕治
サブキャラクター
デザイン
谷口宏美、牧孝雄、髙田晴仁
服飾デザイン 谷口宏美
魔導具デザイン 江畑諒真
プロップデザイン 森山洋
銃器デザイン 秋篠Denforword日和、大津直
キーアニメーター 石橋翔祐、栗田新一、堀内博之
エフェクト
ディレクター
橋本敬史
軍事考証 大藤玲一郎
美術監督 平栁悟
色彩設計 中村千穂
撮影監督 頓所信二
3DCGIディレクター 高橋将人
編集 神宮司由美
音響監督 岩浪美和
音楽 片山修志
音楽プロデューサー 若林豪
音楽制作 KADOKAWA
プロデューサー 田中翔、菊島憲文、角木卓哉
礒谷徳知、新井恵介
アニメーション
プロデューサー
角木卓哉
アニメーション制作 NUT
製作 幼女戦記製作委員会

製作

[編集]

経緯・スタッフィング

[編集]

プロデューサーには、『オーバーロード』のプロデューサーを務めた田中翔が起用された[6]。 田中は原作であるWeb小説の存在を知っていたが[8]、単行本版の発行を知った際にアニメ化する前提で単行本版を読み込んだと、おたぽるとのインタビューの中で述べている[8]

田中は原作に含まれる思想や宗教についてどこまで反映させるべきか悩み、原作者のカルロ・ゼンから「テレビアニメにはテレビアニメのやり方があるので、エンターテインメントに徹してほしい」とアドバイスを受けた[8]

テレビアニメ版の監修はカルロ・ゼンが務めるほか、軍事考証として大藤玲一郎が参加している[8]

アニメーションは本作が初元請けとなるNUTが制作し[8]、監督は元ガイナックスの上村泰が務める[8]。田中は上村を起用した理由について、「2015年の監督作である『パンチライン』の演出が面白く、オールマイティにこなせると思った」とおたぽるとのインタビューの中で述べている[8]

猪原健太は本作で初めてシリーズ構成を務め、全ての回の脚本も手掛けている[8]。田中は猪原を起用した理由について、「『デス・パレード』や『亜人』などのシリアスな作品に参加したことがあるからこそ、『幼女戦記』をおもしろくできるのではないか」とインタビューの中で答えている[8]

キャラクターのデザイン原案は単行本版の挿絵を手掛けた篠月しのぶが務め、メインキャラクターのデザインは総作画監督を兼任する細越裕治が担当した[8]。また、ゲストキャラクターやモブキャラクターのデザインは谷口宏美、牧孝雄、髙田晴仁の三人が手掛けている[8]。 このほかにも谷口宏美が服飾のデザインを、江畑諒真が魔導具のデザインを、秋篠Denforword日和と大津直が銃器のデザインをそれぞれ担当した[8]

脚本

[編集]

原作となる小説は意図的に時系列がバラバラであるうえ、様々なキャラクターの視点で物語が展開する一方、テレビアニメ版は一本の物語として再構築され[8]、ターニャの視点を通じて各国の状況が描かれている[9]。たとえば、原作ではライン戦線のエピソードが巻をまたいで3篇にわたって語られているのに対し、テレビアニメ版では「ラインの悪魔」というサブタイトルで一つのエピソードとしてまとめられた[10]。その一方で、再構築の過程で発生した違和感をなくす措置も行われた[8]。 初期の構成案では原作通りの時系列で話が進行することになっていたが、猪原が『プライベート・ライアン』のように冒頭で引き込み、かつ視聴者がターニャに戸惑いを持たせる構成にしたいと考えた結果、第1話におけるターニャの内面描写は簡略化され、ヴィーシャとレルゲンの視点で物語が進むという構成になった[9]。また、猪原は第2話の冒頭の舞台を現代にした理由について、「自分は海外ドラマが好きで、サブタイトルをプロローグにすれば視聴者に伝わると思った」とWebNewtypeとのインタビューで話している[9]

国家間の戦争を題材とする本作の登場人物の大半は男性であり、女性であるターニャとヴィーシャは異端な存在であると田中はインタビューの中で述べている[8]

