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やへむぐら

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

やへむぐら(やえむぐら、八重葎)』は、南北朝時代に書かれた擬古物語[1]。1冊[1]。作者不詳[1]。題名は物語中の和歌「やへむぐらよもぎがもとはよそにみて行き過るにもそでぞ露けき」に由来する[要出典]。『徒然草』の影響を指摘する説もある[1]

粗筋

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『日本古典文学大辞典』によるあらすじは以下の通りである[1]

故左大臣の息子中納言は、才色兼備で独身であったが、右大臣の中の君との縁談に気乗りがせず、世をはかなんでいた。9月、中納言は紅葉帰りに四条辺りで琴の音を聞き、葎が茂る家にいた女君を垣間見て契りを結ぶ。この女君は右大臣の側室の娘で、母と死に別れて叔母に養われていた。冬、大納言は女君に山吹の打掛を贈る。しかし、中納言は母の病気のために女君のもとへ訪れなくなる。一方、女君には民部大輔との婚姻の話が持ち込まれ、叔母は難波見物と偽って、女君を筑紫行きの船に乗せる。しかし、船は嵐に遭って明石に到着、女君は心痛で病気となる。驚いた一行は住吉まで戻るが、女君は亡くなってしまう。8月、中納言が母と有馬温泉に出かけて難波の三津寺に詣でると、女君に贈った山吹の打掛で作られた幡を見つける。中納言は女君の死を知り、懇ろに菩提を弔い、世のはかなさを知ってますます道心を深めた。

特色

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物語の構想は、貴公子が葎が繁る荒れた邸宅に美しい女君を発見し、その女性と契るという昔物語の一類型である[1]廃屋から聞こえるの音から、貴公子が美女と出会うという筋立ては『しのびね』に類似するが、ヒロインが騙されて地方に追いやられて死ぬという構想は『狭衣物語』の飛鳥井姫君を下敷きにしたと思われる[独自研究?]。『源氏物語』の玉鬘や『狭衣物語』の飛鳥井女君などの構想を取り入れ、主人公は『源氏物語』の薫君、女君を養う叔母は『源氏物語』の末摘花の叔母君に近似する[1]。『源氏物語』『狭衣物語』『枕草子』などの模倣が随所に見られるが[1]、まとまった構想や引歌を多用した文章、情景や人物描写などから佳作と評される[1]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i 日本古典文学大辞典編集委員会『日本古典文学大辞典第6巻』岩波書店、1985年2月、43頁。 

参考文献

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  • 大曾根章介ほか編『研究資料日本古典文学』第1巻、明治書院、1983年。
  • 日本古典文学大辞典編集委員会編『日本古典文学大辞典』、岩波書店、1983年