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百二十八分音符

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
128分音符から転送)
ベートーヴェン作品13『大ソナタ悲愴』の第1楽章で128分音符を使っている。Play at quarter note=50
幹が上向きの128分音符。幹が下向きの128分音符。128分休符
桁で一緒になった128分音符

百二十八分音符(ひゃくにじゅうはちぶおんぷ、hundred twenty-eighth note、semihemidemisemiquaver[1][2]、quasihemidemisemiquaver[3]は、全音符1128の長さで演奏される音符。長さは64分音符の半分である。5つの旗もしくは桁を持つ。ヒトの聴こえる周波数領域は20Hz(1200/分)から始まるため、128分音符のトレモロはquarter note = 37.5 bpmの知覚で1音になる。

1つの128分音符の幹は常に旗がついているが、2つ以上の音符は普通まとまって桁で一緒にされる[4]。このように短い音符は印刷された音楽では非常に珍しいが、知られていないわけではない。桁の多い音符が珍しい理由の1つは、例えばquarter note = 50 の32分音符はquarter note = 100 の16分音符と同じ時間続くからである。テンポを2倍にすると全ての音符は2倍の長さで表記されるが、時間は同じである。主にゆっくりとした楽章の短く速い楽節で使われる。例えば、ベートーヴェン作品13『大ソナタ悲愴』の第1楽章で速い音階を表記するのに使われている。モーツァルトの変奏曲Je suis Lindorでも使われており、多くは遅い12番目の変奏曲で使われている[5][6]。同様に、バッハの「ト短調無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ」 (BWV 1001) の冒頭のアダージョでも128分音符が明示的に表記された装飾的なルラードで使われている[7]

このような5つの桁を持つ音符は、ある楽節を速く演奏する場合にもときどき登場するが、実際のテンポは厳密に拍子を分けるのではなく、演奏者の裁量にゆだねられている。このような場合、音符の時間の合計がぴったり1小節に合わないことがあり、このことを示すために楽句に奇数の時分割で表記されていることがある。このような表記は装飾音のように小さな音符を使ってされることもある。このような5つ桁の音符が砕音(acciaccatura)として使われる稀な例としては、シャルル=ヴァランタン・アルカンの「3つの大練習曲」作品76の第2番の最終小節がある。

128分休符も珍しいが、知られていないわけではない。「ベートーヴェンのピアノソナタ第13番 幻想曲風」(遅い楽章の24小節)で1つ使われている。

関連項目

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脚注

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  1. ^ Read, Gardner (1979). Music Notation, p.65. 2nd edition. Crescendo Taplinger. ISBN 0-8008-5453-5.
  2. ^ Haas, David (2011). “Shostakovich's Second Piano Sonata: A Composition Recital in Three Styles”. In Fairclough, Pauline. The Cambridge Companion to Shostakovich. Cambridge Companions to Music. Cambridge and New York: Cambridge University Press. p. 112. doi:10.1017/CCOL9780521842204.006. ISBN 978-1-139-00195-3. "The listener is right to suspect a Baroque reference when a double-dotted rhythmic gesture and semihemidemisemiquaver triplets appear to ornament the theme." )[要文献特定詳細情報]
  3. ^ Miller, RJ (2015). Contemporary Orchestration: A Practical Guide to Instruments, Ensembles, and Musicians. Routledge. p. 38. ISBN 978-0-415-74190-3 
  4. ^ Gerou, Tom (1996). Essential Dictionary of Music Notation, p.211. Alfred. ISBN 0-88284-730-9
  5. ^ Mozart, Wolfgang Amadeus. 12 Variations on 'Je suis Lindor', K.354. p. 10, fourth system, last bar. Wolfgang Amadeus Mozarts Werke, Serie 21. Leipzig: Breitkopf & Härtel, 1877-1910. Plate W.A.M. 354. [1]
  6. ^ Thomas Bushnell BSG (8 November 2007). “Re: GPD: official shortest note in lilypond”. mail-archive.com. 2020年4月閲覧。
  7. ^ Joel., Lester (1999). Bach's works for solo violin : style, structure, performance. New York: Oxford University Press. ISBN 0195120973. OCLC 39739608