演出・美術

[編集]

上村は本作の方向性について、「原作小説をウイスキーロックとするなら、アニメはハイボールでいく」とし、ターニャの魅力を中心とした構成にしたとWebNewtypeとのインタビューの中で述べている[11]。また、上村は作品の雰囲気について、「原作を読んだ際、ゼートゥーアとルーデルドルフとレルゲンに魅力を感じ、アニメ化する際はしっかり彼らを描きたいと考えていたため、当初から落ち着いた雰囲気を作品全体にいきわたらせるよう意識した」と話している[11]

上村は"存在X"を登場させるか否かについて悩み、一時は存在Xと「おっさん」としてのターニャの部分をそぎ落とそうとも考えたが、ターニャの保身の動機付けを明確にしたいと考え、そのままにした[11]。また、第2話で存在Xが周囲の人々を通じてターニャの前世である男性に語り掛けるという演出は、プロデューサーの一人である角木卓哉のアイデアである[11]

テレビアニメ版では、国ごとに特徴をつけるため、兵装や戦闘方法に差異がもたれた。たとえば、効率を重視する帝国軍の魔導士は演算宝珠といった必要最低限の装備で空を飛ぶ演出がとられ、共和国軍の魔導士は馬のような兵器に跨って飛行するという演出がとられた[8]。 兵器や武器は架空のものであるが、実在のものをモチーフとしている[8]

テレビアニメ版のキャラクターデザインがコミカライズ版と異なる理由について、上村は「原作小説の扉絵のインパクトがあまりにも大きかったため、そのニュアンスが十分に出るキャラクターデザインにするよう心掛けた」とWebNewtypeとのインタビューで話している[11]

演技・キャスティング

[編集]

テレビアニメ版ではサウンドドラマの配役から一新し、主人公であるターニャ・デグレチャフ役には悠木碧が、ターニャの副官となるヴィーシャ役には早見沙織が起用された[12]。 当初上村はターニャのモノローグを男性声優に当ててもらおうと考えていたが、田中から「モノローグも幼女にしたい」提案を受け、話し合いの結果、現在の形になった[11]。 また、重要人物の役にはベテラン声優が起用された一方、ターニャの部下の役には若い声優が起用された[8]。 悠木は「オーディションの時から幼女の要素よりも化け物としての要素が強い演技の方が勝機があると思っていた」と『オーバーロード』との合同記者会見で話しており[6]、WebNewtypeに寄せたキャストコメントの中でも「幼女3:化け物7くらいの比率で演じるようにした」と述べている[12]。 ヴィーシャを演じる早見は、「以前から表情が豊かな女性だと思っていたが、絵が付いたことにより表情の幅が出ていると感じている。特に、ギャグパートでは、表情の崩れ具合に合わせて演技が変化した」と述べている[12]

主題歌

[編集]
「JINGO JUNGLE」
MYTH & ROIDによるオープニングテーマ。初回以外の話数で使用され、第2話および第12話ではエンディング位置で使用された。
楽曲はインダストリアル・ロックとして制作されており、作品の世界観に合わせ、狂気じみた仕上がりとなっている[13]
「Los! Los! Los!」
ターニャ・フォン・デグレチャフ(声 - 悠木碧)によるエンディングテーマ。初回およびオープニングと後述の楽曲が用いられた話数以外で使用。作詞はhotaru、作曲は八木雄一、編曲はeba
「戦線のリアリズム」
新菜まこによる第8話エンディングテーマならびに第9話挿入歌。作詞・作曲・編曲はHeart's Cry

評価

[編集]

本作1期のBlu-ray第1巻の初週売上は5,846枚を記録し、週間・Blu-rayアニメランキング(ORICON調べ)では4位を獲得した[14]。第2巻の初週売上は5,538枚を記録し、週間・Blu-rayアニメランキング(同調べ)では9位を獲得した[15]。第3巻の初週売上は5,912枚を記録し、週間・Blu-rayアニメランキング(同調べ)では5位を獲得した[16]

