ブラックタイガー (宇宙戦艦ヤマト)
ブラックタイガーは、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』に登場する架空の戦闘機である。デザイン担当は松本零士、加藤直之。以下劇中設定。
概要
地球防衛軍が使用する宇宙戦闘攻撃機である。黄色と黒の大胆な塗り分け(下面は白)と、コックピット両脇に描かれた眼のマーキングが印象的な機体であり、宇宙戦艦ヤマトの2199年航海時の主力搭載機である。
この機体が開発される以前の地球製航空機は、ガミラス製偵察機を追跡することすら不可能であった。ヤマト同様、イスカンダルからのオーバーテクノロジーにより、全ての性能が飛躍的に向上し、ガミラス軍と互角以上の戦闘が可能となった。機体外観は無尾翼デルタに属し、これは後に開発されるコスモ・ゼロ、コスモタイガーIIにも受け継がれる。武装は主翼付根付近にパルスレーザー砲を6門装備。本劇中では翼下にミサイルを懸架した姿が描かれたことは無い。これは1作目におけるコスモ・ゼロについても同様である。
後に後継機であるコスモタイガーIIに取って代わられるが、長方形に近いメインスラスターノズル、胴体下面後部に備えられた2枚のベントラル・フィン、シンプルな箱状の胴体部など、このコスモタイガーIIには本機との共通点も多い。また、本機の名称にちなんで名づけられた部隊名「ブラックタイガー隊」は使用機種がコスモタイガーIIに変更されてからも当初は受け継がれ[1]、劇中の台詞にも反映されているが、設定としては長続きしなかった模様で、その後は「コスモタイガー」との台詞ばかりが作中に登場し、「隊としての名称」がそのまま『完結編』まで存続したのかは曖昧な形になっている。
第1作劇中では旧地球艦隊の艦砲が効かなかったガミラス艦を機銃掃射であっさり撃沈するシーンがあり(第7話)、空戦に特化したコスモ・ゼロと違って対艦攻撃能力も高そうである[2]が、逆にビーメラ星のエピソードでは、1隻のタンカーロケットに手こずるなど、劇中描写は一定ではない。
また第1作では艦底部格納庫内の艦上機が全てブラックタイガーではないシーンがある。時には全てがコスモ・ゼロと思われる機体であったり、ブラックタイガーでもコスモ・ゼロでもない謎の機体で埋め尽くされているシーンさえある。
諸元
PS系ゲーム版における変更点
プレイステーションゲーム『宇宙戦艦ヤマト 遙かなる星イスカンダル』が製作された際、本機も宮武一貴によってデザインがリニューアルされている。胴体下面にはVTOLノズルが追加され、アニメ版では見られなかったミサイル装備も可能となっている。名称も99式宇宙艦上戦闘機という正式名が与えられている。
コスモファルコン
コスモファルコンとは、2012年に公開(2013年にテレビ放映)のTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』に登場する架空の宇宙戦闘機である。デザイン担当は玉盛順一朗、コックピット内は山根公利。
国連地上軍/極東方面空間戦闘群/宙技廠開発機。正式名称は「99式空間戦闘攻撃機」。通称は「ファルコン」または「はやぶさ[6]」。
『宇宙戦艦ヤマト』のブラックタイガーをリメイクした機体であり、翼型はクリップドデルタ、単垂直尾翼。二次元推力偏向ノズルを装備し、高いステルス性を持つ。また、垂直離着陸能力も持っており、ホバリングも可能。
本来は艦上戦闘機ではなく、国連地上軍が正式採用している、地球の絶対防衛圏守備用局地戦闘機として開発された機体だったのだが、国連宇宙海軍開発のコスモゼロの量産遅延に従い、地上軍からヤマトに転用されている。モチーフは旧日本陸軍の一式戦闘機 隼であり、本編でも「隼」と呼ばれている。
カラーリングはブラックタイガーの黄色と黒から、現用航空機に近い色に変更されている。に変更されている。なお、所属によってカラーリングが異なっており、防空隊仕様は灰色をベースに翼の一部分が紫で尾翼に国連のマークがあり、ヤマト搭載機の一般機は紺色ベースで翼部分が一部黄色に塗られている。個人によっても若干異なっており、加藤機は灰色ベースで翼の一部分が赤で尾翼に「誠」の文字があり、篠原機は紺色ベースだが、ブラックタイガーを思わせる目と米軍機を思わせるシャークマウスが描かれている[7]ほか、機関砲や尾翼部分が黒色で尾翼には翼の生えた髑髏のマークがある。
- 性能諸元
- 全長:15.9m
- エンジン:流星35型 複合輻流式コスモエンジン×2、機体各所にスラスターを装備。
- 武装:機銃×2、機関砲×6、対地、対空、対艦ミサイル(機体下部兵倉に装備)×8、ハードポイントもあり翼下などにも追加装備可能。
脚注
- ^ 『てれびくんデラックス2“宇宙戦艦ヤマト大全集”』小学館、1979年、36頁。『ロードショー責任編集“さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち”』(集英社)のコスモタイガーIIの説明文にも「ブラックタイガー隊を編成する新鋭機」との記述あり。
- ^ 第7話の描写は「ガミラス艦がショックカノン1発で次々と誘爆を起こして沈んでゆく」「超大型ミサイルや反射衛星砲の直撃を受けてもダメージがそれほど重くない」など、ヤマト側(地球側)の攻撃力と防御力が、必要以上に強く描かれている節がある。
- ^ a b c d 『てれびくんデラックス2“宇宙戦艦ヤマト大全集”』小学館、1979年、36頁。公式には「コスモゼロに準ずる」との記述のみで、具体的な数値データ無し。
- ^ 放送当時発売されていたバンダイ製の模型では複座式として、2007年にリリースされたEXモデルではコスモ・ゼロと同様の折りたたみ式複座として再現されている。公式には具体的な数値データ無し。
- ^ a b PS系ゲーム版における設定。
- ^ 「はやぶさ」と呼んでいるのは劇中では沖田のみである。
- ^ 旧作のブラックタイガーは、本来機種下部にシャークマウスが描かれる予定だったが、本編では白一色に変更されたという経緯が存在する。
参考文献
- ロードショー責任編集『“さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち”特集号VOL1』集英社、1978年。
- 『てれびくんデラックス2“宇宙戦艦ヤマト大全集”』小学館、1979年。
- 『DNAメディアブックス“宇宙戦艦ヤマト 遙かなる星イスカンダル 設定資料集”』スタジオDNA、2000年。ISBN 4921066833。