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「美術学校」の版間の差分

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オーストラリア: en:Art school#Australia 16:17, 28 June 2015 UTC を抄訳。
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===イギリス===
===イギリス===
おそらく、「美術大学」の定義に最もよくあてはまるのは、継続教育・高等教育を提供している自律的大学群になるだろう。それらは、全英美術大学協会に加盟しており、全部で約18校ある。その他には、より大きな、特定の専門を持たない大学に付随している大学もある(例えばスレード美術大学)。どちらの種類にしても、ほとんどの美術大学は16歳以降の課程と大学院レベルのどちらの教育機会も提供している。
* The University of the Arts London

* The Slade School of Fine Art
大学の種類は、継続教育に特化したものから、研究主体の専門機関まで多岐にわたる。例えばロンドン芸術大学は連邦的な構造をとった組織であり、ロンドンにある6校の独立した大学から構成されている。それらは、キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ、セントラル・セント・マーチンズ、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ、ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション、そしてウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツである。その他にも同様の大学として、スレード美術大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジがあり、どれも学部もしくは大学院課程を一つの大学の傘下のもとで提供している。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのみ、単独の大学院大学であるという点で、例外的な存在である。
* The Royal College of Art

* Goldsmiths College, University of London
ロンドン以外の美術大学としては、次に挙げる大学がある。アカデミー・オブ・リアリスト・アートUK、エディンバラ美術大学、ヘレフォード美術大学、ダンカン・オブ・ジョルダンストーン美術大学、グラスゴー美術大学、グレイズ美術大学、マレー美術大学(ハイランド・アンド・アイランド大学)、バーミンガム美術大学、コベントリー美術大学、ノリッチ美術大学、ファルマス美術大学、プリマス美術大学、ラフバラー美術大学。
* Academy of Realist Art UK

* Edinburgh College of Art
1970年代以降、ディプロマに代わって学位(degree)が美術高等教育における一流の資格となった。
* Hereford College of Arts

* Duncan of Jordanstone College of Art & Design
完全に自律的な美術大学の場合、学位認定の際は一般大学と同様に、学士号(Bachelor of Arts (Hons))かそれ以上の学位を授与するのが長い慣習となっている。最近では、総合大学が視覚芸術のプログラムを設けたり、独立した美術大学がポリテクニックや一般大学と合併して美術の学位機関となる、という傾向がある。顕著な例外としては、シティ・アンド・ギルド・ロンドン美術学校があり、独立した美術大学としてファインアートならびに彫刻や保存修復などの関連分野のみに特化した学校である。いくつかの学校は自力で大学の地位を得たが、先に言及したロイヤル・カレッジ・オブ・アートとロンドン芸術大学がその例である。
* Glasgow School of Art

* Gray's School of Art
イギリスにあるほとんどの専門研究機関は、その起源を19世紀かそれ以前にまで辿ることができる。もともとは政府主導で創立されていることが一般的である。
* Moray School of Art (University of the Highlands and Islands)

* Birmingham Institute of Art and Design
2011年4月に『モダン・ペインターズ』(雑誌)は美術業界のプロたちを対象に調査を行い、イギリスの美術大学トップ10を発表した。結果は次のとおりである<ref>{{cite web|url=http://www.cityandguildsartschool.ac.uk/news/school_news/modern_painters |title=City and Guilds of London Art School - Modern Painters Survey Ranks School as 3rd Best UK Graduate Arts Programme |publisher=Cityandguildsartschool.ac.uk |date= |accessdate=2014-02-15}}</ref>。1位:ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、2位:ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、3位:シティ・アンド・ギルド・ロンドン美術学校、4位:スレード美術大学、5位:ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ、6位:グラスゴー美術大学、7位:セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学)、8位:キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)、9位:エディンバラ美術大学、10位:チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)。
* Coventry School of Art and Design
* Norwich University of the Arts
* Falmouth University
* Plymouth College of Art and Design
* Loughborough University School of Art and Design
* City and Guilds of London Art School


