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かに座ゼータ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
かに座ζ星
Zeta Cancri
星座 かに座
見かけの等級 (mv) 4.67[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  08h 12m 12.71s[1]
赤緯 (Dec, δ) +17° 38′ 53.3″[1]
赤方偏移 -0.000026[1]
視線速度 (Rv) -7.93km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 27.61 ミリ秒/年[1]
赤緯: -151.73ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 39.87 ± 0.82ミリ秒[1]
(誤差2.1%)
距離 82 ± 2 光年[注 1]
(25.1 ± 0.5 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 2.7[注 2]
ζ星の位置
物理的性質
スペクトル分類 F8V+G0V[1]
他のカタログでの名称
BD +18 1867[1],
GJ 9257[1],
HIP 40167[1]
Template (ノート 解説) ■Project
かに座ζ1星A[2]
Zeta01 Cancri A[2]
仮符号・別名 Tegmine[3][4]
星座 かに座
見かけの等級 (mv) 5.31[2]
位置
元期:J2000.0[2]
赤経 (RA, α)  08h 12m 12.760s[2]
赤緯 (Dec, δ) +17° 38′ 52.09″[2]
赤方偏移 -0.000018[2]
視線速度 (Rv) -5.5 km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: 79.8 ミリ秒/年[2]
赤緯: -129.4ミリ秒/年[2]
物理的性質
半径 1.6 R[5]
質量 1.4 M[5]
光度 3.5 L[5]
表面温度 6,200 K[5]
色指数 (B-V) 0.54[6]
色指数 (U-B) 0.06[6]
他のカタログでの名称
かに座16番星A[2],
BD +18 1867A[2],
GJ 9257A[2],
HR 3208[2]
Template (ノート 解説) ■Project
かに座ζ1星B[7]
Zeta01 Cancri B[7]
星座 かに座
見かけの等級 (mv) 6.17[7]
位置
元期:J2000.0[7]
赤経 (RA, α)  08h 12m 12.790s[7]
赤緯 (Dec, δ) +17° 38′ 51.23″[7]
固有運動 (μ) 赤経: 79.8 ミリ秒/年[7]
赤緯: -129.4ミリ秒/年[7]
物理的性質
半径 1.2 R[5]
質量 1.25 M[5]
光度 1.8 L[5]
表面温度 6,100 K[5]
色指数 (B-V) +0.54[6]
色指数 (U-B) +0.06[6]
他のカタログでの名称
かに座16番星B[2],
BD +18 1867B[7],
GJ 9257B[7],
HR 3209[7]
Template (ノート 解説) ■Project
かに座ζ2[8]
Zeta02 Cancri[8]
星座 かに座
見かけの等級 (mv) 5.79[8]
位置
元期:J2000.0[8]
赤経 (RA, α)  08h 12m 13.186s[8]
赤緯 (Dec, δ) +17° 38′ 53.65″[8]
赤方偏移 -0.000036[8]
視線速度 (Rv) -10.7 km/s[8]
固有運動 (μ) 赤経: 86.0 ミリ秒/年[8]
赤緯: -90.9ミリ秒/年[8]
物理的性質
質量 1.25 / 0.9M[5]
スペクトル分類 G0IV-V[8]
光度 1.7 / 0.9 L[5]
表面温度 5,900 / 5,700 K[5]
色指数 (B-V) +0.60[6]
色指数 (U-B) +0.13[6]
他のカタログでの名称
かに座16番星C[8],
BD +18 1867C[8],
GJ 9257C[8],
HD 68256[8],
HR 3210[8]
Template (ノート 解説) ■Project

かに座ζ星 (ζ Cnc / ζ Cancri) は、少なくとも4つの恒星から構成されるかに座恒星系である。

概要

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かに座ζ星は黄道面の付近にあるため、や稀に惑星による掩蔽が観測されることがある。

