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ながいかみのむすめ チャンファメイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ながいかみのむすめ チャンファメイ』は、君島久子の再話、後藤仁の絵によって、福音館書店の月刊絵本「こどものとも」から出版された絵本である。2013年2月1日発行(2012年度3月号)。英語名は、「THE LONG HAIR DAUGHTER -CHANGFAMEI - An Old Chinese Tale」

概要

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この絵本は、福音館書店創立60周年の2012年度の「こどものとも」の最終号(通巻684号)となる。再話は、中国文学・民話研究者である君島久子によって過去に訳された「ひみつの泉」(「アジアの民話」1982年、講談社)を、君島久子本人が絵本用に書き直した。絵は、日本画家・美人画家である後藤仁が、話の採集地の中華人民共和国貴州省広西チワン族自治区)に取材におもむき、日本画の技法によって描いた。中国の少数民族トン族に伝わる民話(出典参照)を元にしており、原話の題名は「長髪妹(チャンファメイ)」で、長い髪の娘を意味する。[1][2][3][4][5][6][7][8][9]

あらすじ

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中国のある山の中に、水源がなく水不足にあえぐ村があった。その村に、寝たきりの母と二人きりでくらす少女がいた。その少女は、長い髪を持っており、周囲から髪長妹(チャンファメイ)と呼ばれていた。

ある日、チャンファメイが近くの山に登ると、崖のところに小さなカブが生えているのを見つける。不思議に思って、引き抜いてみると、抜いた穴から水がこぼれ出て、しばらくするとカブも水ももとに戻ってしまう。のどが渇いて仕方なかったチャンファメイは、もう一度カブを引き抜き、その水を飲む。すると、どこからか暴風が吹いてきて、チャンファメイは不気味な洞窟に飛ばされてしまう。

チャンファメイが顔を上げると、そこには恐ろしげな大男がいた。大男はこの山の神で、さっきのカブの水は、山の神のの水だったのだ。山の神は、自分の泉の水を勝手に飲まれたことに怒り、このことを誰かに漏らしたら命はないと脅し、チャンファメイを村に帰す。

村に戻ったチャンファメイは、村人たちが水不足に苦しんでいるのに泉のことを言えないことに苦しみ、心労で髪色も真っ白になってしまう。

そしてある日、目の前で水汲みをしている老人が倒れたのを見てついに我慢できなくなり、老人や村人たちに泉のことを伝える。チャンファメイは村人たちに山のカブを抜いて切り刻み、穴を大きく掘るように言い、村人がその通りにすると、穴からは大量の水が湧き出る。村人たちは歓声を上げるも、再び風が吹き、チャンファメイはまた山の神のところに飛ばされてしまう。

約束を破られた山の神は怒り、命は貰ったと言い放つが、チャンファメイは覚悟はできているから一度だけ村に帰してほしい、と頼む。山の神は了承し、「戻らなかったら村人を皆殺しにする。戻ってきたらカブの穴から流れる水の滝に死ぬまで横たわり、死ぬまで水に打たれるがいい」と言って、チャンファメイを村に帰す。

母に別れを告げたチャンファメイは三度山へ向かい、道中にあるようじゅの木(ここではガジュマル)に声をかけると、木の中から人形の石像を抱いた緑色の衣装をきた老人が現れる。老人は「君を救うためにこの石像を掘り上げた。だが髪の毛だけは君のをもらう」と言って、チャンファメイの白髪を抜いては石像に植えていく。

そして老人は石像を滝に横たえると、チャンファメイの頭に元のように黒髪が戻った。老人は石像を使って山の神を騙し、チャンファメイの髪も元通りに戻したのだった。老人に早く家に帰るよう促されたチャンファメイは、足取り軽く母の待つ家に帰るのだった[10][11]

出典

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肖甘牛(蕭甘牛)・潘平元採集整理「長髪妹」1955年、少年児童出版社・中華人民共和国。賈芝・孫剣冰編「中国民間故事選 第一集」1958年、人民文学出版社・中華人民共和国。[12]

脚注

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  1. ^ 「日本画年鑑’12」p.268(後藤仁ページ)、2011年10月、マリア書房。
  2. ^ 「日本画年鑑’13」p.268(後藤仁ページ)、2012年10月、マリア書房。
  3. ^ 「2012年度 福音館月刊絵本ご案内」p.7、2011年11月、福音館書店。
  4. ^ 後藤仁「絵本出版案内リーフレット」2012年11月。
  5. ^ 「絵本学会NEWS No.52」p.20-21 浅野法子(梅花女子大学ほか非常勤講師)中国の民話「長髪妹(チャンファメイ)」のイメージの変遷、2014年10月27日、絵本学会。
  6. ^ 「絵本学会研究紀要 絵本学 2015-No.17」p.37-46 浅野法子 研究ノート:中国の民話「長髪妹」の絵本化をめぐって(絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』関連論文)、2015年3月30日、絵本学会「絵本学」編集委員会。
  7. ^ 「日中文化交流」p.10 後藤仁「少女の真心を描く」、2013年4月1日、一般財団法人 日本中国文化交流協会
  8. ^ 「日本と中国」p.5、p.8 友好訪問・後藤仁特集記事、絵本出版・個展記事、2013年3月15日、公益社団法人 日本中国友好協会
  9. ^ 人民中国編集部編「中国の民話101選1」1978年、平凡社
  10. ^ 「2012年度 福音館月刊絵本ご案内」p.7、2011年11月、福音館書店。
  11. ^ 後藤仁「絵本出版案内リーフレット」2012年11月。
  12. ^ 人民中国編集部編「中国の民話101選1」1978年、平凡社

関連項目

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外部リンク

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