===アメリカ===
===アメリカ===

2015年8月3日 (月) 07:19時点における版

マリ・バシュキルツェフ「アトリエにて」(1881年)は、美術大学における人体デッサン授業の様子を描いている。ドニプロペトロウシク美術館(ウクライナ)所蔵。

美術大学(art school)とは、視覚芸術(イラストレーション、絵画、写真、彫刻、グラフィックデザインなど)に特化した教育機関である。初等教育、中等教育、高等教育の各段階の美術教育機関が存在する。総合大学の中には、幅広い教養・学際領域を扱うプログラム(教養学部、学芸学部など)の一部として視覚芸術の専攻・学位を提供するところもあるが、美術大学はそれらとは区別される。フランスのエコール・デ・ボザールが、今日の美術教育機関の最初のモデルであると考えられ、徒弟制度に基づく伝統的な美術教育に代わる組織として登場した。

混同されがちではあるが、音楽系学部などを含む場合もある芸術大学は、厳密には美術大学とは区別される。また、音楽学部だけを持つ単科大学音楽大学と呼ばれ、区別される。

美術大学は美術における実技者の育成に主眼を置き、油絵日本画版画彫刻工芸建築デザインなどを学ぶことができる。近年ではパソコンウェブデザイン映画映像編集マンガアニメーションゲームなど、多様な分野を学ぶことのできる大学も多い。

なお、大学の種別としての美術大学・芸術大学を単に「美大芸大(げいだい)」と略す他にも、後記する各大学の学生・関係者や近隣住民によるその大学の省略形呼称として、「美術大学/芸術大学」「美術大/芸術大」「美大/芸大」などとして使われる場合も多い。(大学の略称については本稿の説明範疇ではないので詳細については当該項目を参照の事。)

歴史

1720年頃のアカデミーにおけるヌードデッサンの様子。ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの作品。
「王立アカデミーにおける会員たちの肖像」、ヨハン・ゾファニーの1771/72年の作品。

美術大学(アカデミー)の起源はイタリアに発する。1563年にフィレンツェに建てられたアカデミア・デッレ・アルティ・デル・ディゼーニョ(Accademia delle Arti del Disegno、通称「アカデミア」)が、ヨーロッパに初めて作られた絵画アカデミーである。このアカデミアは、トスカーナ大公コジモ1世の庇護のもとで運営されていた。王室の援助によって美術アカデミーを運営するという教育モデルは、ヨーロッパ中で広く取り入れられた。ローマ教皇は1593年、ローマにアカデミア・ディ・サン・ルカ(Accademia di San Luca)を設立し、それに続いてフランス国王は1648年に王立絵画・彫刻アカデミー(Académie de peinture et de sculpture)を作った。これは、今日まで続く芸術アカデミー(Académie des Beaux-Arts)として引き継がれている。

ドイツ帝国における最初の美術大学・アカデミーは、1662年に創設された絵画アカデミーであり、銅版画家のヨアヒム・フォン・ザンドラルトによってニュルンベルクに作られた。17世紀から18世紀後半に設立されたアカデミーでは、諸侯のもと、芸術家は教授として学生を指導した。学校が成功することで領邦の名誉が得られたのである。ヨーロッパの他の国でもアカデミーが登場し、国家の庇護のもとに運営された。1696年にベルリン、1725年にウィーン、1735年にストックホルム、1768年にロンドンで、順にアカデミーが出来た。ドイツにおける著名なアカデミーは、ドレスデン、マンハイム、デュッセルドルフ、ミュンヘンの各領邦に作られた。これらのアカデミーとは対照的に、アウクスブルク美術アカデミーは都市部に作られたが、1755年にはドイツ帝国の特権が与えられ、美術作品の制作・発表を通じて大きなカリスマ性を得るに至った。アカデミーでは学問的訓練と厳格な古典的規則の教授が行われてきたが、18世紀後半にはそういった教育方法を疑問視する反対運動が起き、美術の自由を求める声が上がった。ナザレ派に代表されるグループは、公的な美術の教義から身を引き、新しい表現方法を求めた。19世紀を通じて、アカデミーでの美術教育により確立された絵画に対抗する偉大な個人・変革者が登場した。例えばフランスでは、ドラクロワ、クールベ、そして印象派の画家たちが現れ、国立のアカデミーの外で美術を発展させようという動きを見せた。しかし、同時期には私立の美術学校も「アカデミー」と呼ばれていた(例えば、アカデミー・ジュリアン)。そこでは、国立のエコール・デ・ボザールの入学資格に満たない者が主に学んでいた。20世紀に美術教育が自由化されたため、美術アカデミーは伝統的な美術の擁護者としての役割の大部分を放棄している。

