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「甘え」の構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「甘え」の構造
著者 土居健郎
発行日 1971年
発行元 弘文堂
ジャンル 心理学
日本
言語 日本語
コード ISBN 4335651066
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「甘え」の構造』(あまえのこうぞう)は、精神科医、精神分析学者土居健郎により1971年に出版された、代表的な日本人論の一つである。当初は1950年代に学術雑誌に発表されていたものが、1971年に一般の本として出版されると、ベストセラーとなった[1]1973年には、英語版「The Anatomy of Dependence」がKodansha Americaによって出版された。

下記が現行版

  • 土居健郎『「甘え」の構造』増補普及版、弘文堂、2007年5月。ISBN 4335651295 

また、土居と齋藤孝の対談本の下記も参考になる。

主な理論

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精神分析学者の土居が、1950年代の米国留学時に受けたカルチャーショックをもとに日本を把握しようと試みた本。「甘え」に該当する言葉が他言語に見つからないことに着目した。サピアウォーフの文化言語論(サピア・ウォーフの仮説言語的相対論)、ジークムント・フロイト精神分析ルース・ベネディクトの『菊と刀』に影響を受けた考察。

本書によると、「甘え」は日本人の心理と日本社会の構造をわかるための重要なキーワードだという。甘えとは、周りの人に好かれて依存できるようにしたいという、日本人特有の感情だと定義する。この行動を親に要求する子供にたとえる。また、親子関係は人間関係の理想な形で、他の人間関係においても、親子関係のような親密さを求めるべきだという。

批評

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講談社による英文版の The Anatomy of Dependence には、日本やアジアの研究で著名なハーバード大学社会学教授エズラ・ボーゲルにより、書評が載せられている。「おそらく、西欧の精神医学の思考にインパクトを与えた、精神医学のトレーニングを受けた日本人による、最初の本であろう[2]。」 エズラ・ボーゲルは、現在、日米同盟問題にも、影響力を持つ発言をしていると見られている、同じくハーバード大学の国際政治学の教授ジョセフ・ナイが、自分の日本観に影響を与えた人物として強調している[3]

青木保の『「日本文化論」の変容』によれば、本書は、日本人の心性・人間関係の基本を「『他人依存』的『自分』」「受身的愛情希求」「『幼児的』なもの」とし、西欧社会を知る者の1人としてこれを非論理的・閉鎖的とする観点も提示するが、「甘え」という語を提示することによって、これらを「近代的自我の欠如」として非難する論[4]に対する肯定的認識の提示を試みたものだという[1]

李御寧は、土居が「甘え」という語は日本語にしかないとしたのを、『「縮み」志向の日本人』で批判し、朝鮮語にも「甘え」に当たるものはあるとした。土居はその後、西洋にも「甘え」はあるという方向へ動いたが、結果として議論の独自性は失われた[要出典]

出典・脚注

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  1. ^ a b 『「日本文化論」の変容』青木保 pp.104-108.
  2. ^ Takeo Doi,The anatomy of dependence,2001,Kodansha
  3. ^ 春原 剛、日米同盟vs中国・北朝鮮、アーミテージ・ナイ緊急提言、2010年12月、文春新書、248ページ
  4. ^ たとえば桑原武夫。『「日本文化論」の変容』青木保 p.108.

参考文献

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  • 『「日本文化論」の変容』青木保 中公文庫 2007年3刷 ISBN 4-12-203399-3 (単行本は1990年)

関連項目

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