デスラー艦
デスラー艦(デスラーかん)は、『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』に登場する架空の宇宙戦艦。
概要
ガミラス帝国、のちにガルマン・ガミラス帝国のデスラー総統の御座艦で、帝国軍総旗艦を兼ねる。初代、二代目、三代目を通じて、ブルーの艦体色と艦首デスラー砲という共通の特徴がある。
初代
全長 | 200m |
全幅 | |
全高 | |
主機関 | 波動エンジン×1基 |
兵装 | デスラー砲×1門 大口径レーザー砲×3門 ミサイル発射管×8門 移乗戦用チューブミサイル |
初代デスラー艦は、『宇宙戦艦ヤマト』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は加藤直之。
ラムネ瓶状の外観を持つ戦闘艦。ガミラス本星の天井都市の総統府[1]が、緊急用の脱出艦となっていた。
全長はヤマトの半分程度と小型である。艦橋部分は引き込み式。正六角形の主推進ノズルを6つ持つ。特筆すべき事項として、当時よりデスラー砲の発射直後にワープが可能である[2]。また微速後進しながらワープに入れるなど、ユニークなスペックを備える。
兵装はデスラー砲、その他に大レーザー砲塔3門、ミサイル発射管8門。敵艦に白兵戦を挑む、移乗戦用のチューブミサイルを装備。
- 劇中での登場
- 天井都市の総統府としては登場していたが、宇宙戦艦としての登場は26話のみである。イスカンダル星からの帰還途上のヤマトを付け狙い、銀河系内にて捕捉。ヤマトとの衝突の際に、ヤマトの装甲にチューブミサイルで穴をあけてデスラー自らが乗り込み白兵戦を挑むが、コスモクリーナーによって撤退。その後、地球帰還直前のヤマトにデスラー砲を浴びせるが、空間磁力メッキに跳ね返され自滅した。ただし、『宇宙戦艦ヤマト2』では、デスラー砲が直撃後、デスラー自らがレバーを操作し、自爆したことになっている[3][4]。
二代目
全長 | 235m |
全幅 | 74.6m |
全高 | |
主機関 | 波動エンジン×1基 |
兵装 | デスラー砲×1門 大レーザー砲×3門 ミサイル発射管×4門 瞬間物質移送器×1基(2基で1組) 三連装無砲身レーザー砲塔×2基 三連装パルスレーザー機関砲×8基 磁力機雷散布装置 アンドロイド兵部隊制御システム |
二代目デスラー艦は、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』[5]、『宇宙戦艦ヤマト2』、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は宮武一貴。
初代デスラー艦の船体下半部及び後部機関部を、新たな船体で挟むように増築した構造となっている。ゴーランド艦隊の妨害電波を消去する電子戦装備も持つ。
兵装は、艦首にデスラー砲とデスラー戦法用の瞬間物質移送器が装備されている。左右のデッキ上に、三連装無砲身レーザー砲塔や対空装備として三連装のパルスレーザー機関砲が装備されている。艦底部には磁力機雷散布装置も備える。他に初代デスラー艦同様、大レーザー砲塔やミサイル発射管も確認出来る。
艦橋にチェス盤状のコンソールで操作する、アンドロイド兵部隊の制御システムを備えている(TV版では未使用)。
- 劇中での登場
- 『さらば宇宙戦艦ヤマト』で登場した際は、乗員はデスラーとタラン以外は全てアンドロイド兵だった。ヤマトとの白兵戦の際に、兵をコントロールする制御システムを破壊され機能停止する。
- 『宇宙戦艦ヤマト2』で登場した際には、ガミラス人の乗組員が多数乗艦していた。太陽系での決戦ではヤマトの波動砲を磁力機雷の転送で封じ、戦略的勝利を収めたが、直後の白兵戦で大破、遺棄された。
- 『宇宙戦艦ヤマト 完結編』では、辺境視察に使用されていた。トリチウムを積んだヤマトを援護し、プレ・ノアに乗ったディンギル帝国ルガール大神官大総統をデスラー砲[6]で殲滅する。
- PSゲーム版では左右デッキ上の無砲身三連装レーザー砲塔が4基になるなど、デザインがリファインされている。また空間磁力メッキの搭載も行われている。
三代目
全長 | 702mまたは1,350m |
全幅 | |
全高 | |
主機関 | |
兵装 | ハイパーデスラー砲×1門 瞬間物質移送器×1基(2基で1組) 大口径回転速射砲塔×7基 超大型ミサイル×2基 |
三代目デスラー艦は、『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は板橋克己。
ガルマン・ガミラス帝国の総統としての御座艦にふさわしい巨大戦艦。全長は1,350m、あるいは702m[7]と資料によって異なる。新型デスラー艦[8]とも呼ばれる。
曲線主体のガミラス様式から外れたブロック構造状のガルマン式の艦体が特徴。兵装は艦首にハイパーデスラー砲を装備。両翼部に瞬間物質移送器を備え、艦体に大口径回転速射砲塔を艦首に3基。左右デッキ上に2基ずつ、計7基[9]。艦底には超大型のミサイル(惑星破壊プロトンミサイル?)2基装備が外見から読み取れる。
