R-27 (ミサイル)
R-27/Р-27
R-27(ロシア語:Р-27エール・ドヴァーッツァチ・スィェーミ)は、ソ連の機械設計局 ヴィーンペルで開発された中距離空対空ミサイルである。北大西洋条約機構(NATO)の用いたNATOコードネームではAA-10 アラモ(Alamo)と呼ばれた。
概要
[編集]R-23の代替ミサイルとして、アメリカ合衆国のAIM-7F スパローに対抗するために開発された。当初はMiG-23MLでの実用化が望まれたが、計画は大幅に遅れ、かわりにR-23の改良型のR-24が開発された。R-24は、1981年に実用化された。
これに続き、R-27は1980年代中期に就役を始め、主にソ連の第4世代戦闘機にあたるMiG-29やMiG-31、Su-27に装備された。MiG-23MLDなどにも搭載されたという情報もあるが、現在では誤報であると考えられている。
ソビエト連邦の崩壊後、独立したロシア連邦では各種軍用機にR-27の運用能力を持たせる近代化改修案を提示しており、その結果改修を受けたMiG-21、MiG-23、MiG-25のような戦闘機でも運用が可能となっている。いくつかのバリエーションがあり、R-27RはアメリカのAIM-7M スパローに匹敵する性能を有すると考えられている。
戦歴
[編集]エチオピア・エリトリア国境紛争において両軍の戦闘機(MiG-29とSu-27)による空中戦が発生し、双方がR-27を発射したが命中しなかったとされる。
派生型
[編集]- R-27R1
- セミアクティブ・レーダー誘導型。
- R-27T1
- 赤外線誘導型。
- R-27ET1
- R-27T1の距離強化型。
採用国
[編集]- アルメニア
- アルジェリア
- バングラデシュ
- ベラルーシ
- ブルガリア
- 中華人民共和国
- キューバ
- エチオピア
- ハンガリー
- インド
- インドネシア
- イラン
- カザフスタン - 2023年時点で、カザフスタン防空軍がR-27T、R-27R、R-27ERを保有している[2]。
- マレーシア
- 北朝鮮
- ペルー
- ポーランド
- ロシア
- セルビア
- スロバキア
- シリア
- ウクライナ
- ウズベキスタン - 2023年時点で、ウズベキスタン空軍および防空軍がセミアクティブレーダー誘導型と赤外線誘導型を保有している[3]。
- ベネズエラ
- ベトナム
退役国
[編集]仕様
[編集]R-27R1
[編集]出典:en:Vympel R-27[出典無効]
- 全長:4.08m
- 翼幅:0.772m
- 直径:230mm
- 発射重量:253kg
- 機関:高性能指向ロケット・モーター
- 射程:50km
- 速度:M4
- 弾頭:爆風破砕弾頭またはコンティニュアス・ロッド(39kg)
- 誘導方式:セミアクティブ・レーダー誘導
- 信管:レーダー近接信管/接触信管
R-27ER1
[編集]出典:Missile.index[1]
- 全長:4.70m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:350kg
- 射程:75km
- 速度:M4
R-27T1
[編集]出典:Missile.index[1]
- 全長:3.70m
- 直径:23cm
- 翼幅:77cm
- 発射重量:254kg
- 射程:40km
- 速度:M4
- 目標探索装置:9B-1101K
R-27ET1
[編集]出典:Missile.index[1]
- 全長:4.50m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:343kg
- 射程:70km
- 速度:M4
R-27AE
[編集]出典:Missile.index[1]
- 全長:4.78m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:350kg
- 射程:80km
- 速度:M4
- 目標探索装置:9B-1103M
R-27EM
[編集]出典:Missile.index[1]
- 全長:4.78m
- 直径:26cm
- 翼幅:80cm
- 発射重量:350kg
- 射程:110km
- 速度:M4
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g Missile.index R-27
- ^ * The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 179-180. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 206. ISBN 978-1-032-50895-5