ホークウインド
ホークウインド | |
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2017年のグループショット | |
基本情報 | |
別名 |
Hawkwind Zoo Hawklords |
出身地 | イングランド ロンドン |
ジャンル |
サイケデリック・ロック スペース・ロック プログレッシブ・ロック ハード・ロック |
活動期間 | 1969年 - |
レーベル |
Liberty Records ユナイテッド・アーティスツ・レコード カリスマ・レコード ブロンズ・レコード RCA/Active エピック・レコード Flicknife Records GWR Records Essential Records EBS Records ヴォイスプリント・レコード Eastworld Records Plastic Head チェリーレッド・レコード |
公式サイト | Hawkwind.com |
メンバー |
デイヴ・ブロック (Vo/G) リチャード・チャドウィック (Ds) マグナス・マーティン (G/Key) ダグ・マッキノン (B) サイポールサンドラ (Key) |
旧メンバー |
ニック・ターナー (Sax/Vo) レミー・キルミスター (B/Vo) マイケル・ムアコック (Vo) ジンジャー・ベイカー (Ds) ほか別記参照 |
ホークウインド[注釈 1](Hawkwind)は、イングランドのスペース・ロックバンド。
デイヴ・ブロック(ヴォーカル、ギター)を中心に結成され、1970年にデビュー。時代によって「サイケデリック・ロック」「プログレッシブ・ロック」「ハード・ロック」などを内包しながら、50年以上に渡り活動。レミー・キルミスターがモーターヘッドの結成前の1970年代前半に在籍していた事でも知られる[1]。
略歴
[編集]イングランドのノッティング・ヒルで活動していたバンド「ホークウインド・ズー」が前身。バンド名を「ホークウインド」に短縮し、1969年にユナイテッド・アーティスツ・レコードと契約して、1970年にセルフタイトルのアルバム『ホークウィンド』でデビュー。その後、ヌード・ダンサーのステイシアがライブにおけるサポート・メンバーとして加わった。
1972年にキルミスター(エレクトリックベース、ボーカル)が加入し、同年、シングル「シルバー・マシーン (Silver Machine)」が全英3位のヒットとなった[2]。アルバム『ホール・オブ・ザ・マウンテン・グリル (永劫の宮殿)』(1974年)からはサイモン・ハウス(ヴァイオリン)が加入。続くアルバム『絶体絶命』(1975年)は、SF作家マイケル・ムアコックからの影響で、より壮大な世界観を築いた。同年にはキルミスター作曲の「Motorhead」がレコ―ディングされた[3][注釈 2]が、その後彼は解雇される。
彼等はカリスマ・レコードに移籍して活動を続けるが、1978年、一時的に活動休止。ブロックはホウクローズ(Hawklords)名義でアルバム『25年間 - 25イヤーズ・オン』を発表。サイモン・ハウスはデヴィッド・ボウイのバック・バンドに加入した。1979年、ブロックを中心に活動再開。一方、ニック・ターナー(サックス)はバンドを離れ、1978年にソロ活動を開始[4]。
1980年発表のアルバム『宇宙遊泳 - レヴィテイション』には、ジンジャー・ベイカー(ドラム、元クリーム)が参加した[5][注釈 3][6]。
ホークウインドのファンの一部はイギリスで「クラスティー」と呼ばれ、アメリカのグレイトフル・デッドのファンと同様、ヒッピー的な価値観や生活様式で知られている[注釈 4]。
2011年の初来日が東日本大震災の影響によりキャンセルとなったが[7]、2015年4月に仕切り直して来日公演を果たした[8]。
2019年に50周年記念のツアーを開催。大物ゲストとして、ブロックの友人であるエリック・クラプトンやフィル・キャンベルが客演している[9]。
その後も創設者ブロックの元、メンバー・チェンジやレーベルの移籍を繰り返しながら、現在に至るまで活動を続けている。
備考・補足
[編集]- 2000年代以降から旧カタログがリマスター再発される中、代表作である『絶体絶命 (Warrior On The Edge Of Time)』(1975年)だけが、なかなか手付かずの状態だった件についてブロックは「権利を共有する当時のマネージャーとレミー・キルミスターの折り合いが悪く、実現が難しかった。自分がレミーと交渉して権利を譲って貰い、やっと再発できた」と明かしている[1]。
- ブロックは2014年のインタビューで、友人キルミスターについて「最近体調が良くないようで心配だ。歳を取ると、出来た事が出来ないようになる。無理をすると後でぶり返すから、ゆっくり休んでもらいたい」と危惧していた[1]。しかし悪い予感が的中し、翌年に彼は他界してしまった[10]。
- 2014年に代表的ライブ作品『宇宙の祭典』(1973年)を完全再現したライブを実施したが、ブロックは「これは1回だけの企画で、今後やることはない」と説明している[11]。
