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2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン[1]
識別情報
略称 DDQ
CAS登録番号 84-58-2 チェック
PubChem 6775
ChemSpider 6517 チェック
EC番号 201-542-2
RTECS番号 GU4825000
特性
化学式 C8Cl2N2O2
モル質量 227 g mol−1
融点

210-215 °C (dec.)

危険性
Rフレーズ R25 R29
Sフレーズ S22 S24/25 S37 S45
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン (2,3-dichloro-5,6-dicyano-p-benzoquinone) は有機合成で用いられる酸化剤のひとつ。DDQ と略される。化学式は C8N2O2Cl2 の黄色固体で、融点は 216 ℃。多くの有機溶媒に可溶。水と反応し、徐々に分解するので乾燥した場所で密封保存する。精製は大量のジクロロメタンから再結晶により行う。毒物及び劇物取締法の劇物に該当する[2]

性質

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p-ベンゾキノンに 4つの電子求引基が結合しているため、中心の環は非常に電子密度が低い。このため電子豊富な部位を持つ化合物と電荷移動錯体を形成し、その電子やヒドリドを奪い取る力が強い。このため脱水素化剤、あるいは一電子酸化剤として有機合成上汎用される。

用途

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シクロヘキセンベンゼンへといったように、不飽和結合を含む環を脱水素的に酸化し、芳香族化することができる。シクロヘキサノン誘導体は対応するα,β-不飽和ケトン誘導体へ酸化される。また p-メトキシベンジル (PMB) エーテルは DDQ の作用でベンジル位が酸化され、p-アニスアルデヒドとアルコールを与える(この場合溶媒に水を数%共存させる)。これを利用し、PMB エーテルを DDQ で脱保護可能なヒドロキシ基保護基として用いることができる。p-メトキシフェニル基なども同様に、DDQ で脱保護を受ける。

反応

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脱水素化

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芳香族化

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[3]

酸化カップリング

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出典

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  1. ^ 2,3-Dichloro-5,6-dicyano-p-benzoquinone at Sigma-Aldrich
  2. ^ 毒物及び劇物指定令(昭和四十年政令第二号)第2条: 劇物”. e-Gov (2019年6月19日). 2019年12月28日閲覧。 “2019年7月1日施行分”
  3. ^ Brown.W, Turner. AB (1971). “Application of High-potential Quinones. 7. Synthesis of steroidal phenanthrenes by double methyl migration.”. J. Org. Chem. (14): 2566-&. 
  4. ^ YH.Zhang, CJ. Li, and Wooldridge, K. R. H. (2006). “DDQ-Mediated Direct Cross-Dehydrogenative-Coupling (CDC) between Benzyl Ethers and Simple Ketones”. Journal of the American Chemical Society (128): 4242–4243. 

関連項目

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