コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

はくちょう座カイ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
はくちょう座χ星[1]
Chi Cygni
星座 はくちょう座
見かけの等級 (mv) 3.3 - 14.2[2][3]
変光星型 ミラ型変光星(M)[3]
分類 S型星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  19h 50m 33.92439s[1]
赤緯 (Dec, δ) +32° 54′ 50.6097″[1]
赤方偏移 0.000005[1]
視線速度 (Rv) 1.60 ± 0.6km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -20.16 ミリ秒/年[1]
赤緯: -38.34 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 5.53 ± 1.10ミリ秒[1]
(誤差19.9%)
距離 約 600 光年[注 1]
(約 180 パーセク[注 1]
物理的性質
スペクトル分類 S6-9/1-2e [1]
色指数 (B-V) +1.82[4]
色指数 (U-B) +0.96[4]
他のカタログでの名称
BD+32° 3593[1]
HD 187796[1], HIP 97629[1]
HR 7564[1], SAO 68943[1]
Template (ノート 解説) ■Project

はくちょう座χ星(はくちょうざカイせい)は、はくちょう座にある有名なミラ型脈動変光星である。学名はχ Cygni(略称はχ Cyg)。1686年ドイツゴットフリート・キルヒによって変光が発見された星で、新星超新星以外の変光星ではミラアルゴルに次いで3番目に発見された星である。

物理的性質

[編集]

408.05日の周期で3.3等から14.2等まで明るさを変える[3]が、極大は必ずしも3.3等まで明るくなるとは限らない。平均の極大光度は4.3等~5.1等といったところで、2014年には極大でも7等前後までしか光度が上がらなかった[5]。一方極小も14.2等まで暗くなるとは限らないが、極大ほど大きな変化はなく、平均の極小光度は13.3等~14.1等くらいである。

スペクトル型はS6,2e-S10,4eまで変化する[2]。このS型というスペクトル分類赤色巨星のみに見られる特殊なスペクトル型で、酸化ジルコニウムの吸収線がみられるものである。普通の低温度星のスペクトル分類はK型あるいはM型であり、酸化チタンの吸収線がみられる。また、K型及びM型は赤色矮星・赤色巨星・赤色超巨星と全ての低温度星に見られるのに対し、S型の恒星は赤色矮星や赤色超巨星には存在しない。

はくちょう座χ星の導入法

[編集]

γ星とβ星アルビレオの間にあるη星の近くにあり、薄黄色の5等星である17番星と近くの2つの6等星でつくる直角三角形が導入のよい目印になる。なお観測機材としては極大付近では双眼鏡で十分だが、極小付近では口径が15cm-20cm程度の天体望遠鏡がないと観測できない。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p SIMBAD Astronomical Database”. Results for khi Cyg. 2015年10月9日閲覧。
  2. ^ a b VSX : Detail for khi Cyg”. アメリカ変光星観測者協会. 2014年7月19日閲覧。
  3. ^ a b c GCVS”. Results for khi Cyg. 2015年10月9日閲覧。
  4. ^ a b 輝星星表第5版
  5. ^ 高橋進ダイニックアストロパーク天究館) (2014年7月19日). “近年になく暗い極大をむかえた変光星はくちょう座χ”. AstroArts. 2014年7月19日閲覧。

外部リンク

[編集]