日本公演
[編集]- 2015年4月11日,12日 下北沢GARDEN
メンバー
[編集]※2021年11月時点
現ラインナップ
[編集]- デイヴ・ブロック (Dave Brock) - ボーカル/ギター/キーボード (1969年- )
- リチャード・チャドウィック (Richard Chadwick) - ドラムス/ボーカル (1988年- )
- マグナス・マーティン (Magnus Martin) - ギター/キーボード (2017年- )
- ダグ・マッキノン (Doug MacKinnon) - ベース (2021年- )
- サイポールサンドラ (Thighpaulsandra) - キーボード (2021年- )
-
デイヴ・ブロック(Vo/G) 2015年
旧メンバー
[編集]- ニック・ターナー (Nik Turner) - ボーカル/サクソフォーン/フルート (1969年-1976年、1982年-1984年)
- ディック・ミック (Dik Mik) - キーボード (1969年-1973年)
- テリー・オリス (Terry Ollis) - ドラムス (1969年-1972年)
- ジョン・ハリソン (John Harrison) - ベース (1969年-1970年) ♰RIP.2012年
- ミック・スラッテリー (Mick Slattery) - ギター (1969年)
- ハウ・ロイド=ラントン (Huw Lloyd-Langton) - ギター (1969年-1971年、1979年-1988年; guest - 2002年-2005年) ♰RIP.2012年
- トーマス・クリンブル (Thomas Crimble) - ベース (1970年-1971年)
- デル・デットマール (Del Dettmar) - キーボード (1971年-1974年)
- デイブ・アンダーソン (Dave Anderson) - ベース (1971年-1972年)
- ロバート・キャルバート (Robert Calvert) - ボーカル (1971年-1973年、1975年-1979年) ♰RIP.1988年
- レミー・キルミスター (Ian "Lemmy" Kilmister) - ベース/ボーカル (1971年-1975年) ♰RIP.2015年
- サイモン・キング (Simon King) - ドラムス (1971年-1980年)
- サイモン・ハウス (Simon House) - キーボード/ヴァイオリン (1973年-1978年、1989年-1991年)
- アラン・パウエル (Alan Powell) - ドラムス (1974年-1976年)
- ポール・ルドルフ (Paul Rudolph) - ベース (1975年-1977年)
- マイケル・ムアコック (Michael Moorcock) - ボーカル (1975年、1981年)
- エイドリアン・ショー (Adrian Shaw) - ベース (1977年-1978年)
- ハーベイ・ベインブリッジ (Harvey Bainbridge) - ベース/キーボード (1978年-1991年)
- マーティン・グリフィン (Martin Griffin) - ドラムス (1978年-1979年、1981年-1983年) ♰RIP.2020年
- ポール・ヘイルズ (Paul Hayles) - キーボード (1978年)
- スティーブ・スウィンデルズ (Steve Swindells) - キーボード (1978年-1979年)
- ティム・ブレイク (Tim Blake) - キーボード/テルミン (1979年-1980年、2000年-2002年、2007年-2015年、2019年-2021年)
- ジンジャー・ベイカー (Ginger Baker) - ドラムス (1980年-1981年)
- キース・ヘイル (Keith Hale) - キーボード (1980年-1981年)
- デッド・フレッド (Dead Fred) - キーボード/ヴァイオリン (1983年-1984年、2012年-2016年)
- アンディ・アンダーソン (Andy Anderson) - ドラムス (1983年)
- ロバート・ヒートン (Robert Heaton - ドラムス (1983年) ♰RIP.2004年
- リック・マルティネス (Rik Martinez) - ドラムス (1983年)
- クライブ・ディーマー (Clive Deamer) - ドラムス (1983年-1985年)
- アラン・デイヴィー (Alan Davey) - ベース (1984年-1996年、2000年-2007年)
- ダニー・トンプソン・ジュニア (Danny Thompson Jr.) - ドラムス (1985年-1988年)
- ブリジェット・ウィッシャート (Bridget Wishart) - ボーカル (1990年-1991年)
