コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

金主愛

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
金ジュエから転送)

金 主愛
김주애
2023年の金主愛
生誕 金主愛
2013年(10 - 11歳)
朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
住居 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国平壌
国籍 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
別名 尊敬するお子様
新星女将軍
偉大嚮導者
民族 朝鮮民族
市民権 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国
教育 不明
職業 なし
朝鮮労働党総書記(可能性)
時代 現在
テレビ番組 朝鮮中央テレビ
肩書き 朝鮮の新星女将軍
前任者 金正恩
宗派 無神論
金正恩(父)
李雪主(母)
家族 白頭血統
テンプレートを表示
金主愛
各種表記
チョソングル 김주애
漢字 金主愛
発音: キム・ジュエ
日本語読み: きん・しゅあい
RP式
MR式
Gim Juae
Kim Chu-ae
テンプレートを表示

金 主愛[注 1](キム・ジュエ、김주애2013年 - )は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の最高指導者金正恩の娘。2023年には朝鮮の新星女将軍といった称号が付与されたとされている[1]

略歴

[編集]

金主愛は、朝鮮労働党総書記金正恩とその妻である李雪主の間に生まれた[2]。一般に2013年生まれと考えられている[3]。李は2012年に北朝鮮メディアから著しく姿を消していたが、後に妊娠に原因があったと報じられた[4][5]。金主愛の名は、北朝鮮国外にはその翌年、金正恩と個人的に近しい関係にあるデニス・ロッドマンによって北朝鮮訪問後に明らかにされた[6][7]。ロッドマンは正恩を「良き父親(good dad)」と褒めた[7][5]。また、主愛には、2010年に生まれた兄と2017年に生まれた弟もしくは妹がいると思われる[8][4]。主愛が公の場に初めて現れたのは2022年11月のことであった[2][3]

国営メディアは最初のころは、金正恩の「愛するお子様」と呼んでいたが、すぐのちに「尊敬するお子様」と形容し始めた[9][10]。「尊敬する」は、金正恩をはじめとする最も位の高い人物にしか用いられない[10]。2023年2月7日には、朝鮮人民軍創建75周年記念宴会に参加し、翌日の朝鮮中央通信(KCNA)は、正恩とのツーショットや金夫妻や幹部に囲まれて中央に座る写真を掲載した[11]。北朝鮮が主愛の存在感を強調していることについて、大韓民国国家情報院は、「世襲政治を続けるという正恩氏の意志を示すもの」と報告した[12]。加えて、一部の専門家は、主愛が正恩の後継者の一人に選ばれたと分析している[12]。2023年11月27日にはラジオ・フリー・アジアが北朝鮮国内からの情報として、11月下旬の軍事偵察衛星の打ち上げ成功を祝う記念講演会の際に朝鮮労働党組織指導部が主愛を『朝鮮の新星(金主愛)女将軍』と呼称し、神格化が始まったと報じており[13]、韓国統一部は綿密に様子を見守る立場をとったものの、脱北者である韓国の太永浩国会議員は報道が事実ならば後継手続きが終わったことを意味するとの解釈を披露した[1]。2024年3月16日にKCNAが主愛に対し、通常は高位の指導者を示す『偉大嚮導者』という敬称を使用したことも、正恩の有力な後継者と見做されている証左と大韓民国の北朝鮮専門家に受け止められた[14]

一方、男子の世継ぎが居ることや、時期尚早であることなどを理由に金主愛の後継者説を疑問視する声もある[15]。元大韓民国国家情報院長の朴智元は、金正恩が金主愛を溺愛していることは認めつつも後継者とする説を疑問視し、金主愛を表に出しているのは本命の息子の留学を隠蔽するためであるとの説をたびたび唱えている[16][17]

金一族家系図

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 漢字の書き方は現在未公開。この書き方は父の名を輩行字とする金氏家族の伝統に基づいて、母の李雪主の「主」を使用する。

