コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

詩と思想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
詩と思想新人賞から転送)

詩と思想』(しとしそう)は、土曜美術社出版販売が発行している月刊雑誌。1972年の創刊。総合商業詩誌であると同時に、編集は詩人たちが行うことで終始一貫しており、全国の詩人・詩愛好者のための共同の詩的広場作りを意図する運動誌的性格をも兼ね備えている。国会図書館の雑誌記事索引採録誌に認定されている。

歴史

[編集]

第1次

[編集]

1972年10月創刊。発行同人・井手則雄村岡空澤村光博西一知寺門仁笛木利忠相沢史郎。これらの詩人が自己資金で土曜社を設立し、詩と批評の新たな総合詩誌を創刊。内容は「列島」[注 1]現代詩」(現代詩の会)の内実の継承と公平な詩壇ジャーナリズムの確立。1975年2月まで刊行。後期には出海溪也編集発行、日本電通社発行所ともなる。

第2次

[編集]

1期 1979年1月創刊。発行人・笛木利忠、発行所・土曜美術社(新宿区新宿)。1979年7月号(第三号)から、編集スタッフとして加藤幾惠が参加。1979年3月3日から15日まで、エスパース土曜にて「詩と思想第1回詩画展」開催、以後継続。1981年3月号にて第1回詩と思想新人賞(後述)発表。第1回受賞者は松井啓子松尾茂夫。現在も継続。
2期 1985年3月(30号)より発行元・土曜美術社(新宿区市谷薬王寺町)、詩人たちの手による編集委員会発行となる。39号までの編集委員は、途中の辞任者も含めて高良留美子森田進しま・ようこ木津川昭夫佐久間隆史清水和子宇野恵介。編集スタッフとして一色真理中村不二夫岡島弘子雨宮慶子他。1988年3月(40号)より、雨宮、中村が編集委員に加わり、月刊態勢に戻る。以後、現在まで月刊態勢を堅持している。

第3次

[編集]

1989年4月(52号)より小海永二が編集長に就任。編集委員会、編集顧問、購読会員からなる新制度によって現在まで刊行。1992年9月号(90号)より土曜美術社出版販売発行となる。加藤幾惠取締役社長に就任。小海が編集顧問に就任後、森田進、中村不二夫、葵生川玲が編集長を歴任。この間の編集委員は、麻生直子小川英晴、佐久間隆史、一色真理、佐川亜紀。2002年より、麻生秀顕中島悦子沢田英輔が編集スタッフとして参加。加藤幾惠急逝後の社主は高木祐子。 この期間の編集方針は、とくに詩壇の公器として公平な視点からの地方性の掘り起こし、既成の詩壇ジャーナリズムにとらわれない詩史の書き直し、美術・音楽との接点、マイノリティへの視座などに注力。

第4次

[編集]

2008年3月(269号)より一色真理が編集長に就任。編集委員は中村不二夫、小川英晴、佐川亜紀、長谷川忍伊藤浩子。編集方針として「社会性」「地域性」「国際性」を三本柱とし、定期購読会員を中心とした世代や傾向に偏らない総合月刊詩誌として土曜美術社出版販売から刊行。 編集参与[1]は、秋吉久紀夫有馬敲石原武内山登美子大井康暢他。

第5次

[編集]

2018年3月(370号)より中村不二夫が編集長に就任。編集委員は中村不二夫、小川英晴、長谷川忍、青木由弥子青山いさお、中村純。2021年より川中子義勝も参加。

主な特集

[編集]

詩と思想新人賞

[編集]

1980年創設の新人賞。応募締め切り日までに送られた詩作品のなかから1篇が選出される。休止をはさみながらも2020年現在まで続いている賞である。

賞として単行詩集を無料出版する権利が贈られる[注 2]判型はA5判上製本96ページと指定されており、受賞後一冊目の単行詩集出版権は少部数の私家版を除き土曜美術社出版販売に帰属する。応募資格は締切日時点で刊行詩集が2冊(電子書籍および私家版は除く)以内の者。そのため既に出版社から詩集を出している詩人が選ばれることもある[注 3]

歴代受賞者

[編集]

記載年は選考・結果発表年で、授賞式は翌年1月。(12月号掲載)

外部リンク

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 主にプロレタリア文学系の詩人たちの集合した詩誌で、「荒地」と並び戦後詩の出発点とされる。1952年から1955年にかけて発行。主な同人は関根弘長谷川龍生井上俊夫木島始黒田喜夫菅原克己御庄博実などで、「列島派」と称された。
  2. ^ 詩集は出版社から刊行する場合でも著者が資金を捻出するいわゆる自費出版が一般的であるため、それを伴わない企画出版であることを表すために「無料出版」と書いているのだと思われる。
  3. ^ たとえば第25回受賞者の及川俊哉は2009年に詩集『ハワイアン弁財天』を思潮社から出している。

出典

[編集]
  1. ^ 『詩と思想』奥付「編集参与」『詩と思想』第292巻第3号(2011年1・2月)、土曜美術社出版販売、p.233。 
  2. ^ 詩と思想2019年12月号

関連項目

[編集]