- ロン・ツリー (Ron Tree) - ボーカル/ベース (1995年-2001年)
- ジェリー・リチャーズ (Jerry Richards) - ギター (1996年-2001年)
- キャプテン・リズ (Captain Rizz) - ボーカル (1997年-2000年)
- ジェズ・ハジェット (Jez Huggett) - サクソフォーン/フルート (2000年-2001年、2005年-2007年)
- アーサー・ブラウン (Arthur Brown) - ボーカル (2001年-2003年)
- ジェイソン・スチュアート (Jason Stuart) - キーボード (2005年-2008年) ♰RIP.2008年
- ミスター・ディブズ (Mr. Dibs) - ボーカル/ギター/ベース、チェロ (2007年-2018年)
- ナイル・ホーン (Niall Hone) - ベース/キーボード (2008年-2016年、2018年-2021年)
- ジョン・セビンク (Jon Sevink) - ヴァイオリン (2009年)
- ハズ・ウィートン (Haz Wheaton) - ベース (2016年-2018年)
ディスコグラフィ
[編集]スタジオ・アルバム
[編集]- 『ホークウィンド』 - Hawkwind (1970年)
- 『イン・サーチ・オブ・スペース (宇宙の探究)』 - In Search Of Space (1971年)
- 『ドレミファソラシド』 - Doremi Fasol Latido (1972年)
- 『ホール・オブ・ザ・マウンテン・グリル (永劫の宮殿)』 - Hall Of The Mountain Grill (1974年)
- 『絶体絶命』 - Warrior On The Edge Of Time (1975年)
- 『アストウンディング・サウンズ・アメイジング・ミュージック』 - Astounding Sounds, Amazing Music (1976年)
- 『クォーク・ストレンジネス・アンド・チャーム』 - Quark, Strangeness And Charm (1977年)
- 『PXR5』 - P.X.R.5 (1979年)
- 『宇宙遊泳 - レヴィテイション』 - Levitation (1980年)
- 『ソニック・アタック』 - Sonic Attack (1981年)
- 『チャーチ・オブ・ホークウインド』 - Church Of Hawkwind (1982年)
- 『チューズ・ユア・マスクス』 - Choose Your Masques (1982年)
- 『黒剣年代記 - ザ・クロニクル・オブ・ブラック・ソード』 - The Chronicle Of The Black Sword (1985年)
- 『未知なる写本 - ゼノン・コーデックス』 - The Xenon Codex (1988年)
- 『スペース・バンディッツ』 - Space Bandits (1990年)
- 『エレクトリック・ティーピー』 - Electric Tepee (1992年)
- It Is The Business Of The Future To Be Dangerous (1993年)
- White Zone (1995年)
- 『エイリアン4』 - Alien 4 (1995年)
- 『ディスタント・ホライズンズ』 - Distant Horizons (1997年)
- In Your Area (1999年)
- Spacebrock (2000年)
- Take Me To Your Leader (2005年)
- Take Me To Your Future (2006年)
- 『ブラッド・オブ・ジ・アース』 - Blood Of The Earth (2010年)
- 『オンワード』 - Onward (2012年)
- The Machine Stops (2016年)
- Into The Woods (2017年)
- 『ロード・トゥ・ユートピア』 - The Road to Utopia (2018年)
- 『オール・アボード・ザ・スカイラーク』 - All Aboard the Skylark (2019年)
- 『ソムニア (夢)』 - Somnia (2021年)
- The Future Never Waits (2023年)
- Stories from Time and Space (2024年)
- ホウクローズ (Hawklords)名義
- 『25年間 - 25イヤーズ・オン』 - 25 Years On (1978年)
- ホークウィンド・ライト・オーケストラ名義
- 『ステラー・ヴァリエーションズ』 - Stellar Variations (2012年)
- 『カーニヴォラス』 - Carnivorous (2020年)
ライブ・アルバム
[編集]- 『宇宙の祭典』 - Space Ritual (1973年)
