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ジ・アドヴェンチャーズ・オブ・トゥイズル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
The Adventure of Twizzleから転送)
ジ・アドヴェンチャーズ・オブ・トゥイズル
ジャンル
原案 ロバータ・リー英語版
脚本 ロバータ・リー
監督 ジェリー・アンダーソン
声の出演
ナレーター ナンシー・ネヴィンソン
作曲 レズリー・クレア英語版
編曲:バリー・グレイ
国・地域 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
シリーズ数 1
話数 52 (51話分欠)
各話の長さ 13分
製作
プロデューサー
  • ジェリー・アンダーソン
  • ロバータ・リー
撮影監督 アーサー・プロヴィス英語版
撮影体制 一台英語版
編集 デイヴィッド・エリオット英語版
製作
配給 アソシエイテッド=レディフュージョン英語版
放送
放送チャンネルITV
映像形式白黒
音声形式モノラル
放送期間1957年11月13日 (1957-11-13)[1] - 1958年12月3日 (1958-12-3)
番組年表
次作トーチー・ザ・バッテリー・ボーイ
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ジ・アドヴェンチャーズ・オブ・トゥイズルThe Adventures of Twizzle、トゥイズルの冒険)は、1957年イギリスジェリー・アンダーソンが作った、子供向けテレビ人形劇である。白黒作品で、日本では公開されていない。

概要

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梗概

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手足を自由にのばせる人形トゥイズルは、高価な玩具だが、しつこく売ってほしいとやってくる少女に根負けしたおもちゃ屋の店主が2シリングで売ろうとする。トゥイズルはおもちゃ屋の店主と少女から逃げ出しの人形フッツォと出会う。フッツォは手足が大きいことでからかわれるのが嫌で逃げ出してきた。以降のエピソードでは二人がおもちゃが平和に暮らせる街「ストレイ・タウン」を作ろうとする。

製作

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彼女〔ロバータ・リー〕にこの番組を製作をしたいか聞かれたので、私達は「はい!」と答えた。すると彼女に子供番組だから人形劇でやると言われ、つい床に吐いてしまいそうになった。
— ロバータ・リーからの依頼を受けた時のことを回想するジェリー・アンダーソン[2]

ポリテクニック・フィルムズでカメラマンのアーサー・プロヴィス英語版とともにピーター・コリンズによる『You’ve Never Seen This』を製作していたジェリー・アンダーソンは、1956年3月そこの仲間(アンダーソン、プロヴィス、レッド・ファーデラー、オーナー・スミス・モリス)とともにダグラス・ドップスの出資のもと新会社ペンタゴン・フィルムズを立ち上げた[注 1][4][5][6]。当時のイギリスは民放のITVが放送を開始した時期であり、その放映番組には『The Adventures of Noddy』があった。ケロッグ社は自社の宣伝にノディを使うことを決め、そのコマーシャルの製作依頼を出した先がペンタゴン・フィルムズであった。こうして人形劇と出会い短編『Here Comes Candy』なども製作していたが、これらが絵本作家ロバータ・リーの目に留まった[7][2]。彼女は自身が製作したキャラクターが動いているのを見たいと考え、テレビ化を考えていた。

ロバータ・リーが連絡をとった頃、プロヴィスとアンダーソンは同僚たちに幻滅していてペンタゴン・フィルムズの退社を決めていた。二人は1957年夏に退社した後即座に新会社APフィルムズ(アンダーソン=プロヴィス)を設立した[注 2][9]。この新会社に雇われたのがペンタゴン・フィルムズの美術・特撮の経験があるレッジ・ヒル、カメラ技師のジョン・リード、そしてそこにタイピストのバイトとして入社したシルヴィア・タムだった。この5人は筆頭株主ともなった[10]

人形を人間の生き写しと考えたアンダーソンは、従来の人形劇で行われていた、平面的なセットの前で人形が固定されたアングルで撮影されるものを一新し、三次元的セットの中で人形がロング・ショットクロース・ショットを用いて撮影された。このために、従来は背景の後ろからせり出していた人形師達は1.8メートルの高さに築かれたブリッジの上から操演することとなった[11]。人形の製作のために有名な人形師ジョイ・ローリーに連絡が行った。製作された試作品は張り子のように眼と口は描かれたもので動かなかった。その後ローリーの人形の会社から人形師のマレー・クラークとクリスティーン・グランヴィルが派遣された[12]。クリスティーン・グランヴィルはこの後『ロンドン指令X』までの全ての人形劇作品と『地球防衛軍テラホークス』でアンダーソン作品に関わる。