ライターのまにょは「2017年 年間ベストアニメTOP10」と題した年末企画で本作を6位にしている[17]

アニメ評論家の藤津亮太は本作のストーリーには「周囲が設定した状況の中で汲々と生きるしかない『普通の人々』」「優れた知性と行動力で状況を変える『自由』を持ったデグレチャフ少尉」「デグレチャフ少尉をさらに上部から見下ろすのが『存在X』」の3つの階層があると述べる[18]。また、同氏はデグレチャフ少尉の「自由」について以下のように述べている。

実は、デグレチャフ少尉の「自由」は、普通の人々と「存在X」に挟まれて、本人が思っているほどには「自由」ではない。「普通の人」や「存在X」の言動が彼女の傲慢な態度に対する“ツッコミ”になることで、視聴者は「不自由にもかかわらず、自由だと思っている」という構図で彼女を笑うことができる。悪魔のように傲慢なデグレチャフ少尉が主人公として機能しているのは、そこがキャラクターの隙になっているからだ。 — 藤津亮太[18]

同氏は最後に、デグレチャフ少尉のように自由を信じることの出来ない私たちが、かりそめに楽しめる「自由」と「不自由」が三層構造の中から浮かび上がってくるのが『幼女戦記』の面白さであると述べている[18]

第2回Crunchyrollアニメアワードではターニャ・デグレチャフがBest Villain(ベストヴィラン賞)にノミネートされた[19][20]

第39回アニメグランプリでは女性キャラクター部門でターニャ・デグレチャフが20位を獲得している[21]

アメリカのアニメ評価サイト「Anime Trending」が主催した「第4回 Anime Trending Awards」での結果は以下の通り。

10位以内のみ記載している。
部門 対象 結果 出典
ANIME OF THE YEAR 幼女戦記 3位 [22]
BEST IN ADAPTATION 6位
BEST IN ANIMATION EFFECTS AND SEQUENCE 10位
BEST IN SOUNDTRACK 10位
ACTION OR ADVENTURE ANIME OF THE YEAR 5位
BEST VOICE ACTING PERFORMANCE BY A FEMALE 悠木碧(ターニャ・デグレチャフ役) 1位

各話リスト

[編集]
話数サブタイトル絵コンテ演出作画監督初放送日
第1期
第壱話ラインの悪魔
  • 上村泰
  • 谷口宏美
上村泰細越裕治2017年
1月6日
第弐話プロローグ 赤松康裕高田晴仁1月13日
第参話神がそれを望まれる 春藤佳奈谷口宏美1月20日
第肆話キャンパス・ライフ
  • 赤松康裕
  • 春藤佳奈
  • 谷口宏美
  • 上村泰
丸山裕介
  • 南井尚子
  • 山口菜
1月27日
第伍話はじまりの大隊 サトウシンジ高村雄太
  • 牧孝雄
  • 谷口宏美
  • 高田晴仁
  • 栗田新一
  • 細越裕治
2月3日
第陸話狂気の幕開け 熊澤祐嗣赤松康裕
  • 梁博雅
  • 斎藤美香
  • 牧孝雄
  • 谷口宏美
  • 高田晴仁
  • 南井尚子
  • 三島詠子
  • 緒方歩惟
2月10日
第陸.伍話戦況報告[注 1] -2月17日
第質話フィヨルドの攻防 春藤佳奈
  • 牧孝雄
  • 谷口宏美
  • 高田晴仁
2月24日
第捌話火の試練 小林寛migmi
  • 三島詠子
  • 緒方歩惟
  • 梁博雅
  • 南井尚子
3月3日
第玖話前進準備
  • 丸山裕介
  • 谷口宏美
  • 上村泰
丸山裕介
  • 三井麻未
  • 山中正博
  • 山村俊了
  • KIM SU-HO
  • LEE JU-HYON
3月10日
第拾話勝利への道
  • 上村泰
  • 谷口宏美
小野田雄亮
  • 後藤圭佑
  • 重原克也
  • 林あすか
3月17日
第拾壱話抵抗者 立川譲
  • 牧孝雄
  • 高田晴仁
  • 谷口宏美
3月24日
第拾弐話勝利の使い方
  • 春藤佳奈
  • 上村泰
  • 谷口宏美
  • 春藤佳奈
  • 上村泰
  • 南井尚子
  • 緒方歩惟
  • 三島詠子
  • あべたくじ
  • 村田睦明
  • 山口菜
  • 東亮太
  • 小島昌之
3月31日
閑話砂漠のパスタ大作戦[注 2]
  • 上村泰
  • 谷口宏美
上村泰細越裕治2021年
6月27日[23]