- 『ホークウィンド・ライヴ - ライヴ1979』 - Live Seventy-Nine (1980年)
- 『ゾーンズ』 - Zones (1983年)
- Stonehenge:This Is Hawkwind Do Not Panic (1984年)
- 『ライヴ・クロニクルズ』 - Live Chronicles (1986年)
- Out & Intake (1987年)
- Palace Springs (1991年)
- 『ライヴ78』 - Live (1992年) ※ホウクローズ (Hawklords)名義
- 『ザ・ビジネス・トリップ』 - The Business Trip Live (1994年)
- 『ラヴ・イン・スペース』 - Love In Space (1996年)
- The 1999 Party:Live At The Chicago Auditorium March 1974 (1997年)
- Yule Ritual (2001年)
- Canterbury Fayre 2001 (2002年)
- Knights of Space (2008年)
- Space Ritual Live (2015年)
- 『アット・ザ・ラウンドハウス』 - At The Roundhouse (2017年)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 「ホークウィンド」の表記もある。
- ^ キルミスターはモーターヘッドで同曲をセルフカバーして、アルバム『オン・パロール』(1979年)および『モーターヘッド』(1977年)で先に発表した。ホークウインドの録音は1981年に発表された。
- ^ ベイカーの自伝によると、ブロックに好条件で誘われたので加入したが、彼等の音楽もライト・ショーまがいのステージも気に入らず、『宇宙遊泳 - レヴィテイション』に参加して契約をはるかに下回る金額を受け取っただけで脱退した。彼はハーベイ・ベインブリッジのベースに極めて辛辣な評価を与えている。
- ^ クラスティーの好みのバンドにはホークウインドのほか、マジック・マッシュルーム・バンドやオズリック・テンタクルズ、ニュー・モデル・アーミーなどがいる。
出典
[編集]- ^ a b c “ホークウィンド・インタビュー【後編】/デイヴ・ブロックが語る、45年におよぶ宇宙の秘話”. YAMAHA (2014年2月13日). 2019年4月11日閲覧。
- ^ HAWKWIND | full Official Chart History | Official Charts Company
- ^ “Discogs”. 2024年9月24日閲覧。
- ^ 元ホークウインド ニック・ターナーの大阪公演に非常階段 - OTOTOY
- ^ Swanson, Dave (2015年10月27日). “When Ginger Baker Joined Hawkwind For 'Levitation'”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2021年10月13日閲覧。
- ^ Baker, Ginger; Baker, Ginette (2010). Ginger Baker: Hellraiser. Bonnier Books. pp. 227-228. ISBN 978-1-84454-966-5
- ^ “ホークウィンド・インタビュー【前編】/デイヴ・ブロックが語る、幻の日本公演とアルバム『スペースホークス』”. YAMAHA (2014年2月6日). 2019年4月11日閲覧。
- ^ ホークウインド 初の来日公演、詳細が明らかに - amass
- ^ “エリック・クラプトン、ホークウインドの公演にゲスト出演”. BARKS (2019年12月3日). 2020年1月8日閲覧。
- ^ モーターヘッドのレミー、死去 - BARKS
- ^ “ホークウィンドがライヴ名盤『宇宙の祭典』を完全再現。2014年ライヴ映像作品『Space Ritual Live』が登場”. YAMAHA (2015年6月4日). 2019年4月11日閲覧。
参考文献
[編集]- Kris Tait – This is Hawkwind: Do Not Panic (1984, published by the band and now only available second hand)
- Ian Abrahams – Sonic Assassins (Published by SAF publishing; ISBN 0-946719-69-1)
- Carol Clerk – Saga of Hawkwind (Publisher: Music Sales Limited ISBN 1-84449-101-3)
- Nik Turner, Dave Thompson – The Spirit of Hawkwind 1969-1976 (2015, Cleopatra Records, ISBN 096361939X)