英語圏の美術大学は、大抵の場合、一般的な大学システムの中に位置づけられている。一方、デンマーク、フランス、イタリアなどでは、美術大学は独自の高等教育機関として存在しており、所在国の文部省の管轄外に置かれている。それらの学校では公的な学位は発行せず、独自の修了証明書を学生に与えている。一般大学とは異なる美術大学の特殊な位置づけは、ヨーロッパ圏外のいくつかの国でも引き継がれている。今日、多くの美術大学が美術に関連する他の科目も提供しており、また一般大学でも美術大学での科目に対応するコースを創設している。例えば、タイのバンコクにあるチュラロンコーン大学は、伝統的な学部に加えて美術学部を設けており、美術大学から一般大学に発展したシラパコーン大学と並んで美術教育を行っている。

日本の美術大学一覧

国立大学

公立大学

私立大学

美術系学部等のある日本の大学一覧

日本の美術短期大学

公立短期大学

私立短期大学

美術系学科等のある日本の短期大学一覧

残りは、芸術系学科のある短期大学一覧を参照

日本の教員養成系大学一覧

国立大学

私立大学

  • 文教大学 教育学部 学校教育課程 美術専修

日本の美術系大学群

国公立の芸術大学

東京藝術大学京都市立芸術大学愛知県立芸術大学金沢美術工芸大学沖縄県立芸術大学の国公立5校は毎年持ち回りで相互交流を目的とした五芸祭を開催している。沖縄県立芸術大学が正式参加する以前は四芸祭だった。

東京都の美術大学

5美大 (東京五美大)

東京都にある多摩美術大学武蔵野美術大学東京造形大学女子美術大学日本大学藝術学部は、総称して私立5美大と呼ばれ、合同で作品展などを開催している。

関西の美術大学

関西4美大

関西にある京都精華大学京都造形芸術大学大阪芸術大学成安造形大学は、総称して関西4美大と呼ばれる。

京都五芸大

京都滋賀)にある京都精華大学京都造形芸術大学京都嵯峨芸術大学成安造形大学大阪成蹊大学芸術学部は、総称して京都五芸大と呼ばれる。

日本の美術大学受験について

美術大学受験の多くは、基礎学力を考査する「学科試験」と、基礎技術を考査する「実技試験」の両試験の選考を経て行われる。受験者の多くは、数ヶ月~数年、美術大学受験のためにデッサンや色彩、デザインなどの基礎知識を学ぶのが一般的である。美術大学受験専門の「画塾」と呼ばれる美術専門の美大予備校も全国に存在する。

学科試験は、芸術関係の設問が多い。学科試験よりも実技試験を重視する傾向が強いが、最低基準値に達しない場合、実技が満点であっても不合格になることがある。そのため、学科授業も設ける予備校も多い。学科試験に大学入試センター試験を利用する美術大学も多い。美術制作を主体としない芸術学科を受験する場合、個別学力試験を課す大学もある。

実技試験は主に、素画、写生、着彩写生、静物写生、立体造形、彫刻、デザイン、空間構成、などを数時間かけて完成させ提出する。推薦入試等の場合は事前指定された制作課題を提出することもある。美術制作を主体としない芸術学科を受験する場合、実技試験に代えて小論文等を選択できる美術大学も多い。