アンダーソンらは拠点をバッキンガムシャーのメイデンヘッド郊外にあるマナーハウスのアイレット・パークに構え、ここで製作を行った[8]。予算は一話あたり450ポンドだった[13]。舞踏室がスタジオとして使われたが専用のスタジオではないため、天井の漆喰の飾りが人形師を直撃した[11]

声優にはノディの声も担当した女優のデニース・ブライヤー英語版が猫のフッツォに起用された。アーサー・プロヴィスやデイヴィッド・エリオットは彼女のフッツォを覚えていて、ブライヤーは「まだ誰かが覚えているなんて面白い」と笑っている[14]。トゥイズル役にはナンシー・ネヴィンソンが、男性の声にはフランク・ダンカンが起用された。ブライヤーとネヴィンソンは後年のアンダーソン作品にも出演し、ブライヤーは『地球防衛軍テラホークス』でゼルダの声を、ネヴィンソンは『謎の円盤UFO』の「人間ロボット殺人計画」に出てくるグレイの大家の役をそれぞれ担当している。

編集には既にジェリー・アンダーソンと仕事の経験のあったデイヴィッド・エリオットが招かれた[12]。デイヴィッド・エリオットはこの後『サンダーバード』の「クラッブロガーの暴走」までアンダーソン作品に関わることとなる。またパートタイム労働者のセット製作補助者としてデレク・メディングスも働き始めた[14]

ロバータ・リーは自らの歌を録音する時にイギリスの国民的歌手ヴェラ・リンに歌ってもらったことがあり、リンのピアニスト兼編曲家がバリー・グレイであった。しかしリーはグレイに作曲をさせずに、友人のレズリー・クレアの鼻歌をオーケストラに編曲させる音楽監督の役目を依頼した。こうして1957年9月6日にエルツリーのゲート・スタジオで13人の演奏者によって録音が行われ、その中にはバート・ウィードン英語版もいた[15]

こうして後年のアンダーソン作品に関わるスタッフの多くが、ここに集まった。

放映

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放送は、ロバータ・リーからの依頼通り1957年11月から始まった[14]。APフィルムズ設立から数ヶ月後のことであった[2]。放送が始まっても製作は続き、一日一話の撮影を目標にし、全てが完了したのは1958年1月のことであった[14]。撮影が完了した後もデイヴィッド・エリオットは編集のため残ったが、一度チームは解散された[16]。ロバータ・リーは次回作も依頼しようとしていたが、まずは予算の確保が喫緊の課題とされ、残ったアンダーソン、プロヴィス、ヒル、リード、タムは外部の仕事を請け負った[16]。この際ジェリー・アンダーソンは『Martin Kane — Private Investigator』の「The Film Studio Story」を監督し、ここでデイヴィッド・グレアムと出会っている[16]

各話リスト

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放映日は全てアソシエイテッド=レディフュージョン局のものである[17]

