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こぎつね座CK星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
こぎつね座CKから転送)
こぎつね座CK星[1]
CK Vulpeculae[1]
ALMAによる、こぎつね座CK星の画像[2] Credit:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/S. P. S. Eyres
ALMAによる、こぎつね座CK星の画像[2]
Credit:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/S. P. S. Eyres
仮符号・別名 Nova Vul 1670[1]
星座 こぎつね座
見かけの等級 (mv) (極大時)2.6[3]
2.700[4]
変光星型 緩新星 (NB)[4]
分類 高輝度赤色新星[5]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  19h 47m 38.0s[1]
赤緯 (Dec, δ) +27° 18′ 48″[1]
距離 2000 光年[2]
他のカタログでの名称
AAVSO 1943+27[1]
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こぎつね座CK星(CK Vul[1], Nova Vul 1670[1])は、1670年に現在のこぎつね座の領域[注 1]に出現した突発天体。文献に残る新星としては最も古いものとされる[2]。長く古典新星と考えられてきたが、2015年に2つの天体が衝突することで起こる高輝度赤色新星であったとする説が提唱されている[5]

発見

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1670年6月20日フランスディジョンに住むカルトジオ会修道士ヴォワチュール・アンテルムによって最初に発見された[6]。彼は、はくちょう座アルビレオの南西方向に、3等星ほどの明るさでそれまで見たことがない星があることに気付き、このことを報告した[6]。同年7月25日に、ポーランド天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスもこの新星を独立発見した[6]。ヘヴェリウスらはその年の10月に見えなくなるまで観測を続けた。アンテルムは、翌1671年3月17日に再びこの新星が4等級まで増光していることを発見した[6]。新星の明るさは同年4月末には約2.6等に達した[6]。ヘヴェリウスとジョヴァンニ・カッシーニはこの年の8月末には再び見えなくなるまで観測を続けた[6]。ヘヴェリウスは、翌1672年3月に再々度この星を裸眼で見つけ、同年5月22日を最後に完全に見えなくなるまで2か月半ほどの間観測を続けた[6]。以降、この天体を確認した報告はなかった[6]

この新星が出現した付近の領域は、1687年にヘヴェリウスが「こぎつねとがちょう座」を設定し、1928年国際天文学連合が88の星座を正式に定めた際にこぎつね座とされたため、この新星の名称は「こぎつね座CK星」とされる。

星の衝突の発見

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1672年以降観測されなかったこぎつね座CK星だが、1982年に双極性星雲として再発見された[5]

2015年3月に、従来より古典新星とされてきたこぎつね座CK星は、実は2つの天体が衝突することで起きる高輝度赤色新星であったとする研究結果が、学術誌「ネイチャー」に掲載された[5]ヨーロッパ南天天文台のトマシュ・カミンスキーらは南米チリにあるAPEX望遠鏡による観測結果から大量の重窒素や荷電分子が存在していることを発見した。同様に天の川銀河の中で高輝度赤色新星となった「さそり座V1309」の研究結果を参照し、こぎつね座CK星に含まれる分子を解析した結果からこの結論を導き出した[5]

2018年8月には、ALMAとミリ波電波天文学研究所(IRAM)のミリ波干渉計「NOEMA」を使った観測によりアルミニウムの放射性同位体26Alの存在が確認された。これは、天体の衝突により天体内部の重元素が汲み上げられて撒き散らされたことを示している[7]。さらに2018年10月には、ALMAを使った観測結果から、白色矮星褐色矮星の衝突による現象であるとする説が発表された[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 1670年当時ははくちょう座の領域とされた。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i Results for CK Vul”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2018年10月19日閲覧。
  2. ^ a b c Through the Hourglass”. www.eso.org. 2018年10月19日閲覧。
  3. ^ Downes, Ronald A. et al. (2001). “A Catalog and Atlas of Cataclysmic Variables: The Living Edition”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 113 (784): 764-768. arXiv:astro-ph/0102302. Bibcode2001PASP..113..764D. doi:10.1086/320802. ISSN 0004-6280. 
  4. ^ a b Samus’, N. N. et al. (2017). VizieR Online Data Catalog: General catalogue of variable stars: Version GCVS 5.1. Bibcode2017ARep...61...80S. https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5bc933325db6&-out.add=.&-source=B/gcvs/gcvs_cat&recno=51570. 
  5. ^ a b c d e Kamiński, Tomasz et al. (2015). “Nuclear ashes and outflow in the eruptive star Nova Vul 1670”. Nature 520 (7547): 322-324. arXiv:1503.06570. Bibcode2015Natur.520..322K. doi:10.1038/nature14257. ISSN 0028-0836. 
  6. ^ a b c d e f g h Shara, M. M. et al. (1985). “Unraveling the oldest and faintest recovered nova - CK Vulpeculae (1670)”. The Astrophysical Journal 294: 271-285. Bibcode1985ApJ...294..271S. doi:10.1086/163296. ISSN 0004-637X. 
  7. ^ 星同士の衝突でまきちらされた放射性元素を発見 - アストロアーツ”. www.astroarts.co.jp (2018年8月6日). 2018年10月19日閲覧。
  8. ^ 17世紀に目撃された現象の正体は、白色矮星と褐色矮星の衝突 - アストロアーツ”. www.astroarts.co.jp (2018年10月16日). 2018年10月19日閲覧。