放送局

[編集]
日本国内 テレビ / 第1期 放送期間および放送時間[24]
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [25] 備考
2017年1月6日 - 3月31日 金曜 22:00 - 22:30 AT-X 日本全域 製作参加 / CS放送 / リピート放送あり
2017年1月7日 - 4月1日 土曜 1:05 - 1:35 (金曜深夜) TOKYO MX 東京都
2017年1月8日 - 4月2日 日曜 23:30 - 月曜 0:00 KBS京都 京都府
2017年1月9日 - 4月3日 月曜 1:00 - 1:30 (日曜深夜) サンテレビ 兵庫県 [注 3]
月曜 2:05 - 2:35 (日曜深夜) テレビ愛知 愛知県
2017年1月10日 - 4月4日 火曜 0:30 - 1:00 (月曜深夜) BS11 日本全域 BS放送 / 『ANIME+』枠
日本国内 インターネット / 第1期 配信期間および配信時間
配信期間 配信時間 配信サイト
2017年1月7日 - 4月1日 土曜 1:35 (金曜深夜) AbemaTV
2017年1月20日 - 4月14日 木曜 12:00 ニコニコ動画[26] / GYAO![27] / バンダイチャンネル[28]

関連商品

[編集]

BD / DVD

[編集]
発売日 収録話 規格品番
BD DVD
第1期
1 2017年4月26日 第1話 - 第4話 ZMXZ-10981 ZMBZ-10991
2 2017年5月24日 第5話 - 第8話 ZMXZ-10982 ZMBZ-10992
3 2017年6月28日 第9話 - 第12話 ZMXZ-10983 ZMBZ-10993
BOX 2022年3月30日 全12話 ZMAZ-15391

書籍

[編集]
  • 『幼女戦記 アニメ完全設定資料集』2017年5月31日初版発行(同日発売[29])、ISBN 978-4-04-734640-6

Webラジオ

[編集]

幼女戦記 ラジオの悪魔』は、2017年1月7日から7月1日まで音泉にて毎週土曜日に配信された番組[30]。パーソナリティはターニャ・デグレチャフ役の悠木碧とレルゲン役の三木眞一郎

短編アニメ

[編集]

ようじょしぇんき』はYouTubeにてWeb配信された短編アニメ。#00を除き、2週間限定配信となる。 TVアニメ公式サイトからも視聴可能[31]。また、2022年3月30日発売のBlu-ray BOXに特典映像として全話収録された[32]

AbemaTVではYouTube公開に先んじて、本編と同様に最新話が配信された。

監督・脚本・演出は芦名みのる、ぷちキャラクターデザイン・作画監督はたけはらみのる、アニメーション制作はスタジオぷYUKAIが担当。

本編と異なる製作ラインで作成されたためか、ターニャが使用する銃の設定などに微妙に齟齬がある。

話数 配信日 登場キャラ
#00 2017年 1月6日 ターニャ
#01 1月10日 ヴィーシャ
#02 1月16日
#03 1月23日 シューゲル
#04 1月30日
#05 2月6日 グランツ
ケーニッヒ
ノイマン
#06 2月13日 ヴァイス
#07 2月27日 ケーニッヒ
ノイマン
#08 3月6日 ヴァイス
#09 3月13日
#10 3月20日 グランツ
ケーニッヒ
ノイマン
#11 3月27日
#12 4月3日 ターニャ

劇場アニメ

[編集]

