キャブタイヤケーブル
キャブタイヤケーブル (Cabtyre cable・Cabtire cable) とは作業現場などにおいて通電状態のまま移動可能な電線[1][2]。キャブ(辻馬車)のタイヤのように丈夫なゴムで被覆されていることが由来とされる[3]。「キャプタイヤ」の表記も見られるが、語源からすると誤りである。
絶縁の被覆材料の素材はゴム系とビニール系があり、用途としては動力用と制御用がある。
構造
[編集]キャブタイヤケーブルの構造は、導体とその周りを包む絶縁体、さらにその周りを包むシースからなる。
ケーブルを構成している素材や芯数が変わることによって許容電流が変る。それに応じてケーブルの柔らかさや強さが変わり使用する用途も変わる。
種別
[編集]素材は、大きくゴム系とビニール系に分けられるが、素材の違いとグレード(クラス・種)によって、特徴が異なる。また、一般的に使われる略号も、この素材に応じて分けられている。
その他に、地球環境に配慮したエコキャブタイヤケーブルもある。このようなキャブタイヤケーブルは、"EM−"を電線名称の冠して従来のケーブルと区別する[4]。
ゴム系
[編集]素材による違い
[編集]ゴム系キャブタイヤケーブルはCT・RNCT・PNCTの3種類に分けられる。
グレードによる違い
[編集]グレード(クラス・種)によって、ケーブルの頑丈さが変わる。
- 1種
- 天然ゴムのみ。
- 2種
- 最も使用されており、2種キャブタイヤケーブルというと、2PNCTを指すことが多い。
この1種と2種のグレードが最も汎用的な低圧用で、屋内で使用されることが多いが屋外でも使用可能。
- 3種
- シースの中間に補強層があるため、絶縁体およびシースが2種より厚くなる。そのため、耐衝撃性、耐磨耗性に優れているが「可とう性」[5]が悪くなる。主に損傷を受ける恐れが高い場合に使用される。防爆器具等の給電用に使用されている。
- 4種
- 線心の間にクレードルコア(座床)が入るため、シースが3種よりも厚くなる。そのため、3種よりも更に耐衝撃性、耐摩耗性に優れている。炭鉱におけるコールカッタなどの、超過酷な状況に置かれる場合に使用されている。
ビニール系
[編集]絶縁体・シース共にビニールのキャブタイヤケーブルで、VCT・VCTFの2種類に分けられている。ゴム系に比べ、耐水性等に優れ、主に、FA関係(ファクトリーオートメーション)工場の自動化用の機器の配線等に使用されている。
他にもVCT・VCTFには、柔軟性・耐捻回性・耐震性・耐ノイズ性・耐熱性に優れたグレードのケーブル(FAケーブル・ロボットケーブル)もある。
また、地球環境に配慮したエコキャブタイヤケーブルも開発されている。従来のケーブルと比べて寸法・電気特性に変更はなく、同等レベルの諸特性を有している。
「VCT」「VCTF」の違いは電圧の違いである。
- VCT
- 600V以下
- VCTF
- 300V以下
300V以下の電線はコードと呼ばれている。(ビニールキャブタイヤコード)
より進化したケーブル
[編集]- より細かい作業に使用される場合は、キャブタイヤケーブルの進化形ケーブルでもある、FAケーブル・ロボットケーブル
- 口出し用には安全性の高いWL1(MLFCなど)
その他
[編集]シースは英語で「覆う」を意味する「sheath」、「sheathe」であり、ケーブルでは「sheathed cable」などと呼ばれる。
脚注
[編集]- ^ “表1 電線・ケーブル関係の記号・規格・基準” (PDF). 電線総合技術センター. pp. 4/11ページ. 2009年11月24日閲覧。
- ^ “キャブタイヤ‐ケーブル【cabtire cable】”. Yahoo大辞林. 2009年11月24日閲覧。
- ^ [電線編】キャブタイヤコード、電気の豆知識、電気のお役立ち情報、関東電気保安協会、閲覧2017年5月22日
- ^ “EM:エコマテリアル(Eco-Material)の略”. 日本電線工業会. 2009年11月27日閲覧。
- ^ “可撓性(かとうせい):曲げたわめることが可能であること”. goo辞書大辞林. 2009年11月25日閲覧。