海外の美術大学

オーストラリア

  • メルボルン大学ビクトリアン美術学部・メルボルン音楽学部(VCA・MCM学部)
  • ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT大学)
  • モナシュ大学美術・建築学部
  • ラ・トローブ大学美術学部
  • 南オーストラリア大学ファインアート・建築・デザイン学部(UniSA)
  • アデレード中央美術大学[1]
  • シドニー・アート・スクール[2]
  • ナショナル・アート・スクール(NAS)
  • ニューサウスウェールズ大学美術学校(UNSW)
  • シドニー大学シドニー美術学校(SCA)
  • グリフィス大学クイーンズランド美術学校

カナダ

カナダには4つの美術大学がある。それらは、エミリー・カー美術大学(バンクーバー)[3]、ノバスコシア美術大学(ハリファックス)[4]、オンタリオ美術大学(トロント)[5]、アルバータ美術大学(カルガリー)[6]である。エミリー・カー美術大学は、4校の中では最も活動的な研究プログラムを有しており[7]、過去5年間に1,500万ドルの研究投資を行っている。オンタリオ美術大学の2011年~2012年の研究投資は320万ドルに達した[8]。4校とも幅広い科目を教えており、絵画を始めとして新しいメディア、デザインも扱う。4校ともに公立の学校で、規模が最も大きいのはオンタリオ美術大学、2番目に大きいのがエミリー・カー美術大学である。過去5年間以上にわたり、エミリー・カー美術大学の在学生・卒業生がカナダ国内のほとんどの主要な賞を獲得してきた。最近のRBC絵画コンペティションでは、オンタリオ美術大学の卒業生であるヴァネッサ・マルチーズが受賞した。オンタリオ美術大学は大学院課程の充実化に成功しており、エミリー・カー美術大学もそれに迫る勢いで大学院を整備している。ノバスコシア美術大学の大学院は長い歴史を持っている。

スウェーデン

スウェーデンの美術大学の歴史は、18世紀前半に始まる。当時、美術を学ぶ学生は、1735年に創立されたスウェーデン王立美術大学に入学した。1844年には、職人が日曜日に通う美術学校としてスウェーデン国立美術工芸大学(コンストファック)が作られた。今日、コンストファックは学士課程と修士課程を持っており、陶、ガラス、テキスタイル、金属などの教育を行っている。

また、ヨーテボリ大学、マルメ大学、ウメオ大学に付属する美術大学もある。

イギリス

おそらく、「美術大学」の定義に最もよくあてはまるのは、継続教育・高等教育を提供している自律的大学群になるだろう。それらは、全英美術大学協会に加盟しており、全部で約18校ある。その他には、より大きな、特定の専門を持たない大学に付随している大学もある(例えばスレード美術大学)。どちらの種類にしても、ほとんどの美術大学は16歳以降の課程と大学院レベルのどちらの教育機会も提供している。

大学の種類は、継続教育に特化したものから、研究主体の専門機関まで多岐にわたる。例えばロンドン芸術大学は連邦的な構造をとった組織であり、ロンドンにある6校の独立した大学から構成されている。それらは、キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ、セントラル・セント・マーチンズ、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ、ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション、そしてウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツである。その他にも同様の大学として、スレード美術大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジがあり、どれも学部もしくは大学院課程を一つの大学の傘下のもとで提供している。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのみ、単独の大学院大学であるという点で、例外的な存在である。

ロンドン以外の美術大学としては、次に挙げる大学がある。アカデミー・オブ・リアリスト・アートUK、エディンバラ美術大学、ヘレフォード美術大学、ダンカン・オブ・ジョルダンストーン美術大学、グラスゴー美術大学、グレイズ美術大学、マレー美術大学(ハイランド・アンド・アイランド大学)、バーミンガム美術大学、コベントリー美術大学、ノリッチ美術大学、ファルマス美術大学、プリマス美術大学、ラフバラー美術大学。

