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カササギガン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鵲雁から転送)
カササギガン
カササギガン
カササギガン Anseranas semipalmata
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: カモ目 Anseriformes
: カモ科 Anatidae[2]
: カササギガン属
Anseranas Lesson, 1828
: カササギガン A. semipalmata
学名
Anseranas semipalmata
(Latham, 1798)
和名
カササギガン
英名
Magpie goose

カササギガン(鵲雁、Anseranas semipalmata)は、鳥綱カモ目カモ科[2]カササギガン属に分類される水鳥の1種である。本種のみでカササギガン属を構成する。

分類

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本種は、カモ類に特徴的なくちばしの形を有しており、カモ科に分類されるが[3]、そのほかの形態や生態など、カモ科の構成種と相違点が多いことから、本種のみでカササギガン科 Anseranatidae を構成するとの説もある[4][5]

分布

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セレンディップ・サンクチュアリ英語版(オーストラリア、ビクトリア州)のカササギガン

オーストラリア[1]北部(西オーストラリア州ブルーム付近からクイーンズランド州ブリスベン周辺にかけての沿岸より300キロメートル以内[6])、およびニューギニア島インドネシアパプアニューギニア[1])南部のサバンナ地帯[2]、通常留鳥として自然分布する[4]

かつてオーストラリアには、南東部や東・北東部の沿岸にも広く分布していた[6]ビクトリア州では本種が再移入されている[4][6]

形態

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全長およそ90センチメートル[7] (71-92cm[8])。翼開長およそ150-160センチメートル[8] (120-180cm[6])。

雌よりも雄のほうが大きく、頭頂にある瘤(こぶ)状の隆起がより顕著である[4][6]

雌雄の測定値および差異[4]
測定値
平均体重 2,766 g 2,071 g
翼長 36.8–45.0 cm[5] 35.6–41.8 cm[5]
跗蹠長 9.0–10.5 cm 8.0–9.2 cm
嘴長 7.2–9.2 cm 6.3–8.2 cm
頭頂 顕著な隆起 隆起
頭部

雌雄の羽衣は同色で[4]、頭部から頸部が黒く、体部は白い[5]。尾や[4]翼の色彩は黒いが[5]、翼下面の下雨覆、翼上面の雨覆および上背、腰は白い[8]。ほかのガン・カモ類と異なり、風切羽は徐々に抜け換わるため、飛翔できない期間はない[3][5]

頭部に瘤状の隆起がある[3]のあるくちばし[8]から眼にかけて羽毛がなく、ピンク色の皮膚が裸出する[5]虹彩はオレンジ色[5]。脚は橙黄色で長い[8][6](あしゆび)は、第1趾が長く、第2-4趾の間には水かきがあるがあまり発達しない[3][5]。気管が非常に長い[5]

生態

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湖沼湿原[7]氾濫原などの、通常は沿岸から80キロメートル以内の地域に生息し[4]、小規模な群れを形成して生活するが[5]、条件に恵まれた場所では大群となる[4]

食性は植物食で、植物の葉、根などを食べる[5]。湿原などを歩き回って食物を探し[7]、また水上を泳ぎ逆立ちして採食する[4]。親は雛(ひな)にくちばしで咥えた食物を与える[3][5]

やや分散した集団繁殖地(コロニー)を形成する[5]。繁殖は10-11月[7]の雨季により始まり[4]、オーストラリア北部では1-4月(南東部7-11月)、沼地の地表や水生植物の上に[7]深い椀形の巣をつくり、しばしば染みのある乳白色や灰白色の楕円形の卵を、平均約8個(1-16個)産む[6]。雄1羽と雌2羽で抱卵し、抱卵期間は28日[5]

鳴き声は、大きくてよく響き、雄のほうがより大きく高い声を発する[4]

人間との関係

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生息地では卵も含めて食用とされることもある[5]

参考文献

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  1. ^ a b c Anseranas semipalmata in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.2.”. 国際自然保護連合 (IUCN). 2014年8月3日閲覧。
  2. ^ a b c Clements, James F. (2007). The Clements Checklist of Birds of the World (6th ed.). Ithaca, New York: Cornell University Press. p. 26. ISBN 978-0-8014-4501-9 ; Updates, Clements Checklist 6.8 (Downloadable Checklist)” (2013年8月). 2014年8月3日閲覧。
  3. ^ a b c d e 黒田長久監修、C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 編『動物大百科7 鳥類I』平凡社、1986年、105-108頁。ISBN 4-582-54507-6 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l Madge, Steve; Burn, Hilary (1988). Wildfowl: An Identification Guide to the Ducks, Geese and Swans of the World. Helm Identification Guides. Christopher Helm. pp. 30, 123. ISBN 0-7136-3647-5 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育 (ガンカモ目)』、財団法人東京動物園協会、1980年、24-26頁。
  6. ^ a b c d e f g Pizzy, Greham (1997). Field Guide to the birds of Australia. Australia: Angus & Robertson. pp. 32-33. ISBN 0-207-19691-5 
  7. ^ a b c d e 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館2002年、145頁。
  8. ^ a b c d e Simpson, Ken (1999). Field Guide to the birds of Australia (6th ed.). Australia: Viking. pp. 52-53. ISBN 0-670-87918-5 

関連項目

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外部リンク

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