『クロック城』殺人事件
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『クロック城』殺人事件 | ||
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著者 | 北山猛邦 | |
発行日 | 2002年3月5日 | |
発行元 | 講談社 | |
ジャンル | 推理小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | ノベルス | |
ページ数 | 258 | |
次作 | 『瑠璃城』殺人事件 | |
コード | ISBN 978-4-06-182239-9 | |
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『『クロック城』殺人事件』(『クロックじょう』さつじんじけん)は、北山猛邦による日本の推理小説。
概要
[編集]2002年、第24回メフィスト賞を受賞した作者のデビュー作。受賞当時22歳。「『城』シリーズ」の第1作目。
ノベルス版では、トリックを図解した謎解き部分が袋とじにされ、帯には「本文208頁の真相を他人に喋らないでください」などと注意書きがされた。ミステリ作家の有栖川有栖が文庫版の巻末解説をしており、本作を「ブレイク前の習作などではない本格ミステリ」と絶賛している。
書籍情報
[編集]- 講談社ノベルス:2002年3月発行、ISBN 9784061822399
- 講談社文庫:2007年10月発行、ISBN 9784062758635、巻末解説 有栖川有栖
あらすじ
[編集]1994年、表面積が地球のおよそ30倍という、観測史上最大の太陽黒点が発見され、その影響で世界各地が異常事態に見舞われ、1999年に世界は終わると決定づけられた。
そして1999年、終焉を迎えつつある世界。探偵の深騎の元に、ある依頼が舞い込む。
依頼人に従い、「クロック城」へ赴いた深騎たち。3つの時を刻む巨大な時計、無数の人面壁……、そして首なし遺体が次々と現れ始める。
登場人物
[編集]- 南 深騎(みなみ みき)
- 27歳。子どもの頃に火事で両親を亡くし、叔父に育てられた。叔父は探偵社を経営しており、彼に勧められ、深騎も探偵になった。
- 幼い頃から幽霊を見ることができ、ボウガンでその幻影を射抜くことで退治でき、探偵といっても幽霊退治専門の探偵である。
- 志乃美 菜美(しのみ なみ)
- 深騎の幼なじみ。ゲシュタルト理論に傾倒し、幽霊のことを「ゲシュタルトの欠片」と呼ぶ。深騎がつれない態度を取るので、時々不機嫌になる。
- 黒鴣 瑠華(くろう るか)
- クロック城に住んでいる。17歳の美人。城からの外出を禁じられていた。城に古くから伝わる「スキップマン」と呼ばれる幽霊を退治してほしいと深騎に依頼する。不眠症。
- 黒鴣 心史(くろう しんじ)
- 瑠華の父親。博士。恋宮によると、遺伝子に関する研究をしているらしい。
- 黒鴣 鈴(くろう りん)
- 瑠華の弟。13歳。ナルコレプシーという睡眠障害を患っている。
- 天巳 隆三(あまみ りゅうぞう)
- 黒鴣家の執事。
- 天巳 護(あまみ まもる)
- 隆三の息子。クロック城を初めて訪れた時に未音の美しさに心を奪われ、それ以来献身的に世話をしている。
- クロス
- クロック城の滞在者。「真夜中の鍵」を探している。十一人委員会の第三の天使(サード・クロス)。全身白の服に身を包み、髪はブロンド、瞳は青みがかっている。30歳前後。
- 御都 りえ(みと りえ)
- クロック城の滞在者。クロスの助手。
- 黒鴣 修史(くろう しゅうじ)
- 瑠華の叔父。
- 黒鴣 伶馬(くろう れいま)
- 修史の息子、博士の甥。18歳。
- 恋宮博士(こいみや)
- 黒鴣博士の助手。ハスキーボイス。
- 黒鴣 未音(くろう みおん)
- 瑠華の姉。「現在の館」の4階で眠り続けている女性。この世のものとは思えない美しさ。護が世話をしている。
- セティア・ドール
- 瑠華の母親。フランス人。故人。
- 五月 キキョウ(さつき キキョウ)
- SEEMの一員。中隊長。瑠華が「真夜中の鍵」だと考え、その行方を探している。
作中用語
[編集]- ゲシュタルトの欠片
- ぼんやりと現れる幻影。大抵の人間が幽霊と呼ぶもの。「ゲシュタルト」とは心理学などで用いられる「全体」の理論。
- クロック城
- 18世紀にフランスで築城され、現在は日本に移築されている古城。正式名称は「ジョフロワの館」。窓が少なく、巨大な時計が3つ掲げられている。
- 3つの大時計
- クロック城を象徴する時計。真ん中が現在の時刻を、左が10分遅れた過去の時刻を、右が10分進んだ未来の時刻を指している。館も現在・過去・未来に分かれている。
- スキップマン
- クロック城に古くから伝わる幽霊。元々はフランス語で「Sautez la Personne」(=飛び跳ねる者)と呼ばれていた。時間に穴を空けて歩き、人を呪い殺す。城がまだフランスにあった頃、スキップマンによるものと思われる事件が何件か起きた。
- SEEM
- アメリカで発足した、「世界を守る」ための民間団体。世界を終わらせる可能性があるものを、手段を問わず排除する。ある意味でテロリスト集団。
- 真夜中の鍵
- SEEMにとっては「世界を終わらせる可能性がある存在」、十一人委員会にとっては「世界を救うことができる存在」。
- 十一人委員会
- 詳細不明。クロスが属する組織。規模はSEEMを遥かに凌ぐ。委員には皆“クロス”の名が与えられる。「真夜中の鍵」を求めて世界を飛び回っている。
- インサイド
- 「クロス」の名を持つ者だけが作ることのできる結界のようなもの。インサイドの内部は十一人委員会の監視下に置かれる。
海外への翻訳
[編集]- 中国・吉林出版集団有限責任公司:“钟城”杀人事件、2010年3月発行、ISBN 9787546322261
- 韓国・鶴山文化社 Book Holic:클락성 살인사건 、2010年4月発行、ISBN 9788925811482
関連項目
[編集]- カニッツァの三角形 - ゲシュタルト理論の例として挙げられる図形。