エンジン推力はボラー連邦の機動要塞の放つブラックホール砲にも対抗できる力を持つ。
- 劇中での登場
- シャルバート星上空でボラー連邦艦隊をハイパーデスラー砲で全滅させる。
- 太陽制御中のヤマトがボラー艦隊の攻撃を受けているときに、親衛艦隊のデスラー砲艦を率いて登場。ボラー連邦の首相ベムラーゼは機動要塞で自信満々にデスラーに直接対決を挑むが、要塞もろともハイパーデスラー砲で葬り去る。
SPACE BATTLESHIP ヤマト
全長(推定) | 2km |
全幅(推定) | 3.5km |
全高(推定) | 2.8km |
基準排水量 | 不明 |
乗員 | 不明 |
主機関 | 不明 |
兵装 | ガミラスミサイル レーザー |
デスラー艦は、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』に登場する架空の宇宙船で、初の実写版のデスラー艦である。
今作品ではガミラスの設定がそれまでと大きく異なり、人類はガミラスという名称で呼称し、自らはデスラーを名乗る鉱石状の集合意識生命体であり、デスラー艦も御座艦・全軍の総旗艦というよりは、ガミラスの最終兵器という意味合いが強い。
デザインも原作と大きく異なっており、ヤマトを遥かに凌ぐ巨大な船体は、艦というよりは悪魔が翼を広げた様な外観を有しており、黒褐色のボディに所々に青い発光が見られ、中央部には顔と思しき物も確認できる。
- 劇中での登場
- ガミラス星地下都市の一部を構成している恒星間航行船と推測されており、ガミラスがガミラス・イスカンダル星でのヤマトクルーとの戦いで壊滅したかに思われたが、残存兵力が本艦で地球目前にワープし、ヤマトを攻撃して戦闘能力を奪った後、下部から地球そのものを破壊する程の破壊力を持つと思われる超兵器ガミラスミサイルを発射、直後に船体はバラバラに四散した。しかしヤマトの自爆特攻によりミサイルは破壊される。
宇宙戦艦ヤマト2199
全長 | 不明 |
主機関 | ゲシュタム・ドライブ |
兵装 | ゲシュ=ダールバム(通称:デスラー砲)×1門 480ミリ三連装陽電子カノン砲塔×6基(艦橋左右及び下面左右) 330ミリ三連装陽電子カノン砲塔×6基 330ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×6基 魚雷発射管×51門 |
『宇宙戦艦ヤマト』(以下、「旧作」)のリメイク作である本作では、特一等航宙戦闘艦 デウスーラII世という艦艇が登場する。
デウスーラI世の後継艦。全長は、ヤマトに接舷したシーンでの対比で、ヤマトの2倍程度の大型艦である。艦首にデスラー砲(正式名称:ゲシュ=ダールバム)を装備するほか、330ミリ三連装陽電子カノン砲塔と330ミリ三連装陽電子ビーム砲塔を6基ずつ、さらにそれらより大口径の480ミリ三連装陽電子カノン砲塔が艦橋両側に計4基格納されており、下面にも2基装備している。その上、魚雷発射管を51門装備しており、シリーズ歴代のデスラー艦の中では最も重武装である。
艦首砲口の左右にはガミラス艦特有の「目玉」を備えた盾のような構造物が存在し、従来の作品に登場してきた「デスラー艦」とは大きく違うフォルムを有している[10]。
デスラー総統座乗艦として、第二バレラス宙軍工廠で極秘裏に建造されていた新型航宙戦闘艦。その存在を知るのは軍需国防相のヴェルテ・タランと親衛隊のみである。
第二バレラスに設置されており、都市に設営された次元波動兵器(デスラー砲)の中枢部を兼ねている。亜光速の移動目標を精密射撃する際には、第二バレラスから分離して、デスラー砲搭載艦として運用できる。
デスラー砲へのエネルギー供給は、艦が第二バレラスと接続しているときは第二バレラスの次元波動機関から受けるが、分離後は艦に搭載されている次元波動機関から受けるように切り替わる。
なお、独立艦として運用するには後述のコアシップとドッキングする必要がある。
- 劇中での登場
- 第23話でコアシップとドッキングする際に初登場。第二バレラスに繋留された状態となっており、艦体の一部しか映らず、この話の時点は全体像は不明。第二バレラスの波動コアの暴走によって起きた爆発に呑まれて爆沈したかに見えたが、直前にゲシュタム・ジャンプで逃れていた。
- 第25話で、亜空間回廊内でヤマトを待ち伏せ、ヤマトに接舷。ガミロイド兵を用いた白兵戦を行うが、ヤマト側がオルタの時のデータを元に作成していたコンピュータウイルスにより失敗。その後、ヤマトから離れ、回廊内では通常のビーム兵器が無効であることから、デスラー砲でヤマトを沈めようとしたが、発射直前に「砲弾」である三式弾の連射を受けて中破。その状態でデスラー砲を発射したことにより、波動エネルギーが暴走して爆沈した。
独立戦闘指揮艦(デウスーラII世・コアシップ)