脚注

[編集]
  1. ^ a b “金正恩氏の娘に「朝鮮の新星」の称号…脱北外交官出身韓国与党議員「事実なら後継手続き終わったもの」”. 中央日報. (2023年11月29日). https://japanese.joins.com/JArticle/312052 2023年11月29日閲覧。 
  2. ^ a b Yoon, John (2022年11月19日). “Kim Jong-un Takes His Daughter to Missile Test Launch” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2022/11/19/world/asia/kim-jong-un-daughter-missile-launch.html 2023年2月9日閲覧。 
  3. ^ a b “Kim adopts trappings of royalty as he presents ‘princess’ to North Korea”. Financial Times. (2022年12月3日). https://www.ft.com/content/e61b7bf0-3bcb-4d71-a764-12167c1673fc 2023年2月9日閲覧。 
  4. ^ a b Mark, Michelle. “What we know about Kim Jong Un's 3 possible heirs” (英語). Business Insider. 2021年8月6日閲覧。
  5. ^ a b ミシェル・マーク「体制は磐石? 金正恩氏の子どもとされる3人、その謎に満ちた生活」『BUSINESS INSIDER』2018年1月6日。2023年2月11日閲覧。
  6. ^ 「金正恩委員長の娘キム・ジュエ、国家行事に登場か…妻の李雪主氏が直接ケア」」『中央日報』2022年9月26日。2023年2月11日閲覧。
  7. ^ a b Walker, Peter (2013年9月9日). “Dennis Rodman gives away name of Kim Jong-un's daughter” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/world/2013/sep/09/dennis-rodman-north-korea-baby-name 2023年2月9日閲覧。 
  8. ^ “North Korean leader Kim Jong-un's wife makes first appearance in a year” (英語). BBC News. (2021年2月17日). https://www.bbc.com/news/world-asia-56093689 2021年8月6日閲覧。 
  9. ^ 金正恩の娘は真ん中、妹・金与正は群衆の中に…4代世襲メッセージか」『中央日報』2023年2月9日。2023年2月11日閲覧。
  10. ^ a b Mackenzie, Jean (2023年2月9日). “Succession questions raised by presence of Kim’s daughter” (英語). BBC News. https://www.bbc.com/news/world-asia-64581465 2023年2月9日閲覧。 
  11. ^ 牧野愛博「金正恩氏の娘めぐる動静報道、異例の5回目 中央に座る写真も…親ばか?深謀遠慮?」『朝日新聞グローブ』2023年2月10日。2023年2月11日閲覧。
  12. ^ a b 「尊敬するお子様」と娘紹介 正恩氏後継者との分析も―北朝鮮」『時事通信』2023年2月9日。オリジナルの2023年2月10日時点におけるアーカイブ。2023年2月11日閲覧。
  13. ^ “북, ‘조선의 샛별’ 김주애 신격화 공식 선포”. ラジオ・フリー・アジア. (2023年11月27日). https://www.rfa.org/korean/in_focus/nk_nuclear_talks/kjaidolization-11272023091706.html 2023年11月29日閲覧。 
  14. ^ “正恩氏の娘を「偉大嚮導者」と報道 朝鮮中央通信”. AFPBB News. フランス通信社. (2024年3月17日). https://www.afpbb.com/articles/-/3510192 2024年3月17日閲覧。 
  15. ^ 辺真一 (2023年2月9日). “第2子の金主愛は「金正恩の後継者」ではない!”. Yahoo!ニュース. 2023年9月21日閲覧。
  16. ^ “韓国情報機関元トップ 正恩氏娘は「後継者ではない」=「留学中の息子隠している」”. 聯合ニュース. (2024年7月30日). https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240730001500882 2024年10月30日閲覧。 
  17. ^ “朴智元元韓国国情院長「キム・ジュエは後継者でない、留学中の息子いる」”. 中央日報. (2024年10月30日). https://japanese.joins.com/JArticle/325588 2024年10月30日閲覧。