EcoRI
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EcoRI(えこあーるわん)は、II型の制限酵素の一種で、制限酵素としては最も代表的なものである。
歴史
[編集]1972年、カリフォルニア大学のハーバート・ボイヤーの研究室で大腸菌から単離された。大腸菌(Escherichia coli)のRY13株から見つかった1番目の制限酵素ということで、「EcoRI」と命名された[1]。
1986年、制限酵素として初めて結晶構造が報告された[2]。
作用
[編集]EcoRIはIIP型に分類される制限酵素であり、DNA中の 5'-GAATTC-3' というパリンドロームになっている6塩基配列を認識し、GとAの間に切れ目を入れ、切り口に付着末端を作り出す。この時、酵素との結合部でDNAを直角に屈曲させることが分かっている。なお、大腸菌自身の遺伝子は、この配列の部分がメチル化されているため、切断される心配はない。
EcoRIの切断パターン
切断前の配列 切断後の配列 5'-GAATTC-3' 5'-G AATTC-3' 3'-CTTAAG-5' 3'-CTTAA G-5'
構造
[編集]一次構造
[編集]他の多くの制限酵素と同様に活性部位にPD...D/ExKモチーフを持つ[2]。
三次・四次構造
[編集]約31kDaのサブユニットがホモ2量体を形成し、α/β構造である球状ドメインでDNAと結合する。
球状ドメインから飛び出しているループ領域はDNAを包むように結合し、認識配列の外のDNA骨格と結合する。この結合が、認識配列近傍のDNA配列がEcoRIの活性に影響を与えている原因であると考えられている。
それぞれのサブユニットの2つのαヘリックスは4ヘリックスバンドルを構成し、DNAの主溝に入り込み結合する。βストランドにはヌクレアーゼ活性に必要なアミノ酸残基が含まれている[2]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ Dubey, R. C. (2014). Advanced Biotechnology. S. Chand Publishing. p. 259. ISBN 9788121942904
- ^ a b c Alfred Pingoud; Geoffrey G. Wilson; Wolfgang Wende (2014). “Type II restriction endonucleases—a historical perspective and more”. Nucleic Acids Research 42 (12): 7489-7527 .