全長 | 不明 |
主機関 | ゲシュタム・ドライブ |
兵装 | 近接防御火器(単装)×6基(艦橋基部左右各3) 艦首魚雷発射管×4門 |
デウスーラII世の管制ユニット、というより本艦こそがデウスーラII世の本体である。形状は旧作のデスラー艦に似ており艦橋部分は引き込み式だが、艦首のデスラー砲の砲門は存在しない。また、8門のミサイル発射管は本作におけるガミラス艦の特徴である「目玉」になっている。
艦橋内には2代目デスラー艦に搭載されていたものに似たガミロイド兵の指揮用コンソールが備わっている。
- 劇中での登場
- 第22話で総統府の内部にモニュメントとして設置されており、雪が見上げている。第23話でヤマトがデスラー総統府に突入した際、帝都と部下を見捨てて総統府から発進し、第二バレラスへ向かい、デウスーラII世とドッキング。艦の制御を第二バレラスからコアシップに移して作戦を行った。
その他の御座艦
上記の3艦の以外にも一時的に御座艦となった艦が存在する。
- 『宇宙戦艦ヤマト2』
- 『宇宙戦艦ヤマト2199』
-
- デウスーラI世
- ゼルグート級一等航宙戦艦の2番艦であり、ドメラーズIII世の同型艦。上記の艦とは異なり正式な総統座乗艦とされており、塗装はデスラー艦と同様の青色基調のものとなっている。詳細はドメラーズ3世#同型艦を参照。
- デウスーラI世
脚注
- ^ ヤマトとの本土決戦における作戦指揮所である。
- ^ ヤマトの場合、波動砲発射直後のワープが可能になったのは『ヤマトよ永遠に』以降である。
- ^ 『宇宙戦艦ヤマト2 DVDメモリアルボックス 保完ファイル』には、ワープのレバーと表記されている。
- ^ 旧カットは初代だが、新カットでは誤って現在使用しているはずの二代目が描かれている。
- ^ 『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』では初代のデスラー御座艦となる。設定画における表記は、デスラー戦艦。「EB22 宇宙戦艦ヤマト メカニック大図鑑」(バンダイ)のように、この名称を使用している資料本も存在するが、定着しなかった。『宇宙戦艦ヤマト2』では二代目となる。この事が、デスラー艦の呼称を複雑にする要因となっている。
- ^ 劇中の台詞がなく発射しているため、デスラー砲なのかハイパーデスラー砲かは不明である。
- ^ 「宇宙戦艦ヤマトIII DVDメモリアルボックス保完(補完ではない)ファイル」のP28。この資料では、当初は1,350mと設定され、バンダイの模型でもこの数値だが、その後702mに変更されたとある。宇宙戦艦ヤマトIII第25話でヤマトと並列で停泊するカットでは翼部と長さとヤマト艦橋から甲板部の長さがほぼ同じである事などから、こちらの数値が画面上では正しいと思われる。
- ^ この名称は、二代目と三代目でしばしば使用されることがある。また、『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する艦を模型化したプラモデルの商標名から、新型デスラー艦は、通常三代目を指すと思われる。しかし、初代から数えれば、二代目、三代目も新型デスラー艦と呼べるものであり、「ロマンアルバムエクセレント54‘宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2’」のP132や食玩など、二代目もそのように呼ばれる事もあることから、本項では、二代目、三代目という名称で統一する。
- ^ 「宇宙戦艦ヤマト画報」では、ガミラス及びガルマン・ガミラス帝国の戦闘艦の武装を、総じてパルスレーザー砲と表記。バンダイ刊の「宇宙戦艦ヤマトメカニック大図鑑」ではこのタイプの砲塔を回転速射砲塔と表記する。
- ^ むしろその「頭でっかち」な形状は、白色彗星帝国の超巨大戦艦に似ている。
- ^ 宇宙戦艦ヤマトIIIの回想シーンでは緑色である。
参考文献
- 「宇宙戦艦ヤマト全記録集 下巻」(オフィスアカデミー・1978)
- 「宇宙戦艦ヤマト全記録集 設定・資料版」(同上・1979)上記の「下巻」の廉価版。
- 「デラックス版‘さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち’」(同上・1979)
- 「スーパーデラックス版‘宇宙戦艦ヤマト完結編’」(ウエストケープ・コーポレーション・1983)
- 「ロマンアルバムデラックス43‘宇宙戦艦ヤマトIII’」(徳間書店・1981)
- 「ロマンアルバムエクセレント54‘宇宙戦艦ヤマトPERFECT MANUAL2’」(同上・1983)
- 「EB22‘宇宙戦艦ヤマト メカニック大図鑑1’」(バンダイ・1990)
- 「ロマン宇宙戦記二十五年の歩み‘宇宙戦艦ヤマト画報’」(竹書房・2001)
- 「宇宙戦艦ヤマトIII DVDメモリアルボックス」(バンダイビジュアル・2001)