完全新作アニメーション『劇場版 幼女戦記』(げきじょうばん ようじょせんき)が2019年2月8日より公開[33]PG12指定[34]。スタッフや声優はテレビアニメから続投する[35]。同年2月15日には大ヒット御礼としてYouTubeにて本編映像一部が公開された[36]。興行収入は4億2000万円[37]

スタッフ

[編集]

製作

[編集]

『劇場版 幼女戦記』でプロデューサーを務めた菊島憲文は公開初日の舞台挨拶にて、テレビシリーズの反響が大きく、その時点から続編の話はあったものの、熱量の大きさからテレビシリーズ終了まで保留にし、テレビシリーズ終了後にテレビシリーズか劇場用アニメ映画のどちらにするか天秤にかけ、音響やアクションシーンの迫力の観点から後者を選んだと述べている[38]

一方、音響監督の岩浪美和は、テレビアニメの終了間際に反響が良かったことから劇場版製作の決定が伝えられたと2019年3月に行われたWebNewTypeとのインタビューの中で説明している[39]

サウンド

[編集]

岩波は音の演出において「劇場ならではの音楽の流れをどうやって作っていくか」という点が最も苦労したという。ターニャの目線で物語が進むテレビアニメとは異なり、劇場版ではターニャと敵対するメアリーの側にも視点が行き、描き方が変わっていくことが理由であるという。本作のクライマックスにおけるターニャとメアリーの一騎打ちのシーンでは一切音楽が使用されていないが、これは本来クライマックスで使われるはずの最も盛り上がる音楽をあえて使わないことで本作が伝えたいテーマのようなものを観客に考えてもらいたいという岩波の考えによるものである[39]

アフレコ

[編集]

劇場版のキャストはテレビシリーズとほぼ同じである一方、同作からの新キャラクターであるビビ役には田村睦心が起用された[38]。 本作のアフレコは2018年9月頃という、劇場アニメとしては遅いタイミングとされており、ターニャ役の悠木碧はヴィーシャ役の早見沙織となかなか始まらないと話していたと舞台あいさつの中で振り返っている[38]。また、悠木はメアリー・スー役の戸松遥とはこれまで仲の良い役で出演することが多かったため、本格的な戦闘での掛け合いは初めてだと述べており、「戸松さんは瞬間的なお芝居をされるイメージなので、身を引き締めて掛からないと負けるぞ」と収録の際は意気込んでいたことを明かしている[38]。また、田村は舞台挨拶の中で、悠木の演技が怖かったと打ち明けた際、悠木から「私じゃなくてターニャが怖いのよ」とフォローされていたと話している[38]

主題歌

[編集]
Remembrance
作詞・作曲・歌はMYTH & ROID

挿入歌

[編集]
『Los! Los! Los!』
テレビアニメ版のエンディングテーマ。

反響・評価

[編集]

本作の劇場版について岩波によれば、観客から「音が良い」という声が多く寄せられたとのこと[39]

映画レビューサービス「Filmarks」が発表した「2月第2週公開映画の初日満足度ランキング」では1位を獲得した[40]

クロスオーバーアニメ

[編集]

異世界かるてっと』は、本作を含むKADOKAWA刊行の4作品(『Re:ゼロから始める異世界生活』、『オーバーロード』、『この素晴らしい世界に祝福を!』、『幼女戦記』)の登場人物が一堂に会し、プチキャラ化して登場するクロスオーバー作品[41]。2019年4月から6月まで第1期、2020年1月から4月まで第2期が放送された。

パチスロ

[編集]

Sammyが販売を発表。

パチスロ
  • パチスロ幼女戦記(2022年11月)[42]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 世界大戦編前の総集編であり、所々でターニャの回想コメントが流される。なお、この回は本放送用であり、再放送版以降では未放送(実際、2018年1月から再放送されているBS11は、第陸話本編終了後の次回予告が第質話のものに変更されていた)。但し、2019年2月3日の一挙放送では放送された。
  2. ^ 劇場版の前日譚
  3. ^ 最終話 (第12話) は4月4日 (火) 0:30 - 1:00

