λ-カラギナーゼ
表示
λ-カラギナーゼ(Lambda-carrageenase、EC 3.2.1.162)は、紅藻に含まれる多糖λ-カラギーナンを分解する酵素である。この酵素は、海洋性細菌でのみ見られる[1][2]。
種の分布
[編集]λ-カラギナーゼを分泌する2種類の細菌が発見されている。海洋性細菌Pseudoalteromonas carrageenovoraのATCC 43555株は、ノバスコシア州の海水から、深海性細菌Pseudoalteromonas属のCL19株は、駿河湾の堆積物からそれぞれ単離された[1][2][3]。
性質
[編集]どちらの種が持つλ-カラギナーゼも、cglA遺伝子によってコードされる。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、25アミノ酸残基のシグナルペプチドを含む942アミノ酸残基から構成される[1][2]。λ-カラギナーゼは単量体であり、最適pHは7.0、最適温度は35℃である。λ-カラギーナンのみを特異的に分解し、ι-またはκ-カラギーナン、アガロース、ポルフィランには作用しない[1]。
作用機構
[編集]λ-カラギナーゼは、λ-カラギーナンの骨格のβ1,4-グリコシド結合を切断し、その結果、四糖のα-D-Galp2,6S(2)-(1->3)-β-D-Galp2S-(1->4)-α-D-Galp2,6S(2)-(1->3)-D-Galp2Sを生成する。この酵素は、水分子が糖基質のα側 から攻撃する機構により作用し、基質のアノマー位を反転させる[1][2]。
出典
[編集]- ^ a b c d e Ohta Y, Hatada Y (October 2006). “A novel enzyme, lambda-carrageenase, isolated from a deep-sea bacterium”. J. Biochem. 140 (4): 475-81. doi:10.1093/jb/mvj180. PMID 16926183.
- ^ a b c d Guibet M, Colin S, Barbeyron T, et al. (May 2007). “Degradation of lambda-carrageenan by Pseudoalteromonas carrageenovora lambda-carrageenase: a new family of glycoside hydrolases unrelated to kappa- and iota-carrageenases”. Biochem. J. 404 (1): 105-14. doi:10.1042/BJ20061359. PMC 1868830. PMID 17269933 .
- ^ “LGC Standards: Certified reference materials”. 2013年3月11日閲覧。