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.308ウィンチェスター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
.308 Winchesterから転送)
.308ウィンチェスター
.308 Winchester
.308 Winchester
種類 ライフル
原開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
製造の歴史
設計時期 1952
特徴
元モデル .300サベージ
薬莢形状 リムレス、ボトルネック
弾丸 0.308 in (7.8 mm)
首径 0.3433 in (8.72 mm)
肩径 0.4539 in (11.53 mm)
底面径 0.4709 in (11.96 mm)
リム径 0.4728 in (12.01 mm)
リム厚 0.0539 in (1.37 mm)
薬莢長 2.015 (51.18 mm)
全長 2.800 (71.12 mm)
薬莢容量 56 gr H2O (3.6 cm3)
雷管のタイプ ラージ・ライフル
最大圧 (C.I.P.) 60,191 psi (415.00 MPa)
最大圧 (SAAMI) 62,000 psi (430 MPa)
弾丸性能
弾頭重量/種類 初速 エネルギー
125 gr (8 g) Spitzer 3,100 ft/s (940 m/s) 2,668 ft⋅lbf (3,617 J)
150 gr (10 g) Nosler tip 2,820 ft/s (860 m/s) 2,648 ft⋅lbf (3,590 J)
168 gr (11 g) BTHP 2,650 ft/s (810 m/s) 2,700 ft⋅lbf (3,700 J)
175 gr (11 g) BTHP 2,645 ft/s (806 m/s) 2,619 ft⋅lbf (3,551 J)
185 gr (12 g) Lapua Mega JSP 2,510 ft/s (770 m/s) 2,588 ft⋅lbf (3,509 J)
算出時の銃砲身の長さ: 24 in (26 in for Lapua) [1]

.308ウィンチェスター: .308 Winchester)はリムレス、ボトルネック型のライフル実包で、 7.62x51mm NATO弾の由来となった商用実包である。NATO が 7.62×51mm NATO T65 を採用する2年前の1952年に、ウィンチェスターは.308ウィンチェスターと称した実包を民間の狩猟市場に向けて発表した。その後、ウィンチェスターのモデル70モデル88がこの新しい実包に対応した。それ以降.308ウィンチェスターは世界中で最も普及したショート・アクションビッグゲーム・ハンティング用実包となっている[2]。またこの実包は一般的に民間の狩猟、標的射撃、 メタリック・シルエット射撃、ベンチレスト射撃、パルマ、メタル・マッチ、軍のスナイピング、警察の狙撃にも使用されている。.308ウィンチェスターの薬きょうは比較的短いためショート・アクションのライフルに特に適している。また、組織内で拡張、転倒あるいは粉砕する弾頭の装着によって、終末弾道において高い性能を達成することができる[3][4][5]

.308ウィンチェスターは軍用の 7.62x51mm NATO弾の仕様と非常によく似ているが同一のものではなく、7.62×51mm NATO または.308ウィンチェスターの銃でこれらの実包を混合して使用する際には特に考慮することが存在する場合もある[6]。しかしながら、SAAMI(Sporting Arms and Ammunition Manufacturers Institute)はこれらの交換を安全だとしている[7]

寸法

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.308ウィンチェスターの薬きょう容量は 3.64 mL (56.0 gr) である[8]。薬きょうの外形は過酷な条件下でボルトアクション方式ライフルと機関銃において、確実に装てんと排きょうを行えるように設計されている。

.308ウィンチェスターの最大 C.I.P. 薬きょう寸法。(寸法はミリメートルおよびインチ)

アメリカ合衆国ではショルダー角を alpha/2 = 20°と定めている。この薬きょうではライフリングのツイストは 305 mm (1:12 in)の4条で、山径 7.62 mm、谷径 7.82 mm、ランド幅 4.47 mm、 雷管の種類はラージ・ライフルのものが最も一般的である[9]

C.I.P. (Commission Internationale Permanente pour l'Epreuve des Armes à Feu Portatives) の公式の規定によると、.308ウィンチェスターは最大 Pmax = 415.00 MPa (60,191 psi) のピエゾ圧力に耐えられる。C.I.P. 規制下の国においては、すべてのライフル実包は消費者に販売するためにはこの最大 C.I.P. 圧力の125%で負荷試験をする必要がある。これは C.I.P. 規制のある国における.308ウィンチェスターの銃は、現在 (2008年) PE = 519.00 MPa (75,275 psi) のピエゾ圧力の負荷試験を受けていることを意味している[10]

北アメリカの SAAMI の.308ウィンチェスターに対する最大圧力は 430 MPa (62,000 psi) である.[11]

用途と性能

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.308ウィンチェスターはアメリカにおいて、あるいは世界においても最も普及している狩猟用実包のひとつである。中~大型の獲物用の非常に優れた実包として多くの国々で支持を受けている[12]北アメリカにおいてはオジロジカやプロングホーンだけでなく往々にしてトナカイやアメリカグマに対しても広く使用されている。

アメリカの銃ライター Clay Harvey はヘラジカとワピチに最適だと述べている[13]。スウェーデンで狩猟の経験のある Layne Simpson は、そこで多くのハンターがこの実包を使っていることに驚いたという[14]。ノルマの役員は Craig Boddington に.308はノルマのベストセラー口径のひとつだと話した[15]

アフリカでは .308 Win は en:Bushveld のハンター間では最も人気のある口径のひとつで、小型から大型のレイヨウ類まであらゆるものに使用されている。ハイドロスタティック・ショック理論の支持者たちは.308ウィンチェスターが急速に広がる弾頭が高いネルギー伝達率をもたらす際に、ハイドロスタティック・ショックを生きた標的に伝えるための十分なエネルギーがあると強く主張する[3][5][16][17]

