1997年イギリス総選挙
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選挙区別獲得議席 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1997年イギリス総選挙(1997ねんイギリスそうせんきょ、英語: United Kingdom general election, 1997)は、1997年5月1日にイギリスで行われた議会(庶民院)議員の総選挙である。
概要
[編集]1994年に党首に就任したトニー・ブレアの下で「ニュー・レイバー」と呼ばれる政策を掲げ、支持を拡大しつつあった労働党が、ジョン・メージャー率いる保守党から政権を奪回できるか否かが注目された。選挙の結果、労働党は地滑り的な大勝利を収め、1979年の総選挙以来18年ぶりに与党に返り咲いた。
後にイギリス首相となるテリーザ・メイが初めて当選した選挙である。
選挙データ
[編集]内閣
[編集]解散日・公示日
[編集]- 1997年4月8日
投票日
[編集]- 1997年5月1日
改選数
[編集]- 659( 8)
選挙制度
[編集]- 投票方法
- 秘密投票、単記投票、1票制
- 被選挙権
- 21歳以上のイギリス国籍を有する男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で一定の欠格要件(刑務所に服役中など)に該当しない市民で、居住地域の自治体で選挙人登録をした者。
- 有権者数
- 43,846,152[1]
選挙活動
[編集]党派別立候補者数
[編集]党派 | 党首 | 候補者数 | 解散時 | |
---|---|---|---|---|
保守党 | ジョン・メージャー | 648 | 323 | |
労働党 | トニー・ブレア | 639 | 273 | |
自由民主党 | パディ・アッシュダウン | 639 | 26 | |
国民投票党 | ジェームズ・ゴールドスミス | 547 | 1 | |
自然法党 | ジェフリー・クレメンツ | 197 | 0 | |
イギリス独立党 | アラン・スケッド | 193 | 新党 | |
イングランド・ウェールズ緑の党 | ペグ・アレクサンダー/デイヴィッド・テイラー | 89 | 0 | |
スコットランド国民党 | アレックス・サモンド | 72 | 3 | |
社会主義労働党 | アーサー・スカーギル | 64 | 新党 | |
イギリス国民党 | ジョン・ティンダル | 57 | 0 | |
生命尊重同盟 | ブルーノ・キンタヴァッレ | 56 | 新党 | |
自由党 | マイケル・メドウクロフト | 53 | 0 | |
プライド・カムリ | ダフィド・ウィグリー | 40 | 4 | |
政治家の歴史につくる | 29 | 新党 | ||
無所属 | 25 | 0 | ||
モンスター・レイビング・ルーニー党 | 24 | 0 | ||
国民民主党 | 21 | 新党 | ||
社会民主労働党 | 18 | 4 | ||
シン・フェイン党 | 17 | 0 | ||
北アイルランド同盟党 | 17 | 0 | ||
アルスター統一党 | 16 | 9 | ||
スコットランド社会主義同盟 | 16 | 新党 | ||
民主統一党 | 9 | 3 | ||
労働者革命党 | 9 | 新党 | ||
労働者党 | 8 | 0 | ||
イギリス国民戦線 | 6 | 新党 | ||
スコットランド緑の党 | 5 | 0 | ||
グレートブリテン社会党 | 5 | 新党 | ||
保守系無所属 | 4 | 0 | ||
大麻法改正党 | 4 | 新党 | ||
メビョン・ケルノウ | 4 | 新党 | ||
イギリス共産党 | 3 | 0 | ||
社会主義平等党 | 3 | 0 | ||
進歩統一党 | 3 | 新党 | ||
北アイルランド女性連合 | 3 | 新党 | ||
社会民主党 | 2 | 0 | ||
議長 | ベティ・ブースロイド | 1 | 1 | |
社会党 | 新党 | |||
英国連合党 | 1 | 0 | ||
社会主義人民党 | 1 | 新党 | ||
単一通貨に反対する保守グループ | 1 | 新党 | ||
コミュニティ代表 | 1 | 新党 | ||
町内会 | 1 | 新党 | ||
真の労働党 | 1 | 新党 | ||
民主系無所属 | 0 | |||
北アイルランド緑の党 | 1 | 0 | ||