出典

[編集]
  1. ^ “幼女×戦争×異世界転生!『劇場版 幼女戦記』悠木碧の暴言ボイスにシビれること間違いなし!【アマゾンプライムビデオおすすめ】”. ファミ通.COM. (2020年8月29日). https://www.famitsu.com/news/202008/30204729.html 2024年6月15日閲覧。 
  2. ^ “「Re:ゼロ」「このすば」ほか“異世界×ファンタジー”が大集結!第1話だけ集めて放送決定”. アニメ!アニメ!. (2020年4月6日). https://animeanime.jp/article/2020/04/06/52733.html 2024年6月15日閲覧。 
  3. ^ TVアニメ「幼女戦記」第2期の制作決定!ティザービジュアルと予告映像も解禁”. コミックナタリー (2021年6月19日). 2021年6月20日閲覧。
  4. ^ https://twitter.com/youjosenki/status/1406252684550705155”. Twitter. 2022年11月25日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 幼女戦記”. allcinema. 2023年9月6日閲覧。
  6. ^ a b c 素敵に殺していただいて大変満足でした!――悠木碧さん、原由実さんらが各作品への愛を語った『オーバーロード』×『幼女戦記』合同記者会見レポート”. アニメイトTV (2016年12月18日). 2017年1月18日閲覧。
  7. ^ STAFF&CAST”. 「幼女戦記」アニメ公式サイト. 2018年10月10日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r タイトルは「幼女」だけど出てくるのはおっさんばかり!? 勇者の中の勇者がTVアニメ化を果たした『幼女戦記』田中翔PDインタビュー!”. おたぽる (2016年12月30日). 2017年1月18日閲覧。
  9. ^ a b c 細川洋平 (2017年2月11日). “『へそ曲がりの幼女が戦争を生き抜く姿を――「幼女戦記」シリーズ構成・脚本 猪原健太インタビュー”. WebNewtype. 2017年2月17日閲覧。
  10. ^ 桜木尚矢 (2017年1月28日). “見た目は可愛い幼女、でも中身は中年エリートサラリーマン!? TVアニメも放送中のコミック版『幼女戦記』レビュー”. おたぽる. 2017年1月29日閲覧。
  11. ^ a b c d e f 細川洋平 (2017年2月11日). “目指したのはハイボールとしての美味しさ「幼女戦記」上村泰監督インタビュー”. WebNewtype. 2017年2月17日閲覧。
  12. ^ a b c カカオ90%のビターなアニメ?「幼女戦記」キャストコメントが到着”. WebNewtype. Newtype (2007年1月6日). 2017年1月18日閲覧。
  13. ^ MYTH & ROID、新曲「JINGO JUMGLE」でアニメ『幼女戦記』オープニングテーマ担当”. Realsound (2016年11月14日). 2017年1月18日閲覧。
  14. ^ “Japan's Animation Blu-ray Disc Ranking, April 24-30”. (2017年5月2日). https://www.animenewsnetwork.com/news/2017-05-02/japan-animation-blu-ray-disc-ranking-april-24-30/.115599 2022年5月12日閲覧。 
  15. ^ “Japan's Animation Blu-ray Disc Ranking, March 25-31”. Anime News Network. (2017年5月30日). https://www.animenewsnetwork.com/news/2017-05-30/japan-animation-blu-ray-disc-ranking-may-22-28/.116762 2022年5月12日閲覧。 
  16. ^ “Japan's Animation Blu-ray Disc Ranking, June 26-July 2”. Anime News Network. (2017年7月7日). https://www.animenewsnetwork.com/news/2017-07-07/japan-animation-blu-ray-disc-ranking-june-26-july-2/.118524 2022年5月12日閲覧。 
  17. ^ “年末企画:まにょの「2017年 年間ベストアニメTOP10」”. Real Sound. (2017年12月19日). https://realsound.jp/movie/2017/12/post-140566.html 2022年5月12日閲覧。 
