ふるさと (戯曲)
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『ふるさと』は、1936年(昭和11年)に初演された金子洋文の戯曲である[1]。それを原作とした1937年(昭和12年)製作・公開、伊丹万作脚本・監督による日本の劇映画、トーキー作品は、『故郷』(ふるさと)と改題された[2][3][4]。
略歴・概要
[編集]金子洋文の戯曲は2幕3場、現代を舞台にした新劇である[1]。初演は1936年(昭和11年)9月、東京都千代田区有楽町の有楽座(現在跡地は日比谷シャンテ)において、東宝劇団により行なわれた[1]。演出も金子洋文、装置は島公靖[1]。この公演は「昭和十一年度劇壇の一大収穫」と激賞された[1]。同年10月には、京都宝塚劇場(現在跡地はミーナ京都)でも上演され、その記録が残っている(#構成と配役)[1]。
本戯曲は、1976年(昭和51年)11月1日に発行された『金子洋文作品集 2』(筑摩書房)に収録された[5]。
構成と配役
[編集]- 第1幕 - アルプス連峰の麓、町近くの農村にある雑貨を兼ねた居酒屋の内部
- 第2幕第1場 - 居酒屋の表通り(前幕より一年後)
- 第2幕第2場 - 居酒屋の内部
- 堅太郎 - 坂東簑助
- お杉 - 高橋豊子
- おもと - 藤間房子
- 彦作 - 中村もしほ
- 八兵衛 - 神田三朗
- 通行人 - 市川美喜造
- 喜多子 - 夏川静江
映画
[編集]故郷 | |
---|---|
監督 | 伊丹万作 |
脚本 | 伊丹万作 |
原作 | 金子洋文 |
製作 | 森田信義 |
出演者 |
夏川静江 丸山定夫 坂東蓑助 藤間房子 三木利夫 高堂國典 |
音楽 | ポリドール・レコード |
撮影 |
三木茂 照明 上林松太郎 |
製作会社 | ゼーオー・スタヂオ |
配給 | 東宝映画 |
公開 | 1937年5月1日 |
上映時間 | 84分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『故郷』(ふるさと)は、金子洋文の戯曲『ふるさと』を原作とした1937年(昭和12年)製作・公開、伊丹万作脚本・監督による日本の劇映画、トーキー作品である[2][3][4]。主役のキャスティングについては、前年に初演された東宝劇団による演劇を踏襲している[1][2][3][4]。東京国立近代美術館フィルムセンターは、本作の上映用プリントとして、オリジナルと同一の完全尺の35mmフィルムを所蔵している[3]。ビデオグラムについては、VHSベースで東宝が「日本映画傑作全集」の1作として発売していた時期があるが、DVDは未発売である。
スタッフ・作品データ
[編集]- 監督・脚色 : 伊丹万作
- 製作者(製作) : 森田信義
- 原作 : 金子洋文
- 撮影 : 三木茂
- 照明 : 上林松太郎
- 録音 : 中大路禎二
- 装置(美術) : 髙橋庚子
- 衣裳 : 橋本忠三郎
- 小道具 : 山本保次郎
- 結髪 : 都賀かつ
- 床山 : 濱田金三
- 監督補助 : 毛利正樹、松村四郎、尾崎橘郎
- 撮影補助 : 荒木秀三郎、直江隆
- 音楽 : ポリドール・レコード
- 現像 : J・O現像所
- 製作 : ゼーオー・スタヂオ
- 上映時間(巻数 / メートル) : 84分(10巻 / 2,294メートル) / 現存版 84分(NFC所蔵[3])
- フォーマット : 白黒映画 - スタンダードサイズ(1.37:1) - モノラル録音(発声版トーキー)
- 公開日 : 日本 1937年5月1日
- 配給 : 東宝映画
- 初回興行 : 有楽町・日本劇場
キャスト
[編集]- 坂東蓑助 - 堅太郎(和田堅太郎)
- 夏川靜江 - 㐂多子[3](妹喜多子)
- 藤間房子 - 母(母おとく)
- 舟越復二(船越復二) - 剛(弟剛)
- 丸山定夫 - 彦太郎/彦作(訓導野間彦太郎/父)
- 永井柳太郎 - 八兵衛(人夫八兵衛)
- 三木利夫 - 別離の息子(兄信四郎)
- 五條貴子 - その妹(歌子)
- 山田好良 - 某氏(県会議員某)
- 常盤操子 - その細君(妻)
- 本田龍 - その子
- 髙堂國典[3][4](深見泰三[2]) - 校長
- クレジット外
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 『金子洋文作品集 2』、金子洋文、筑摩書房、1976年11月1日
- 『近代歌舞伎年表 京都篇 第10巻 昭和十一年 - 昭和十七年』、国立劇場調査養成部調査資料課近代歌舞伎年表編纂室、八木書店、2004年5月 ISBN 4840692327