1970年代以降、ディプロマに代わって学位(degree)が美術高等教育における一流の資格となった。

完全に自律的な美術大学の場合、学位認定の際は一般大学と同様に、学士号(Bachelor of Arts (Hons))かそれ以上の学位を授与するのが長い慣習となっている。最近では、総合大学が視覚芸術のプログラムを設けたり、独立した美術大学がポリテクニックや一般大学と合併して美術の学位機関となる、という傾向がある。顕著な例外としては、シティ・アンド・ギルド・ロンドン美術学校があり、独立した美術大学としてファインアートならびに彫刻や保存修復などの関連分野のみに特化した学校である。いくつかの学校は自力で大学の地位を得たが、先に言及したロイヤル・カレッジ・オブ・アートとロンドン芸術大学がその例である。

イギリスにあるほとんどの専門研究機関は、その起源を19世紀かそれ以前にまで辿ることができる。もともとは政府主導で創立されていることが一般的である。

2011年4月に『モダン・ペインターズ』(雑誌)は美術業界のプロたちを対象に調査を行い、イギリスの美術大学トップ10を発表した。結果は次のとおりである[9]。1位:ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、2位:ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ、3位:シティ・アンド・ギルド・ロンドン美術学校、4位:スレード美術大学、5位:ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ、6位:グラスゴー美術大学、7位:セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン芸術大学)、8位:キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)、9位:エディンバラ美術大学、10位:チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン芸術大学)。

アメリカ

ペンシルバニア州アレンタウンにあるバウム美術大学

アメリカにある美術学士号もしくは美術修士号を授与する美術大学は、下記のようにいくつかの基本類型に分類することができる(ただし、一部に重複や変動がある)。

最も評価の高い美術大学は、1991年に設立された全米美術大学協会に所属する学校である。ここに含まれる大学は、営利目的のキャリアスクールとは異なり、リベラルアーツ科目を学ぶことを強く要求している。それに専門のアート・デザインの科目を合わせることで、円熟したバランスのよい大学学位を提供している。

美術大学と一般大学が提携関係を結んでいるケースもある。例を次に挙げる。シカゴ美術館附属美術大学とルーズベルト大学[10]、ニューイングランド美術大学とサフォーク大学、ボストン美術学校とレスリー大学、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインとブラウン大学、メリーランド美術大学とジョンズ・ホプキンス大学、コーコラン美術大学とジョージワシントン大学、ボストン美術館附属美術大学とタフツ大学、テンプル大学タイラー美術学校、ニュースクール大学のパーソンズ美術大学、インディアナ大学のヘロン美術大学。

アメリカには1校だけ州立の独立した美術大学があり、それはマサチューセッツ美術大学である。アメリカで最初にできた美術大学は、ペンシルベニア美術アカデミーである。

ニューヨーク市にあるクーパーユニオンは、最も入学競争率の高い美術大学の一つであり、応募者の4%しか入学を許可されない。なお、入学者にはもれなく、学費を全額カバーする奨学金が与えられる。イェール大学のイェール・スクール・オブ・アートは、2年間の美術修士課程のみを提供している。『イェール・デイリー・ニュース』紙が2007年2月1日に報じるところによると、2009年からの入学を希望する1,215人の応募者のうち、入学許可がおりたのは55人だけだったという。

美術大学として次に規模が大きいグループとしては、総合大学の中の一つの学科(デパートメント)、学校(スクール)、もしくはカレッジとして付設している学校がある。例えばアイオワ州立大学のデザイン学部(カレッジ)に見られるように、このタイプの典型的な美術大学では、美術実技、グラフィックデザイン、写真、建築、ランドスケープ建築、インテリアデザイン、インテリア建築のコースがあり、ファインアート、デザイン、建築史のコースと並んで教えられている。場合によっては、ファインアート、建築、デザインの学校(スクール)であることもあり、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のファインアート・応用美術学部(カレッジ)やイェール・スクール・オブ・アートはその例である。3,000人以上の学生を抱えるバージニアコモンウェルス大学VCU美術学部は、アメリカ国内最大級の美術大学の一つであり、公立大学の中では各種ランキングで最も高く評価されている[11][12][13]。規模の大きな美術大学には色々な種類があるが、共通の要素としては、リベラルアーツ科目が多く、実技の授業が少ない傾向にあるということだ。これが美術に特化した単科大学と比較した時の違いである。

