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β-ディフェンシン2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
DEFB4B
PDBに登録されている構造
PDBHuman UniProt検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1E4Q, 1FD3, 1FD4, 1FQQ

識別子
記号DEFB4B, DEFB4P, defensin beta 4B
外部IDHomoloGene: 122147 GeneCards: DEFB4B
遺伝子の位置 (ヒト)
8番染色体 (ヒト)
染色体8番染色体 (ヒト)[1]
8番染色体 (ヒト)
DEFB4B遺伝子の位置
DEFB4B遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点7,414,855 bp[1]
終点7,416,863 bp[1]
遺伝子オントロジー
分子機能 血漿タンパク結合
CCR6 chemokine receptor binding
chemoattractant activity
細胞の構成要素 Golgi lumen
細胞外領域
細胞外空間
細胞内
生物学的プロセス Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路
防衛反応
免疫応答
走化性
defense response to Gram-negative bacterium
defense response to bacterium
defense response to Gram-positive bacterium
antimicrobial humoral response
antimicrobial humoral immune response mediated by antimicrobial peptide
positive chemotaxis
cell chemotaxis
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001205266

n/a

RefSeq
(タンパク質)

NP_001192195
NP_004933

n/a

場所
(UCSC)
Chr 8: 7.41 – 7.42 Mbn/a
PubMed検索[2]n/a
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト

β-ディフェンシン2(beta defensin 2、BD-2、特にヒトのものはhBD-2)またはSAP1(skin antimicrobial peptide 1)は、ヒトではDEFB4ADEFB4B遺伝子によってコードされているペプチドである[3][4]

hBD-2はシステインに富むカチオン性低分子量抗菌ペプチドであり、病変部位の皮膚にみられる。

構造

[編集]

hBD-2は、64アミノ酸からなる一次構造を有するタンパク質である。2.4 mM以下の濃度では、hBD-2は単量体である[5]。正電荷が不均等に表面に分布した両親媒性構造を有し、3本のストランドからなるβシートなど、いくつかの重要な構造エレメントが存在する。βシートのストランド2と3はβヘアピン型構造をとる。他の構造エレメントは構造決定の手法に依存しており、X線結晶構造解析ではタンパク質のN末端にαヘリックスが観察されているが(PDB: 1fd3​, 1fd4​, 6cs9​)、NMRではこのヘリックスは観察されていない(PDB: 1e4q​)。しかしながら、このNMR構造では最初の4アミノ酸を欠いたタンパク質を用いて構造決定が行われているため、このことが構造の差異の理由となっている可能性もある。

機能

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ディフェンシンは、好中球などで産生される抗微生物・細胞傷害性ペプチドのファミリーである。ディフェンシンファミリーのメンバーのアミノ酸配列は高度に類似している。hBD-2は炎症によって局所調節されている抗菌ペプチドである[6]

hBD-2はいくつかの上皮細胞によって産生され、グラム陰性菌カンジダに対して強力な微生物活性を示すが、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusに対する活性は弱い。hBD-2は、緑膿菌Pseudomonas aeruginosaなどの微生物との接触や、TNF-αIL-1βなどのサイトカインによる上皮細胞の刺激後に産生されるディフェンシンである。hBD-2は炎症皮膚病変と関連したケラチノサイトによって局所的に発現している。hBD-2は、皮膚や気道において表面を感染から保護する役割を担う、局所的上皮防御システムの動的構成要素であり、皮膚や肺組織におけるグラム陰性菌感染の頻度の低さに寄与している可能性がある[7]

このタンパク質の黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性は低いが、表皮ブドウ球菌英語版Staphylococcus epidermidisの一部の株から分離されるタンパク質と相乗的に作用して殺菌作用を示すことが報告されている[8]

出典

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  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000177257、ENSG00000275444、ENSG00000285433 - Ensembl, May 2017
  2. ^ Human PubMed Reference:
  3. ^ “A peptide antibiotic from human skin”. Nature 387 (6636): 861. (June 1997). doi:10.1038/43088. PMID 9202117. 
  4. ^ Borchers, Natascha S.; Santos-Valente, Elisangela; Toncheva, Antoaneta A.; Wehkamp, Jan; Franke, Andre; Gaertner, Vincent D.; Nordkild, Peter; Genuneit, Jon et al. (2021). “Human β-Defensin 2 Mutations Are Associated With Asthma and Atopy in Children and Its Application Prevents Atopic Asthma in a Mouse Model”. Frontiers in Immunology 12: 636061. doi:10.3389/fimmu.2021.636061. ISSN 1664-3224. PMC 7946850. PMID 33717182. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33717182. 
  5. ^ “The NMR structure of human beta-defensin-2 reveals a novel alpha-helical segment”. Biochemistry 40 (13): 3810–3816. (April 2001). doi:10.1021/bi002519d. PMID 11300761. 
  6. ^ DEFB4A defensin beta 4A [Homo sapiens (human) - Gene - NCBI]”. www.ncbi.nlm.nih.gov. 2024年10月5日閲覧。
  7. ^ “Human beta-defensin-2”. The International Journal of Biochemistry & Cell Biology 31 (6): 645–651. (June 1999). doi:10.1016/S1357-2725(99)00013-8. PMID 10404637. 
  8. ^ “Staphylococcus epidermidis Esp inhibits Staphylococcus aureus biofilm formation and nasal colonization”. Nature 465 (7296): 346–349. (May 2010). Bibcode2010Natur.465..346I. doi:10.1038/nature09074. PMID 20485435. 

関連文献

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外部リンク

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