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とかげ座CP星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
とかげ座CP星
CP Lacertae[1]
仮符号・別名 五味新星
星座 とかげ座
見かけの等級 (mv) 2.1 - 16.6[2]
変光星型 NA[2]
分類 新星[2]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  22h 15m 41.1032963831s[3]
赤緯 (Dec, δ) +55° 37′ 01.322162256″[3]
固有運動 (μ) 赤経: -7.945 ミリ秒/[3]
赤緯: -3.441 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 0.8616 ± 0.0298ミリ秒[3]
(誤差3.5%)
距離 3800 ± 100 光年[注 1]
(1160 ± 40 パーセク[注 1]
とかげ座CP星の位置(丸印)
物理的性質
他のカタログでの名称
Nova Lac 1936[1]
2MASS J22154108+5537014[1]
Gaia DR2 2006109065688505472[1]
Template (ノート 解説) ■Project

とかげ座CP星(とかげざCPせい、CP Lacertae, CP Lac, Nova Lacertae 1936)は、1936年6月18日にとかげ座で発見された新星長野県上諏訪町(現在の諏訪市)のアマチュア天文家五味一明を始め、アメリカのレスリー・ペルチャーなど十数名の観測者によって独立して発見された[4]。中でも五味一明の発見が最も早かったこと[5]から、日本では「五味新星」と呼ばれた[6]

概要

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ガイア計画の第3回早期公開データでの年周視差によると、太陽系から約3,800光年の距離にある[注 1]。新星爆発を起こした天体は、赤色矮星連星系を成す白色矮星と見られている。この星系は近接連星で、伴星の赤色矮星はわずか0.145143日の軌道周期で主星を周回している[7]。星系の光度は0.037日の周期で0.5等程度振幅しており、主星の白色矮星の自転周期と関連していると考えられている[8]

発見

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1936年6月18日の20時40分(世界時11時40分)頃、北海道幌延村(現幌延町)で五味一明が発見した。五味は、翌6月19日の皆既日食を観測するために幌延村に滞在していた。村民に星座の解説をしていたところ、ケフェウス座δ星のそばに見慣れない星があることに気付いた[4]。五味は東京天文台(現国立天文台)に電報を送る[4]と共に、皆既日食観測のために滞在中の日英合同観測隊にも連絡を入れた[9]。この日のうちに12の独立発見報告が出されたが、最も早かった五味が第一発見者となった[9]。これ以前にも日本人が独立発見した新星はあったが、日本人が第一発見者となったのはとかげ座CP星が初めてであった[10]

発見から2日後の6月20日9時40分頃(JD 2428339.9)に極大を迎え、2.1等にまで達した[11]。その後は速やかに減光し、極大から15日後には5.5等まで暗くなった[11]。減光のペースが早かったことによりNAに分類されている[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

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  1. ^ a b c d e V* CP Lac -- Nova”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2020年2月5日閲覧。
  2. ^ a b c d Samus, N.N.; Kazarovets, E.V.; Durlevich, O.V.; Kireeva, N.N.; Pastukhova, E.N. (2017-01). “GCVS catalog (GCVS 5.1, version March, 2017)”. Astronomy Reports 61 (1): 80-88. Bibcode2017ARep...61...80S. doi:10.1134/S1063772917010085. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5e3a95239ac0&-out.add=.&-source=B/gcvs/gcvs_cat&recno=23578. 
  3. ^ a b c d e Gaia Collaboration. “Gaia EDR3 2006109065688505472”. VizieR On-line Data Catalog: I/350. Bibcode2020yCat.1350....0G. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ60cea6d83ea50d&-out.add=.&-source=I/350/gaiaedr3&-c=333.92120120864%20%2B55.61701863846,eq=ICRS,rs=2&-out.orig=o. 
  4. ^ a b c 山本一清五味君の新星發見について」『天界』第17巻第187号、東亜天文学会、1936年10月25日、1-3頁、ISSN 0287-69062020年2月5日閲覧 
  5. ^ 五味、下保両氏の表彰について」『天文月報』第30巻第2号、1937年、29-30頁、ISSN 0374-2466 
  6. ^ 表彰」『天界』第17巻第190号、東亜天文学会、1937年1月25日、132頁、ISSN 0287-69062020年2月5日閲覧 
  7. ^ Pavlenko, E. P. et al. (May 2007), “The Photometric Study of Nova Lacertae 1936 = CP Lac Between 2003 - 2005”, in Demircan, O.; Selam, S. O.; Albayrak, B., Solar and Stellar Physics Through Eclipses ASP Conference Series, Vol. 370, proceedings of the conference held 27-29 March, 2006 at Ankara University, ÖRSEM Campus, Side, Antalya, Turkey, 370, Astronomical Society of the Pacific, p. 324, Bibcode2007ASPC..370..324P. 
  8. ^ Litvinchova, A. A. et al. (December 2010), “The Photometric Investigation of the Active Post-Nova CP Lac in High and Low State of Brightness in 2006-2008 yrs”, Odessa Astronomical Publications 23: 76, Bibcode2010OAP....23...76L. 
  9. ^ a b とかげ座”. 美星町 星のデータベース. 美星天文台. 2020年2月9日閲覧。
  10. ^ (7035) Gomi = 1995 BD3 = 1956 EK = 1982 VM10 = 1987 SE6 = 1992 OU4 = 1992 OP10 = 1993 VF”. 小惑星センター. 国際天文学連合. 2020年2月6日閲覧。
  11. ^ a b Howarth, I. D. (October 1978), “CP Lacertae (Nova 1936)”, Journal of the British Astronomical Association 88: 608–618, Bibcode1978JBAA...88..608H.