作業環境測定士
作業環境測定士 | |
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英名 | Working environment measurement |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 衛生・労働 |
試験形式 | 五肢択一式 |
認定団体 | 厚生労働省 |
等級・称号 | 作業環境測定士 |
根拠法令 | 作業環境測定法 |
公式サイト | http://www.jawe.or.jp/index.html |
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作業環境測定士(さぎょうかんきょうそくていし)とは、厚生労働大臣の登録を受け、指定作業場について作業環境測定の業務を行う者となっており、国家資格である。原則として「作業環境測定士試験に合格し、かつ、都道府県労働局長または厚生労働大臣もしくは都道府県労働局長の指定する者が行う講習を修了した者」である。
概要
作業環境測定士は作業環境測定法に基づいて労働作業者の職場環境に存在する有害物質を調査するため、調査計画(デザイン)、試料採取(サンプリング)、分析(簡易測定および測定機器を用いる)を行い、労働作業者の健康を守る資格である。
登録するためには、
などの要件を満たす必要がある。
区分
- 1種 - 鉱物性粉じん、放射性物質、特定化学物質、金属類、有機溶剤の5つに分かれており、合格した科目の分析が可能となる。[1]。
- 2種 - デザイン、サンプリング、検知管等の簡易測定器による分析は可能だが、分析機器を用いて測定することはできない[1]。
受験資格
- 大学または高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 高等学校または中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 大学または高等専門学校において理科系統の正規の課程以外の課程を修めて卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 職業能力開発総合大学校において長期課程の指導員訓練(理科系統の専門学科)を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 応用課程の高度職業訓練(理科系統の専攻学科)または専門課程の高度職業訓練(理科系統の専攻学科または専門学科)を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 普通課程の普通職業訓練(理科系統の専攻学科または専門学科)を修了した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 専修訓練課程の普通職業訓練(理科系統の専門学科)を修了した者で、その後4年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 職業訓練の検定職種のうち、一級、二級または単一等級の技能検定(理学、工学の知識を必要とするものに限る)に合格した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 8年以上労働衛生の実務に従事した経験を有する者。
- 測定法施行規則第17条の各号のいずれかに該当する者。
- 技術士試験の第二次試験に合格した者。
- 産業安全専門官、労働衛生専門官もしくは労働基準監督官またはその職務にあった者。
試験
第一種は8月下旬頃の2日間、第二種は8月下旬頃の1日間と2月中旬頃の1日間の2回である[2]。
試験科目
- 第一種
- 共通科目
- 労働衛生一般
- 労働衛生関係法令
- デザイン・サンプリング
- 分析に関する概論
- 選択科目
- 有機溶剤
- 鉱物性粉じん
- 特定化学物質等
- 金属類
- 放射性物質
- 第二種
- 共通科目
- 労働衛生一般
- 労働衛生関係法令
- デザイン・サンプリング
- 分析に関する概論
試験免除の条件
全科目免除
以下に挙げる者は、登録講習の受講のみで第二種作業環境測定士資格及びすべての第一種作業環境測定士資格を得ることができる[1][3]。
第一種の一部まで免除
以下に挙げる者は、登録講習の受講のみで第二種作業環境測定士資格及び一部の第一種作業環境測定士資格を得ることができる[1][3]。
- 放射性物質のみ
- 診療放射線技師免許を受けた者[4]。
- 選任されている核燃料取扱主任者、試験研究用等原子炉主任技術者、発電用原子炉主任技術者または第一種放射線取扱主任者。
- 核燃料取扱主任者免状、原子炉主任技術者免状または第一種放射線取扱主任者免状を有する者で、放射性物質の濃度の測定の実務に3年以上従事した経験を有する者。
