バブルシステム
バブルシステムは、1980年代中盤にコナミ(後のコナミデジタルエンタテインメント→コナミアミューズメント)が開発したアーケードゲーム基板である。
概要
ソフトウエアは磁気バブルメモリを使った「バブルソフトウエア」と呼ばれるカセット形態で供給された。発表当時は1MビットのEPROMが非常に高価であったことから、大容量を省スペースで供給できるようにと、バブルメモリが選択されたようである。カセットには富士通製のバブルメモリ素子が2つ入っており、容量は合計2Mビット。『グラディウス』では別に64KビットSRAM(6264)が2つと、74LS32が載った小さな基板を拡張コネクタに取り付けないと起動しない。
このボードでは電源投入時、カセット内の抵抗器を発熱させ、バブルメモリを暖めるためのウォーミングアップを行う。気温が低いとカウントダウン画面が表示されるまでかなり時間がかかり、2度目以降は時間が掛からないことから、実際に(文字通り)暖めていることが分かる。このウォーミングアップでは音声合成による「Getting ready(準備中)」と「50」からのカウントダウンの音声が交互に流れ(カウントアップしても基板が起動できる状態にならない限りは「50」から再びカウントがループする)、その後、画面に「99」からのカウントダウンを表示しながら、2分程かけてカセットからメイン基板のDRAMへプログラムの転送を行い、その間「Konami Morning Music」という曲を演奏しながら起動する(後述)。
ボード上に2chある波形メモリ音源はその後の同社のハードウエアでも似たような音のものが使われているが、コナミSCC音源は量子化レベルが8bitであるのに対し、バブルシステムは4bitであり発音数も違うため別の物である。またMSX用ソフト『新世SIZER』の音源部も汎用ロジックICで構成された単音の8bitD/Aのためこちらも直接的な関係はない。
バブルシステムは、使用された磁気バブルメモリの特性によりデータ消失などの故障が頻発したほか、修理用の部品が入手できなくなったこともあり、修理対応で通常の1MビットEPROMが2つ載る専用基板に交換されたものが存在する。また、バブルシステムは−12Vの電源を必要とするが、このROM版バブルシステムでは必要ない。
2019年、磁気バブルメモリ内のゲームデータを抽出し、FeRAMへバックアップを取る同人ハード『Bubbless』が発売。 これによりデータ消失のリスクを軽減させることが可能となった[1]。
出荷時は専用のシールドケースが附属していたが、外した方が筐体に取り付けしやすく音量調整や設定変更もやりやすいことからあまり使われず、ほとんど現存していない。
電車で基板を輸送する際には、電車の床に基板を置いて輸送した場合にデータが消失することもある。
当時の価格は278,000円(ソフト込み、税抜き)。
- 発売から36年が経過したシステム基板であるが、現存数の関係もあり中古基板店で入手する事は非常に難しくなってきており、現在高値で取引されている。
仕様
発売されたタイトル
- 『ツインビー』
- 『グラディウス』
- 『RF-2』
- 『ギャラクティックウォーリアーズ』
下記タイトルは磁気バブルメモリを一切使用していないが、2枚組基板の下部1枚を共有し、当時のメーカー営業用パンフレットに「バブルシステム対応製品」と記載されており、オペレータが所有しているバブルシステムの上部基板1枚を交換して対応するキット販売が行われた。
- 『シティボンバー』
- 『ブラックパンサー』
- 『ライフフォース』
- 『ハイパークラッシュ』
- 『にゃんにゃんパニック』
下記タイトルはバブルシステム対応製品とはされていないが当初バブルシステム向けに開発され、シティボンバー以降のハードウェアと同様の構成になっている。
- 『沙羅曼蛇』
コナミ・モーニング・ミュージック
バブルシステム起動時に演奏される「コナミ・モーニング・ミュージック」は、もともとは当時のコナミのサウンド部門のひとりN氏が別のゲーム用に作って没になっていた曲だが、急いでバブルシステムのテーマ曲を用意する必要があり、急遽採用された。なお前述のROM版でも読み込みのシーケンスは残され、本楽曲も流れるが、通常のROMから読み込んでいるため短時間で曲が終了する。
楽曲は雑誌『Beep』1987年3月号の付録ソノシートにおいて、「バブルシステム・ウォーミングアップ」のタイトルで収録。その後、アルバム『コナミック・ゲーム・フリークス』において「コナミ・モーニング・ミュージック」の曲名で収録された(CD版のみ)。その後『グラディウス アーケードサウンドトラック』などに収録されている。
その後もコナミのゲームや音楽CDなどに、起動デモの再現やアレンジされた楽曲が使用されている。
- 『グラディウスデラックスパック』に収録された『グラディウス』のゲームデータ読み込み時に、バブルシステムの起動デモが再現されている(ただし、暖気カウントは含まれていない)。
- ニンテンドーDS版『コナミ アーケード コレクション』では、『グラディウス』の起動画面をモチーフにしたオープニングと共に本楽曲が演奏される。
- X68000版『出たな!!ツインビー』のロード中BGMとして、本楽曲のアレンジバージョンが流れる。このSC-55アレンジ版はCD『MIDI POWER X68000 COLLECTION Ver.1.0』に収録されている。
- 音楽ゲーム『キーボードマニア』や『ノスタルジア』では「Morning Music」として収録されている。前者は通常のプレイではややテンポを遅くしたアレンジだが、Anotherモードとして『MIDI POWER』アレンジ版もプレイできる。
- CD『ウィンビーのネオシネマ俱楽部3 -ときめき編-』に「CRISTAL MORNING」(CD表記ママ)としてイージーリスニング風アレンジが収録。
- ニンテンドーDS用ソフト『ラブプラス』(『ラブプラス+』)と続編のニンテンドー3DS用ソフト『NEWラブプラス』(『NEWラブプラス+』)に、デートイベント『バロックの夕べ』で流れるバロック音楽風アレンジが収録。
- スマートフォン向けゲーム『ときめきアイドル』のデータダウンロード時のBGMとしても用いられ[2]、ドラマCD『もっと! ときめきアイドル ~featuring 青山つばさ&川口夏海~』にボーナストラックとして収録されている[3]。
出典
- ^ Illegal function call
- ^ 怪しい隣人 (2018年3月25日). “もうちょっと加減しろ! 「ときめきアイドル」のネタがあまりにも濃すぎるのでがんばって解説する”. ねとらぼ. ITmedia. 2018年5月6日閲覧。
- ^ “もっと! ときめきアイドル ~featuring 青山つばさ&川口夏海~(CD)”. コナミスタイル. コナミデジタルエンタテインメント. 2020年3月30日閲覧。
参考文献
- 『月刊Beep』日本ソフトバンク 1987年3月号、4月号
外部リンク
- System 16での紹介(英語)