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例:温度20℃・湿度50%の室内における[[露点温度]]は、9.6℃であり、壁や窓などの表面が、9.6℃以下の場所で結露が発生する。 |
例:温度20℃・湿度50%の室内における[[露点温度]]は、9.6℃であり、壁や窓などの表面が、9.6℃以下の場所で結露が発生する。 |
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[[image:Ketsuro_on_window.jpg|thumb|right|280px|結露している窓|]] |
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==結露の種類―発生箇所による分類―== |
==結露の種類―発生箇所による分類―== |
2008年2月4日 (月) 09:58時点における版
結露(けつろ)は、物質の表面、または内部で、空気中の水蒸気が凝縮すること。
例:温度20℃・湿度50%の室内における露点温度は、9.6℃であり、壁や窓などの表面が、9.6℃以下の場所で結露が発生する。
結露の種類―発生箇所による分類―
表面結露
一般に結露といえば、表面結露を指す。
冬季、窓ガラスやアルミサッシで発生する場合は、水滴は排水孔を通って排出されるが、室内の湿度が減少する。その結果加湿器を作動させることになり、ますます結露を起こさせる悪循環が生じる。
開口部に断熱性能の高い、複層ガラスや断熱サッシなどを用いると開口部付近での表面結露は起こりにくくなる。
内部結露
木造住宅の場合、建物の室内側に防湿層がなく、室内で発生した水蒸気が壁体内に侵入する場合に発生する。 これにより、木材や断熱材等の腐敗や劣化が進み、建物の寿命が短くなる。主に冬に起こるが、エアコンの普及により夏季にも起こりうるようになった。
建物ではないが布団が湿るのも同じ原理である。体表部の温度は36℃程度で水蒸気を発散している。布団の厚みの中で、外に向かって徐々に温度が下がっていく(これを温度勾配という)。室温が低いと布団の中で結露が起きるので布団は湿り、頻繁に干さなければならない。 これを防ぐには室温が下がらないように保温し、布団の中で結露が生じないようにすることである。
結露の種類―発生原因による分類―
冬型結露
暖房された室内の水蒸気の量が多いと冷たいガラス、サッシ、壁の中の温度勾配で露点以下の部分で生じる。
夏型結露
夏季の地下室や常時開放された倉庫などの床、エアコンがよく効いた部屋の冷たいものに、高温多湿な外の空気が流れ込んで接触することで、発生する。 また冬型結露の逆で、エアコンでよく冷やされた建物では、外部の湿った空気が壁の内部に進入し温度勾配の露点温度以下の部分で発生する。壁の外部にも防湿膜を設置することにより避けることができる。
結露の防止対策
表面結露の場合
基本的な結露防止手段として、室内の水蒸気量を減らすか、表面温度を上げる方法がある。
断熱(断熱補強)
表面温度を上げるために、断熱を行なうことはもっとも基本的な手法である。さらに、軽量鉄骨などの場合、結露の発生しやすい熱橋部(ヒートブリッジ)では、断熱補強を行なう必要がある。
外断熱・内断熱ともに壁体を構成する材料・厚さが同一の場合、熱貫流率(もしくは熱貫流抵抗)がともに等しいために、表面温度に差異はないが、熱容量の影響により若干の差異を生じる。
換気
冬季の場合は、絶対的に外気の絶対湿度(重量)が少ないため、換気を行うことで、室内の水蒸気量を減らすことがもっとも有効である。
暖房(または冷房の設定温度を上げる)
冬季は、室内を暖房することで、建物内部の表面温度が上昇し、結露防止になる。しかし、石油ファンヒーターのように暖房時に水蒸気を大量に発生する暖房方式は、結露の助長にしかならない。FF式など、排気が有効に機能していれば、問題は無い。また、防湿層が適切に施されていない場合は、室内の水蒸気量が増えるため、内部結露の危険性が増す。
夏季は、同様に冷房の設定温度を上げることで、建物内部の表面温度が上昇し、結露しにくくなる。
ただし、これにより相対湿度は低下するが、空気中の水蒸気量(絶対湿度)は、変わらない。
除湿
室内の水蒸気量を減らすために、除湿器や除湿剤を用いる手法があるが、除湿剤の場合は大量に必要となる。
内部結露の場合
内部結露は、一過性のものであれば結露しても乾くため、多少であれば問題とはならない。
防湿層の施工
木造住宅の場合、建物の計画段階で、室内側に防湿層を設けなければならない。壁の中の温度勾配で、露点に到達すると結露が起こるが、その元になる水蒸気が室内から壁内に侵入しないよう、ポリエチレン・フィルムなどの防湿膜を設けなければならない。 水蒸気が流出しやすいコンセント、スイッチボックスなどにも防湿シール等を施す必要がある。夏季の内部結露を防止するには外部にも防湿膜を張る必要がある。すなわち壁は水蒸気がどちらの面からも全く透過できないようにすることである。
このように完全に防湿層が施工されていると、結露が防がれるのは当然であるが、屋内の湿度の低下も防がれるので加湿の必要が無くなる。冬期でも室温が高く、相対湿度が低くなりやすいパッシヴ・ソーラーハウスでは不可欠の手法である。