  18. ^ a b c “『幼女戦記』のおもしろさとは? ~「自由」と「不自由」の三層構造~ 藤津亮太の「アニメイマコレ!」Vol.4”. Nizista. (2017年2月28日). https://nizista.com/views/article2?id=1cbd8b60fcd811e6afc39fb0df64a0fa 2022年5月12日閲覧。 
  19. ^ Thunderdrome (22 January 2018). "Crunchyroll Anime Awards 2018 – Das Voting hat begonnen". Moviepilot.deドイツ語版. 2019年1月11日閲覧
  20. ^ Dave Trumbore (26 February 2018). "Crunchyroll Anime Awards Winners Revealed: Who Took Home the Big Prize?". Collider. 2018年2月26日閲覧
  21. ^ 『アニメージュ 2017年8月号』徳間書店、2017年8月10日発行、49頁、ASIN B071J19K4B
  22. ^ RESULTS OF THE 4TH TRENDING AWARDS”. Anime Trending公式サイト. 2026年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月27日閲覧。
  23. ^ アニメ「幼女戦記」新規短編映像をAT-Xでも放送、第1期と劇場版をつなぐストーリー」『コミックナタリー』株式会社ナターシャ、2021年6月21日。2024年11月16日閲覧。
  24. ^ ON AIR”. TVアニメ「幼女戦記」公式サイト. 2016年11月16日閲覧。
  25. ^ テレビ放送対象地域の出典:
  26. ^ 幼女戦記 - ニコニコチャンネル
  27. ^ 幼女戦記(GYAO!動画)”. 2020年9月3日閲覧。[リンク切れ]
  28. ^ 幼女戦記([バンダイチャンネル)”. 2020年9月3日閲覧。
  29. ^ 幼女戦記 アニメ完全設定資料集”. KADOKAWA. 2023年1月18日閲覧。
  30. ^ 幼女戦記 ラジオの悪魔”. 音泉. 2016年12月24日閲覧。
  31. ^ TVアニメ公式サイトTOP/SPECIAL/MOVIE
  32. ^ GOODS|「幼女戦記」アニメ公式サイト”. youjo-senki.jp. 2022年11月25日閲覧。
  33. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u “「劇場版 幼女戦記」は来年2月公開!前売特典は“非常呼集状”、新ビジュアルも”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年10月10日). https://natalie.mu/comic/news/303070 2018年10月10日閲覧。 
  34. ^ 「劇場版 幼女戦記」特報第2弾”. YouTube. YouTube、KADOKAWA (2018年10月16日). 2018年10月17日閲覧。
  35. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u STAFF&CAST”. 劇場版「幼女戦記」アニメ公式サイト. 2018年10月10日閲覧。
  36. ^ “『劇場版 幼女戦記』大ヒット御礼!本編映像一部を特別に公開!原宿ACG_Laboでアニメ『幼女戦記』展が開催に”. animate Times. (2019年2月15日). https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1550147825 2022年5月12日閲覧。 
  37. ^ 『キネマ旬報 2020年3月下旬特別号』p.49
  38. ^ a b c d e 『劇場版 幼女戦記』声優・悠木碧ら登壇の初日舞台挨拶レポート”. アニメイトタイムズ (2019年2月13日). 2022年12月17日閲覧。
  39. ^ a b c “「幼女戦記」音響監督・岩浪美和インタビュー ふたりの一騎打ちに音楽を一切つけていない理由とは!?”. WebNewtype. (2019年3月26日). https://webnewtype.com/report/article/184546/ 2022年4月4日閲覧。 
  40. ^ “【発表】映画『劇場版 幼女戦記』初日満足度ランキング1位獲得”. 映画マガジン FILMAGA. (2022年4月30日). https://filmaga.filmarks.com/articles/2591/ 2022年5月12日閲覧。 
  41. ^ “オバロ、このすば、Re:ゼロ、幼女戦記…異世界系アニメ大集合!「異世界かるてっと」19年春放送”. アニメ!アニメ! (イード). (2018年10月7日). https://animeanime.jp/article/2018/10/07/40621.html 2019年5月18日閲覧。 
  42. ^ 【リリース情報】「パチスロ幼女戦記」”. 一撃 (2022年9月12日). 2022年9月20日閲覧。

外部リンク

[編集]