諸派・その他 | 0 | |||
欠員 | - | 2 | ||
総計 | 3,724 | 651 | ||
出典:GENERAL ELECTION RESULTS,1 MAY 1997 |
選挙報道
[編集]世論調査
[編集]主な争点
[編集]選挙を目前にした4月上旬に各党はそれぞれ、マニフェスト(選挙綱領)を発表した。保守党の選挙綱領は減税や雇用、経済対策に重点を置き、対する労働党の選挙綱領は教育や雇用、地方分権に重点を、第3党の自民党の選挙綱領は教育や経済、環境、コミュニティなどを中心としたもので、教育や雇用、減税などを争点に争われた。政権獲得を狙う労働党は、18年間の保守党政権は失敗であったと規定した上で「イギリスはもっとより良い生活を受けるに価する」というキャンペーンを展開し、変化を訴えた。対する保守党は経済状態が良好であることを強調し、「イギリスは景気づいている。労働党がそれを吹き飛ばそうとしている」と応じた[2]。
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選挙結果
[編集]選挙の結果、労働党は結党以来最高の418議席を獲得し、1979年のジェームズ・キャラハン政権下で行われた総選挙での敗北で政権を失って以来、18年ぶりに与党となった。反対に保守党は、現職閣僚7名が落選、ウェールズとスコットランド両地域で全議席を失った他、都市部でもロンドンとバーミンガムの一部選挙区を除き全敗、結党以来最低の165議席で大惨敗し、野党に転落した。第3党の自由民主党は、得票率は前回並みであったが、労働党との戦略投票により議席数を前回より大幅に増やし、結党以来最高の46議席を得た。この3政党以外のウェールズやスコットランド及び北アイルランドなどの地域政党も健闘した。
党派別獲得議席
[編集]党派 | 獲得 議席 |
増減 | 得票数 | 得票率 | 解散時 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
保守党 | 165 | 158 | 9,600,943 | 30.69% | 323 | ||
労働党 | 418 | 145 | 13,518,167 | 43.21% | 273 | ||
自由民主党 | 46 | 10 | 5,242,947 | 16.76% | 26 | ||
アルスター統一党 | 10 | 1 | 258,349 | 0.83% | 9 | ||
スコットランド国民党 | 6 | 3 | 621,550 | 1.99% | 3 | ||
プライド・カムリ | 4 | 161,030 | 0.51% | 4 | |||
社会民主労働党 | 3 | 1 | 190,814 | 0.61% | 4 | ||
シン・フェイン党 | 2 | 2 | 126,921 | 0.41% | 0 | ||
民主統一党 | 2 | 1 | 107,348 | 0.34% | 3 | ||
英国連合党 | 1 | 1 | 12,817 | 0.04% | 0 | ||
議長 | 1 | 23,969 | 0.08% | 1 | |||
無所属 | 1 | 1 | 75,198 | 0.24% | 0 | ||
国民投票党 | 0 | 1 | 811,849 | 2.59% | 1 | ||
イギリス独立党 | 0 | 105,722 | 0.34% | 新党 | |||
北アイルランド同盟党 | 0 | 62,972 | 0.20% | 0 | |||
イングランド・ウェールズ緑の党 | 0 | 61,731 | 0.20% | 0 | |||
社会主義労働党 | 0 | 52,109 | 0.17% | 新党 | |||
自由党 | 0 | 45,166 | 0.14% | 0 | |||
イギリス国民党 | 0 | 35,832 | 0.11% | 0 | |||
自然法党 | 0 | 30,604 | 0.10% | 0 | |||
生命尊重同盟 | 0 | 19,332 | 0.06% | 新党 | |||
進歩統一党 | 0 | 10,928 | 0.03% | 新党 | |||
国民民主党 | 0 | 10,829 | 0.03% | 新党 | |||
社会党 | 0 | 9,906 | 0.03% | 新党 | |||
スコットランド社会主義同盟 | 0 | 9,740 | 0.03% | 新党 | |||
保守系無所属 | 0 | 8,608 | 0.03% | 0 | |||
