ご聖体の連祷と黙想の図
『ご聖体の連祷と黙想の図』(ごせいたいのれんとうともくそうのず)は、神奈川県中郡大磯町にある聖ステパノ学園・澤田美喜記念館が保管する絵巻物・宗教画。安土桃山時代の西暦1592年にあたる天正20年に製作された可能性があり、日本最古級のキリスト教絵画と目される。
概要
[編集]社会事業家で、地元大磯町にて児童養護施設聖ステパノ学園エリザベス・サンダースホームを運営した澤田美喜は、隠れキリシタン資料の収集家でもあり、聖ステパノ学園に日本中から集めたキリシタン資料を保管(澤田美喜記念館)、この絵巻もその一つである[1]。
本品は細長い和紙に描かれた絵巻物で、聖母マリアとイエズス・キリストの生涯を墨絵で描く。聖母子像の図から始まり、ラテン語で聖体(パン)を讃える祈りの言葉(聖体秘跡の連祷)が日本の仮名で書かれる[2]。連祷文の中間に挟まって、マリアの受胎告知・キリストの受難と復活・マリアの戴冠までの15場面が描かれている(十五玄義図)。キリスト教信者がマリアとイエズス・キリストの生涯を思い黙想するために描かれたと推定された[2]。
2018年(平成30年)、横浜市歴史博物館による調査が行われ、巻物の末尾に「ご出生以来千五百九十二年はうろ(+花押)」とあることや、仮名の書き方に安土桃山時代頃の特徴があること、放射性炭素年代測定で1556年(弘治2年)から1633年(寛永10年)までの間に作られた和紙である結果が出たため、1592年(天正20年)頃に「はうろ(パウロ)」なる洗礼名の人物が製作した、日本最古のキリスト教聖画である可能性が浮上した[2]。
詳しく載っている本
[編集]- 横浜市歴史博物館『横浜市歴史博物館ニュース』No.46号 6~7ページ 2019年(平成31年)2月2日発行
一般公開
[編集]この貴重な発見で横浜市歴史博物館は、2018年(平成30年)11月23日から2019年(平成31年)1月14日まで開催の「神奈川の記憶展」で絵巻の一般公開を行った[2]。
脚注
[編集]参考資料
[編集]- 横浜市歴史博物館(井上 攻)「速報 日本最古級のキリシタン信仰画「ご聖体の連祷と黙想の図」の展示」『横浜市歴史博物館ニュース』No.46号 2019年(平成31年)2月2日発行 6~7頁