- 放射性物質以外
- 学校教育法による大学もしくは高等専門学校を卒業し、または高等学校もしくは中等教育学校を卒業し、環境計量士(濃度関係に限る)の登録を受けた者で、厚生労働大臣の登録を受けた団体が行う試験免除講習を修了した者。
第二種のみ免除
以下に挙げる者は、登録講習の受講のみで第二種作業環境測定士資格を得ることができる[1][3]。
- 臨床検査技師で、空気環境の測定の実務に3年以上従事した経験を有する者。
- 臨床検査技師で、大学において作業環境、統計及び関係法令に関する授業科目を修めて卒業した者。
- 厚生労働大臣の登録を受けた大学もしくは高等専門学校または職業能力開発短期大学校もしくは職業能力開発大学校において第二種作業環境測定士となるために必要な知識及び技能を付与する科目を修めて卒業し、または訓練を修了した者。
一部免除
〇は免除科目、△は一部の者のみ免除である。◎は共通科目のすべての科目に合格した場合、無試験でその科目の登録講習を受講できる科目である[1][3]。
科目の免除を受けることのできる者 | 衛生一般 | 関係法令 | デザイン | 分析概論 | 粉塵 | 放射線 | 特化物 | 金属類 | 有機溶剤 |
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環境計量士(濃度関係に限る)の登録を受けた者で、上記に掲げる者以外の者 | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |||
技術士(化学部門、金属部門または応用理学部門に限る)の登録を受けた者 | ○ | ||||||||
技術士(衛生工学部門に限る)の登録を受けた者で、空気環境の測定の実務に3年以上従事した経験を有する者 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ||||
臨床検査技師で、上記に掲げる者以外の者 | ○ | ○ | |||||||
衛生検査技師 | ○ | ||||||||
専門課程の高度職業訓練(化学システム系環境化学科の訓練に限る)を修了し、かつ、技能照査に合格した者 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | |||||
化学分析科の職種に係る職業訓練指導員免許を受けた者 | ○ | ○ | |||||||
職業訓練の検定職種のうち、化学分析に係る一級または二級の技能検定に合格した者 | ○ | ||||||||
公害防止管理者試験(騒音・振動を除く)または公害防止主任管理者試験に合格した者 | ○ | ||||||||
第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許を受けた者で、それぞれ5年以上または3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有し、かつ、厚生労働大臣の登録を受けた団体が行う試験免除講習を修了した者 | ○ | ○ | |||||||
労働衛生コンサルタント | ○ | ○ | |||||||
労働衛生専門官または労働基準監督官として3年以上その職務に従事した経験を有する者 | ○ | ○ | |||||||
作業環境測定士試験に合格した者または作業環境測定士として登録を受けた者 (第二種作業環境測定士試験合格者が第一種試験を受ける場合など) |
○ | ○ | ○ | ○ | |||||
科目合格者 | △ | △ | △ | △ |
登録講習
筆記試験に合格し、作業環境測定士として登録するための必須講習。第二種を受講しなければ、第一種を受講することができない。 第二種と第一種を連続して受講できるが、第二種が合格していない場合、第一種の登録ができない。
- 第二種
3日間の講習で労働衛生一般、デザインサンプリングを座学で行い、簡易測定法を含むサンプリング方法を実習にて学ぶ
- 簡易測定法(検知管を用いての濃度測定)
- デジタル粉じん計の使い方
なお、第二種作業環境測定士登録講習を修了すると、衛生工学衛生管理者講習の受講資格要件を満たすことができる[5]。
- 第一種
- 鉱物性粉じん・放射線物質・特定化学物質(金属類を除く)・金属類・有機溶剤の各項目毎に2日間の講習が行われる
- 実習により各分野の分析方法学ぶ
- 粉じん
- 労働衛生の知識(座学)
- 石綿分析
- 遊離珪酸の分析
- リン酸法
- X線回折法
脚註
関連項目
- 日本作業環境測定協会
- 労働衛生コンサルタント
- 衛生管理者
- 衛生工学衛生管理者
- 建築物環境衛生管理技術者(事務所等の特定建築物における環境測定、環境衛生に関する監督者)
- 労働衛生指導医
- 都道府県労働局