かに座ζ星系には、2つの連星かに座ζ1かに座ζ2が含まれ、地球からは7.7秒離れて見える[5]。これらの2つの連星系は、平均距離197au(近点150au、遠点244au)の軌道で、互いの共通重心の周りを1,155年の周期で公転している[5]

かに座ζ1星を構成する2つの恒星は、かに座ζ星A、かに座ζ星Bとも呼ばれる。これらはどちらも黄白色のF型主系列星で、2008年の時点で、地球からは2つの恒星の間は1秒しか離れて見えず[5]、分解して見るためには大型の望遠鏡が必要である。この距離は2020年まで広がると予想されている。軌道周期は59.6年である[9]

かに座ζ2星はかに座ζ星Cとも呼ばれ、黄色のG型主系列星赤色矮星の2つの恒星からなる。2つの恒星は平均距離5auの軌道を17年の周期で互いに周っている[5]

かに座ζ星は小さな望遠鏡を用いると二重星のように見える。1756年にトビアス・マイヤーによって初めて2つの恒星として観測された。1781年にウィリアム・ハーシェルがかに座ζ1星自体が連星であることを発見し、三重連星であることが明らかになった。1831年にジョン・ハーシェルがかに座ζ1星の周りのかに座ζ2星の軌道の摂動に気づいた。これによりオットー・シュトルーベは1871年に、かに座ζ2星の主星の近傍を公転する伴星の存在を推定した[10]。近年の観測によってこの4つめの恒星の存在が明らかとなり、さらに1つか2つの未知の恒星の存在も示唆されている[11][12]

識別

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明るい3つの恒星はしばしば混同されるが、カタログではそれぞれ識別されているものもある。Griffinによって正しい対応付けがなされた[10]

恒星 HR HD SAO HIP
かに座ζ星A 3208 68257 97645 40167
かに座ζ星B 3209 68256
かに座ζ星C 3210 68255 97646

名称

[編集]

固有名の Tegmine は、ラテン語で「(カニの)殻」という意味の言葉に由来する[3]ルネサンス期にかに座についての議論で使われた言葉が、近年になってζ星の名称として使われるようになったものである[3]。2016年9月12日、国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、かに座ζ1星Aの固有名として Tegmine を正式に承認した[4]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m SIMBAD Astronomical Database”. Results for Zet Cnc. 2016年12月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o SIMBAD Astronomical Database”. Results for Zet01 Cnc A. 2016年12月13日閲覧。
  3. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 21. ISBN 978-1-931559-44-7 
  4. ^ a b IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月13日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Jim Kaler. “Tegmine”. STARS. 2016年12月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 輝星星表第5版
  7. ^ a b c d e f g h i j k SIMBAD Astronomical Database”. Results for Zet01 Cnc B. 2016年12月13日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p SIMBAD Astronomical Database”. Results for Zet02 Cnc. 2016年12月13日閲覧。
  9. ^ Mason, Brian D.; Hartkopf, William I.; Wycoff, Gary L.; Holdenried, Ellis R. (2006). “Speckle Interferometry at the US Naval Observatory. XII.”. The Astronomical Journal 132 (5): 2219-2230. doi:10.1086/508231. ISSN 0004-6256. 
  10. ^ a b Griffin, R.F. (2000). “Spectroscopic Binary Orbits from Photoelectrical Radial Velocities: Paper 150: ζ Cancri C”. The Observatory 120: 1-47. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2000Obs...120....1G?high=44595cfd5a08794&data_type=HTML&db_key=AST&format=. 
  11. ^ Hutchings, J. B.; Griffin, R. F.; Ménard, F. (2000). “Direct Observation of the Fourth Star in the ζ Cancri System”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 112 (772): 833-836. doi:10.1086/316587. ISSN 0004-6280. 
  12. ^ Richichi, A. (2000). “An Investigation of the multiple star Zet Cnc by a lunar occultation”. Astron. Astroph. 364: 225-231. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2000A&A...364..225R?format=&data_type=HTML&high=445952a4c330915&db_key=AST.