髄膜刺激症状
表示
(項部硬直から転送)
髄膜刺激症状(ずいまくしげきしょうじょう、英: syndrome of meningeal irritation, meningism)は、クモ膜下出血や髄膜炎などで髄膜が刺激されている時に出る症状[1]。髄膜刺激症候、髄膜刺激徴候ともよぶ。
原因
[編集]脳脊髄液に感染が起きたときや、出血などで髄膜が刺激されると本症を来たす。 クモ膜下出血や髄膜炎のほか、単純ヘルペス脳炎[2]・日本脳炎[3]などで見られる症状。 羞明(しゅうめい)、頭痛、嘔気、嘔吐、項部硬直、ケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候などが見られる。
種類
[編集]髄膜刺激症状には以下のものがある。
- 項部硬直(nuchal rigidity, nuchal stiffness)
- 項部硬直(こうぶこうちょく)は仰臥位の患者の頭部を持ち上げると抵抗がある事。
- 病態
- 鑑別
- ケルニッヒ徴候(Kernig's sign) : 膝関節が進展できない場合に陽性とし、決して疼痛の有無で判定しない。
- ブルジンスキー徴候(Brudzinski's sign)
- neck flexion test : 自発的に頸部を前屈させ、下顎が胸まで十分に近接するようであれば正常。前屈が困難であれば異常。
- ジョルト・サイン(jolt accentuation of headache) : 子どもが「イヤイヤ」をするように、素早く頭部を左右に振り、頭痛が増悪するようであれば異常。2~3回/秒の早さで頭を水平方向に回してみて、頭痛が増悪すれば陽性とする[6]。
検査・徴候 | 感度 | 特異度 | 陽性的中率 | 陰性的中率 | 陽性尤度比 | 陰性尤度比 |
---|---|---|---|---|---|---|
項部硬直[7] | 30% | 68% | 26% | 73% | 0.94 | 1.02 |
ケルニッヒ [7] | 5% | 95% | 27% | 72% | 0.97 | 1.0 |
ブルジンスキー [7] | 5% | 95% | 27% | 72% | 0.97 | 1.0 |
ジョルト・サイン | 97.1%[8] | 60%[8] | 5.52[9] | 0.95[9] |
脚注
[編集]- ^ 細菌性髄膜炎の診療ガイドライン作成委員会編『細菌性髄膜炎の診療ガイドライン』、医学書院、2007年、p.93
- ^ 細菌性髄膜炎の診療ガイドライン作成委員会編『細菌性髄膜炎の診療ガイドライン』、医学書院、2007年、p.31
- ^ 田崎ら (2004) p.425
- ^ 田崎ら (2004) p.427
- ^ 田崎ら (2004) pp.37-39, p.288
- ^ 細菌性髄膜炎の診療ガイドライン作成委員会編『細菌性髄膜炎の診療ガイドライン』、医学書院、2007年、p.6
- ^ a b c Thomas, KE; Hasbun, R; Jekel first3=J; Quagliarello, VJ (Jul 2002). “The diagnostic accuracy of Kernig's sign, Brudzinski's sign, and nuchal rigidity in adults with suspected meningitis” (full text). Clin Infect Dis 35 (1): 46-52. doi:10.1086/340979. PMID 12060874 .
- ^ a b Uchihara, T; Tsukagoshi, H (Mar 1991). “Jolt accentuation of headache: the most sensitive sign of CSF pleocytosis”. Headache 31 (3): 167-171. PMID 2071396.
- ^ a b Waghdhare, S; Kalantri, A; Joshi, R; Kalantri, S (Nov 2010). “Accuracy of physical signs for detecting meningitis: a hospital-based diagostic accuracy study”. Clin Neurol Neurosurg 112 (9): 752-757. doi:10.1016/j.clineuro.2010.06.003. PMID 20615607.
出典
[編集]田崎義昭、斎藤佳雄著、坂井文彦改訂『ベッドサイドの神経の診かた』改訂16版、南山堂、2004年。