最後に、最も一般的なタイプの美術大学として挙げられるのは、州立もしくは私立の単科大学として運営されている学校である。典型的には学士号プログラムを持っているが、美術学士号、修士号、あるいは美術修士号を授与するものもある。この種のプログラムは、美術における一般的な学位を発行する点を強調しており、一つの特定の専門科目を選ぶことは要求せず、代わりにコンセントレーションを提供する。一部の認証機関・専門機関は、コンセントレーションを学位として受け付けないことがあり、専門家としての成功をもたらすための適切な準備要件としては認められないことがある。例えば、グラフィックデザイン領域で最低限求められる学位はグラフィックデザインの美術学士号であることが多く、グラフィックデザインのコンセントレーションは通用しない。

学位を授与するアメリカの美術大学の多くでは、古典的な写実主義や、アカデミックな絵画・デッサンの技法については集中した訓練を行っていない。ライムアカデミー美術大学はこの教育モデルを大学に取り入れた事例と考えられる。このギャップは、アトリエ型美術大学(アーティストのスタジオの中に設置された大学)や、次に挙げる大学によって埋められている。ニューヨーク美術アカデミー、ナショナル・アカデミー・ミュージアム・アンド・スクール、ニューヨーク・スタジオ・スクール、ペンシルベニア美術アカデミー(1805年創立)、アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨーク(1875年創立)、アカデミー・オブ・クラシカル・デザイン。

ドイツ

ドイツでは、芸術大学は総合大学と同じく、芸術・学問領域の博士号を授与する権利を持っていることが一般的である[14]。ドイツ高等教育法で規定される芸術大学は、教育と研究を通じた芸術・学問の発展を担っており、とりわけ芸術家の育成機関として機能している。

芸術大学は、若者の芸術的・学問的な才能を育んでいる。入学するためには、特別な芸術的適性を持っていることが求められており、作品のサンプルを提出し、入学試験に合格する必要がある。教育の根本にある価値観として、学生たちは固有の芸術作品と芸術家としてのアイデンティティを自ら見出さねばならない、という想定がある。なぜなら、技術、方法、研究方針などは教えることができても、芸術それ自体は教えることができないからである。

教授の任命は、教員の提案に基づき、州政府を通じて行われる。総合大学とは異なり、芸術大学で教授となるために博士号やハビリタチオンは必要とされない。その代わりに、芸術家として卓越していることを示すライフワークが必要であり、それが専門家たちの間で認められなければならない。

学科は、専門の特別な要求に応じて個別に分かれている場合と、学際的に相互連携している場合がある。一部の学科では、個人授業、小グループの授業、そして教授の授業を組み合わせることができる。また他の学科では、自分の芸術作品のために、あるいは自分の勉強を組織するために、与えられたコースを自由に組み合わせることができる。

美術大学では、独立したアーティストになるためだけでなく、メディア、デザイン、ファッション、舞台芸術などの領域で活躍するための教育も行われている。他にも、美術作品の保存修復や美術教育を教える学科もある。

入学するためには、入学手続きとアビトゥーアや大学入学資格の枠の中で、特別な芸術的才能を示すことが必要である。非常に卓越した芸術的才能が認められる場合には、大学入学資格が免除されることがある。

ドイツの芸術大学で得られる学位には様々な種類がある。個人的なディプロマ(例:音楽教育ディプロマ)や非個人的なディプロマ(例:視覚芸術ディプロマ)の他に、学士、修士、博士レベルの学位が内容に応じて複数存在する。例えば、Graduierter Künstler、Akademiebrief、Meisterschüler、Bühnenreife、Konzertreifeなどである。

