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高久隆古

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
高隆古から転送)
鈴木鵞湖筆 高隆古像 栃木県立博物館蔵。鵞湖が持っていた隆古の自画像(原図は所在不明)を鵞湖自身が模写したもの。

高久 隆古(たかく りゅうこ、文化7年(1810年) - 安政5年8月26日1858年10月2日))は江戸時代後期の画家。復古大和絵派。

本姓は川勝。は隆恒、は述而。通称は斧四郎。は隆古の他に梅斎など。高隆古・泰隆古と称した。武蔵埼玉郡忍城下(現・埼玉県行田市)の生まれ。

略歴

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代々阿部家家老職を襲名する名門・川勝家の四男に産まれる。文政6年(1823年)、阿部家が忍藩から白河へ移封となり、これに随い一家も白河に移り住んだ。

隆古の父・川勝隆任は40歳で隠居し和歌書画などの文雅に遊び、兄たちも同様に和歌や書に優れた。隆古はこのような環境の中で育つと、若いころから画家になることを志した。隆古があまりに士道に身を入れないため両親は怒り半ば勘当同然で江戸に出す。郷土の画家・蒲生羅漢の紹介を得て南画家依田竹谷に入門。

天保3年(1832年)頃、復古大和絵派の田中訥言に私淑し京都に上るが、訥言は既に死没しておりその門人・浮田一蕙に師事する。古寺社に伝わる古画や彫刻を臨模し熱心に研究した。天保7年(1836年)に名古屋に遊歴し画人・渡辺清に学ぶ。この頃の作品には「隆古」以外に「小野四郎」の落款が見られる。

天保9年(1838年)、江戸に戻る。この頃既に両親の勘当は解かれていたらしい。豪商で書画コレクター・菊池淡雅の知遇を得て様々な支援を受ける。天保14年(1843年)、谷文晁の高弟・高久靄厓は嗣子がないまま急死。淡雅の奨めもあってその後嗣となる。しかし、高久の姓が気に入らなかったらしく高隆古と名乗った。

隆古は、南画と大和絵を融合し独自の画風を打ち出し、一家を成した。以降、関東周辺を巡遊し多くの作品を画くが、安政5年(1858年)に下総佐原からの帰途にコレラに罹り病死。行年48歳。法名「興道隆古居士」。靄厓と同じ谷中天龍院に葬られる。

弟子に淡島椿岳小出東嶂など。

作品

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作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 落款・印章 備考
大内春秋之図 絹本著色 1幅 栃木県立博物館 栃木県指定文化財
蘭亭曲水図 絹本著色 1幅 栃木県立博物館 小室翠雲旧蔵。
西園雅集図 絹本著色 1幅 栃木県立博物館
春景群鶴図屏風 紙本金地著色 六曲一双 栃木県立博物館 40代の作
伊勢物語西行物語図屏風 白河市歴史民俗資料館
楠公之図 白河市歴史民俗資料館
正住院障壁画 紙本墨画・著色 襖60面・壁貼付3面の計63面 正住院 (常滑市)本堂 1837年(天保8年) 蘭亭曲水図襖に款記「天保八秊歳次鄭酉春三月上巳後十日落成 梅華秦隆古」/「隆古」「雪庵居士」印 愛知県指定文化財。内訳は蘭亭曲水図襖8面、秋景山水図襖4面、冬景山水図襖4面、山水図壁貼付3面、龍図襖4面、獅子図襖4面、虎図襖4面、葡萄に栗鼠図襖4面、蝦蟇鉄拐図襖4面、群馬図襖4面、連池図襖4面、武蔵野図襖8面、枯木叭々鳥図襖4面、白鷺図襖4面。画題は、山水・人物・花鳥・走獣と漢画の画題を網羅し、武蔵野図というやまと絵画題を加えるなど、隆古の画技をお披露目しているかのようである。一部に大画面を制御しきれていない未熟な面も見られるが、のちにやまと絵に傾倒していく転換点の作品であり、大量の襖絵が当初の状態をほぼ保っている点が貴重[1]
魁之画 たてやまフィールドミュージアム
盲人渡橋之画 たてやまフィールドミュージアム 1847年(弘化4年)
頼朝富士の巻狩の図 紙本著色 六曲一双 個人 栃木県指定文化財
人物図 本因坊秀策囲碁記念館
歌仙 紙本淡彩 1幅 東京芸術大学大学美術館
秋景山水図 東京芸術大学大学美術館
雨中大井川・雪中箱根 紙本著色 双幅 163.6x60.5(各) 島田市博物館 1856年(安政3年)[2][3]
月下過雁之図 田原市博物館
重盛諌言図 福島県立博物館

脚注

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  1. ^ 愛知県史編さん委員会編集 『愛知県史 別編 文化財2 絵画』 愛知県、2011年3月31日、pp.452-455。
  2. ^ 日本画 - 島田市博物館
  3. ^ 島田市博物館編集発行 『島田市博物館収蔵品目録』 2006年3月30日、p.25。

参考文献

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  • 川延安直『ふくしま近世の画人たち』(歴春ふくしま文庫76)歴史春秋社 2001年
  • 栃木県立博物館編集 『第一〇八回企画展 江戸文人画の彩り~高久靄厓とその師友~』 栃木県立博物館友の会、2014年3月、ISBN 978-4-88758-076-3

関連項目

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