.308ウィンチェスターが従来どおり最も普及している実包である一方、メタリック・シルエット射撃においては7mm-08レミントン.260レミントンあるいは6.5mmクリードモアといったような十分な射程エネルギーを持った軽リコイルのものの開発も一般的になってきている[18]

PALMA 射撃はフルボア標的射撃の派生で、7.62mm NATO (.308ウィンチェスター) 口径のボルトア・クション式ライフルで、155グレーンのマッチ・グレード弾頭を使用し、マイクロ・ピープ・サイトで1000ヤードまでの標的を標的を狙う[19]

F-クラスはフルボア標的射撃の派生で、光学望遠照準器と例えばバイポッドやバッグのような前後のシューティング・レストを使用することができる。競技は300から1200メートル(あるいはヤード)の距離で行われ、標的は従来の PALMA 射撃で使用されているものの半分である。装具によって競技者はオープンあるいはスタンダードのうちどちらかのクラスに参加できる。制限付きのクラスの F-TR ("Target"、スタンダード・クラス) ではスコープ、バイポッド、バックパック、リア・バッグ(フロント・レストなし)は許可されているが、ライフルの口径は.223レミントンか.308ウィンチェスターでなければならない。さらに、光学機器を含めて 8.25 kg (18.15 lb) という重量制限がある。

.308ウィンチェスターはそのほとんどの重量の弾頭において若干遅い (約 100 ft/s (30 m/s)) 銃口速度のため、.30-06スプリングフィールドよりも長距離でのドロップがわずかに大きい。.300ウィンチェスター・マグナムのような銃口速度が著しく速い実包は長距離でのドロップが大幅に小さくなるがリコイルが大きくなる。

親薬きょうとして

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左から右に 9.3×62mm.30-06スプリングフィールド7.92×57mmモーゼル6.5×55mm および.308ウィンチェスター実包7.62×51mm NATO (写真になし) は .308ウィンチェスターと外見が似ている。

.308ウィンチェスターを親薬きょうとしてさらに複数の実包が開発されており、いくつかは特に北米において狩猟用として普及してきている[9].243ウィンチェスター.260レミントン (別名 6.5-08 A-Square)、7 mm-08レミントン.338フェデラル.358ウィンチェスター (別名 8.8×51mm) がこれにあたる。 1980年、ウィンチェスター・モデル94 XTR Angle Eject 用として、.308ウィンチェスターをベースとした.307ウィンチェスター.356ウィンチェスターが発表された。2014年、AR-10 用の大口径実包を確保するために.308ウィンチェスターと.460 S&W マグナムを組み合わせたリムレスの45ラプターが発表された。

脚注

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  1. ^ Federal Gold Medal 308 Win. Sierra® MatchKing® Boat-Tail Hollow Point Match Grade 168
  2. ^ Simpson, Layne (February 2000). “The 20th Century's Top Rifle Cartridge”. 14 May 2008時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月6日閲覧。
  3. ^ a b Chamberlin FT, Gun Shot Wounds, in Handbook for Shooters and Reloaders, Vol. II, Ackley PO, ed., Plaza Publishing, Salt Lake City, Utah, 1966.
  4. ^ Courtney A, Courtney M: Links between traumatic brain injury and ballistic pressure waves originating in the thoracic cavity and extremities. Brain Injury 21(7): 657-662, 2007. arXiv:0808.1443
  5. ^ a b Scientific Evidence for Hydrostatic Shock arXiv:0803.3051
  6. ^ 7.62×51mm NATO or 308 Winchester?
  7. ^ SAAMI Unsafe Arms and Ammunition Combinations Archived 2013-11-16 at the Wayback Machine.
  8. ^ Hornady Handbook of Cartridge Reloading, Fourth Edition, 1991, Hornady Manufacturing Company, Grand Island, NE.
  9. ^ a b Nosler Reloading Guide Number Four, 1996, Nosler, Inc., Bend OR.
  10. ^ C.I.P. TDCC sheet .308 Winchester
  11. ^ The Sporting Arms and Ammunition Manufacturing Institute (SAAMI), composed of representatives of the firearms, ammunition and components manufacturers, with the purpose of standardizing specs in North America
  12. ^ Speer Reloading Manual Number 12, 1994, Blount, Inc., Lewiston, ID.
  13. ^ Popular Sporting Rifle Cartridges DBI Books, 1984.
  14. ^ "The 20th Century's Top Rifle Cartridge," Shooting Times, Feb. 2000. Accessed online Dec. 31, 2012. The "top" rifle cartridge in the century, he says, is the .30-06.
  15. ^ "Best Sellers," RifleShooter, Jan.Feb. 2013.
  16. ^ Sturtevant B, Shock Wave Effects in Biomechanics, Sadhana, 23: 579-596, 1998.
  17. ^ Suneson A, Hansson HA, Seeman T: Pressure Wave Injuries to the Nervous System Caused by High Energy Missile Extremity Impact: Part I. Local and Distant Effects on the Peripheral Nervous System. A Light and Electron Microscopic Study on Pigs. The Journal of Trauma. 30(3):281–294; 1990.
  18. ^ Sport Shooting Association of Austrialia”. 20 March 2017閲覧。
  19. ^ Palma USA”. 31 March 2017閲覧。
  20. ^ Litz, Brian. Applied Ballistics for Long Range Shooting. Cedar Springs, MI : Applied Ballistics, LLC, 2009.

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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