話数 題名 英国初回放送日 監督 脚本
1 Twizzle and Footso 57年11月13日 ジェリー・アンダーソン ロバータ・リー
2 Twizzle and Footso Get Caught 57年11月20日 不明 不明
3 Twizzle Saves the Doll 57年11月27日
4 The Breakdown Van 57年12月04日
5 Footso Is Stolen 57年12月11日
6 Twizzle and the Golliwog 57年12月18日
7 Jiffy and the Chawky Quarrel 57年12月31日
8 Footso Disappears 58年01月07日
9 Twizzle and the Broken-Down Toy 58年01月14日
10 Twizzle Builds Stray Town 58年01月21日
11 A Flag for Stray Town 58年01月28日
12 Jiffy’s New House 58年02月04日
13 Twizzle and Footso Go Fruit Picking 58年02月11日
14 Twizzle Has Some Fun 58年02月18日
15 Twizzle and Candy Floss Open a Cake Shop 58年02月25日
16 Twizzle Saves the Broken-Down Toys 58年03月04日
17 Twizzle Gets Lost 58年03月11日
18 Jiffy Opens a Barber’s Shop 58年03月18日
19 Another Racing Car 58年03月25日
20 Twizzle and His Friends Go to the Circus 58年04月01日
21 The Toys Go to School 58年04月08日
22 Bouncy the Ball 58年04月15日
23 Jack-In-The-Box 58年04月22日
24 Twizzle Catches Cold 58年04月29日
25 The Naughty Girl 58年05月06日
26 Jiffy’s New Twigs 58年05月13日
27 Twizzle and the Snowman 58年05月20日
28 Twizzle and the Thin Teddy Bear 58年06月03日
29 The Lazy Broomstick Man 58年06月10日
30 Twizzle and the Polly Moppet 58年06月17日
31 Footso and the Magic Seeds 58年07月08日
32 Footso Has Toothache 58年07月15日
33 Jiffy and the Polly Moppet Quarrel 58年07月22日
34 Footso Gets a New Tail 58年07月29日
35 Twizzle Is Naughty 58年08月05日
36 Twizzle Is Stolen 58年08月12日
37 Twizzle and the Naughty Breakdown Van 58年08月19日
38 Twizzle And The Toy Inspector 58年08月26日
39 Chawky Gets a Present 58年09月02日
40 Jiffy’s Birthday 58年09月09日
41 Orange and the Banana Tree 58年09月17日
42 Stray Town Thief 58年09月24日
43 Footso and the Naughty Girl 58年10月01日
44 Naughty Polly Moppet 58年10月08日
45 Polly Moppet Disappears 58年10月15日
46 Twizzle Goes Fishing 58年10月22日
47 Twizzle Goes to the Fair 58年10月29日
48 Twizzle Goes to the Seaside 58年11月05日
49 Twizzle Goes Camping 58年11月12日
50 Twizzle Goes to the Zoo 58年11月19日
51 Twizzle Papers the Cabin 58年11月26日
52 Candy Floss Has a Birthday 59年06月10日

ソフト

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現在は第1話が現存するのみで、後年ロバータ・リーが製作に関わった人形劇『スペース・パトロール』のDVDに特典として収められた[18]

その他

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本作のスチル写真は日本での公開例が大変少ないが、次の『トーチー・ザ・バッテリー・ボーイ』からは一定数以上の枚数が公開されている。

脚注

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  1. ^ ポリテクニック・フィルムズが破産したとする文献もあるが、英国会社登記によれば1968年に解散している[3]
  2. ^ ペンタゴン・フィルムズも即座に会社清算とはならず1968年にポリテクニック・フィルムズとともに解体されている[8]

出典

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  1. ^ Archer & Nicholls 1996.
  2. ^ a b c La Rivière 2014, p. 14.
  3. ^ La Rivière 2014, p. 12.
  4. ^ ラリビエー 2012, p. 158.
  5. ^ La Rivière 2014, p. 13.
  6. ^ ハーン 2015, p. 12.
  7. ^ ラリビエー 2012, p. 159.
  8. ^ a b La Rivière 2014, p. 15.
  9. ^ ハーン 2015, p. 13.
  10. ^ ハーン 2015, p. 14.
  11. ^ a b La Rivière 2014, p. 17.
  12. ^ a b La Rivière 2014, p. 18.
  13. ^ ラリビエー 2012, p. 161.
  14. ^ a b c d La Rivière 2014, p. 21.
  15. ^ Eaton, Derek. “Barry Gray – A life of music” (英語). Barry Gray Archive. 2022年4月24日閲覧。
  16. ^ a b c La Rivière 2014, p. 23.
  17. ^ The Adventures Of Twizzle - Fanderson”. 2022年4月24日閲覧。
  18. ^ DVD - Retrofuturiste” (フランス語). 2022年4月24日閲覧。

参考文献

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  • Archer, Simon; Nicholls, Stan (1996). Gerry Anderson: The Authorised Biography. Legend Books. ISBN 0-09-978141-7 
  • ラリビエー, スティーブン『別冊映画秘宝 海外TVドラマ・マニアックスVol.5 最新検証! 21世紀サンダーバード読本』洋泉社、2012年。ISBN 978-4862487155 
  • La Rivière, Stephen (2014). Filmed in Supermarionation (2nd ed.). London, UK: Network Distributing. ISBN 978-0-992-9766-0-6 
  • ハーン, マーカス『サンダーバード完全記録』ボーンデジタル、東京,日本、2015年。ISBN 978-4-86246-290-9 

外部リンク

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