オーストリア

オーストリア最初の美術大学は、1692年に宮廷画家のペーター・シュトゥルーデルの私設アカデミーとして創設された(1725年に、ウィーン帝立・王立画家・彫刻家・建築家アカデミーとして再開した。今日のウィーン美術アカデミーの前身である)。最初の音楽大学は、1819年創立のウィーン音楽アカデミーであり、1909年に公立学校となった(ウィーン帝立・王立音楽舞台芸術アカデミー)。

オーストリアでは、以前に芸術大学だった組織はすべて総合大学になった。現在、6校の国立芸術大学があり、そのうち3校は音楽・舞台芸術に特化しており、その他3校は美術・応用美術を専門としている。また、いくつかの美術アカデミーや音楽学校が高等教育機関として存在している。

  • グラーツ音楽・舞台芸術大学
  • リンツ美術工芸大学
  • ザルツブルク・モーツァルテウム大学
  • ウィーン音楽・舞台芸術大学
  • ウィーン応用美術大学
  • ウィーン美術アカデミー

広い意味で取れば、2004年にできたニューデザイン大学(産業デザイン、グラフィックデザイン、インテリアデザイン)も芸術大学の一つと言える。

スイス

スイスでは、美術大学は応用科学大学に所属している。

フランス

パリ国立高等美術学校は、グランゼコールの地位を得ている。フランスでは、伝統的な美術教育機関であるエコール・デ・ボザールと並んで、1968年の学生運動の結果、大学に視覚芸術(Arts plastiques)学部が作られた。視覚芸術の概念は、人類学的・社会学的な芸術概念へと拡張され、伝統的な美術の概念に意識的に対抗している。

オンライン美術大学

最近では、数多くの美術大学が一部もしくはすべてのカリキュラムをオンラインで、つまり国境を超えて提供している。例として、ピッツバーグ美術大学オンライン、アカデミー・オブ・アート大学などがある。通学制大学と同様に、多くの専攻でコンピュータが利用されており、Photoshop、Illustrator、3D-Studio Maxなどを用いた作品制作が行われている。作品の提出と評価は、通学制・オンライン授業のどちらも実質的に同様の手順で進められる。オンライン授業が伝統的なドローイングやそれに類する作品制作を課する際には、実物の写真やスキャンしたものが提出され、教員によって評価される。

美術大学の文化

世間でのステレオタイプとは異なり、全米美術学校協会や全米美術大学協会の認証を受けた美術大学では、リベラルアーツ・一般教養科目が卒業要件として厳格に組み込まれている。そのため、美術大学の学生も一般大学と変わらず、正統な大学の学位を受けられるようになっている。

関連項目

脚注

参考文献

  • Nikolaus Pevsner, Geschichte der Kunstakademien, Mäander, München 1986, ISBN 3-88219-285-2.
  • Heike Belzer, Daniel Birnbaum (Hrsg.): kunst lehren, teaching art. Städelschule Frankfurt/Main. Verlag der Buchhandlung Walther König, Köln 2007, ISBN 978-3-86560-339-5.
  • Katrin Hofer: Akademische Grade, Abschlüsse und Titel an künstlerischen Hochschulen. Lang, Frankfurt/M. 1996, ISBN 3-631-30623-7 (zugl. Dissertation, Universität Hamburg 1996).
  • Katia Tangian: Spielwiese Kunstakademie. Habitus, Selbstbild, Diskurs. Olms, Hildesheim 2010, ISBN 978-3-487-14357-6 (zugl. Dissertation, Universität Karlsruhe 2008).

外部リンク

  • Paul Ortwin Rave, Ernst Herbert Lehmann: Akademie, in: Reallexikon zur Deutschen Kunstgeschichte, Bd. 1, Stuttgart 1933, Sp. 243-262.
  • Kunsthochschulen in Deutschland
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