モンスター・レイビング・ルーニー党 | 0 | 7,906 | 0.03% | 0 | |||
政治家の歴史につくる | 0 | 3,745 | 0.01% | 新党 | |||
北アイルランド女性連合 | 0 | 3,024 | 0.01% | 新党 | |||
労働者党 | 0 | 2,766 | 0.01% | 0 | |||
イギリス国民戦線 | 0 | 2,716 | 0.01% | 新党 | |||
大麻法改正党 | 0 | 2,085 | 0.01% | 新党 | |||
社会主義人民党 | 0 | 1,995 | 0.01% | 新党 | |||
メビョン・ケルノウ | 0 | 1,906 | 0.01% | 新党 | |||
スコットランド緑の党 | 0 | 1,721 | 0.01% | 0 | |||
単一通貨に反対する保守グループ | 0 | 1,434 | 0.00% | 新党 | |||
グレートブリテン社会党 | 0 | 1,359 | 0.00% | 新党 | |||
コミュニティ代表 | 0 | 1,290 | 0.00% | 新党 | |||
町内会 | 0 | 1,263 | 0.00% | 新党 | |||
社会民主党 | 0 | 1,246 | 0.00% | 0 | |||
労働者革命党 | 0 | 1,178 | 0.00% | 新党 | |||
真の労働党 | 0 | 1,117 | 0.00% | 新党 | |||
民主系無所属 | 0 | 982 | 0.00% | 0 | |||
イギリス共産党 | 0 | 639 | 0.00% | 0 | |||
北アイルランド緑の党 | 0 | 539 | 0.00% | 0 | |||
社会主義平等党 | 0 | 505 | 0.00% | 0 | |||
諸派・その他[注 1] | 0 | 31,487 | 0.10% | 0 | |||
欠員 | 0 | 2 | - | - | 2 | ||
総計 | 659 | 8 | 31,286,284 | 100.0% | 651 | ||
投票者数(投票率) | 31,286,284 | 71.35% | |||||
棄権者数(棄権率) | 12,559,868 | 28.65% | |||||
有権者数 | 43,846,152 | 100.0% | |||||
出典:GENERAL ELECTION RESULTS,1 MAY 1997 |
女性議員の増加
[編集]労働党の大勝以外に、もう一つ特徴的なこととして、女性議員の大幅な増加が挙げられる。前回の総選挙における女性当選者は60人で下院全体の9%余りに留まっていたが、本選挙でほぼ倍増の120名が当選し、下院全体の18%が女性で占められることとなった。特に労働党のみで見た場合は102名が当選、当選者全体の24%、女性当選者全体の8割以上を占めたが、これは当選可能性が高い接戦選挙区に女性候補者を積極的に擁立した措置によるものが大きいと言える。
本選挙における女性候補者と当選者、
当選者全体に占める女性当選者の比率党派 候補者 当選者
(a)党全体の
当選者
(b)(a)/(b) 労働党 156 102 418 24.4 保守党 66 13 165 7.8 自由民主党 139 3 46 6.5 その他の政治勢力 311 2 30 6.0 全体 672 120 659 18.2
- 出典:「英国総選挙におけるジェンダー状況。党主導による女性候補者登用策の合法化とその問題点」6頁の“表1英国下院女性候補者と女性議員の数1918-2005年”より引用して作成。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 得票数500未満の政党並びに無所属の候補者。
出典
[編集]- ^ “1997 - Registered voters”. 2024年6月18日閲覧。
- ^ 谷藤悦史「1997年イギリス総選挙に関する分析」、日本選挙学会年報『選挙研究』No13、1998年、190頁右側
参考文献
[編集]- GENERAL ELECTION RESULTS,1 MAY 1997 (PDF) -英国下院資料
- 秋本富雄「英国総選挙におけるジェンダー状況。党主導による女性候補者登用策の合法化とその問題点」 (PDF) -東海大学紀要『政治経済学部』第40号(2008)
- 谷藤悦史「1997年イギリス総選挙に関する分析」、日本選挙学会年報『選挙研究』No13、1998