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モーメント (数学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
積率から転送)

数学確率論および関係した諸分野におけるモーメント (moment) または積率(せきりつ)とは、物理学におけるモーメントを抽象化した概念である。

実変数 x に関する関数 f(x)n 次モーメント は、

で表される。妥当な仮定の下で高次モーメント全ての値から関数 f(x) は一意に決定される。f を密度関数とする測度重心を表している。

関数 f(x)c 周りの n 次モーメント は、

で表される。

重心周りのモーメント μn = μ(μ)n中心モーメントまたは中心化モーメントといい、こちらを単にモーメントということもある。

確率分布のモーメント

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確率密度関数 f(x) のモーメントには、次のような要約統計量としての意味付けがある。

  • 全測度は1
  • x平均値
  • 分散標準偏差
  • 歪度
  • 尖度

変量統計のモーメント

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変量統計における、データ x1, …, xN のモーメントの定義を2つ挙げる。1つ目の定義では

と表される。要約統計量は確率分布の場合と同様である。

もう1つの変量統計のモーメントの定義では

と表される。

この定義による変量統計のモーメントには、確率密度関数のモーメントに似た、次の性質がある。

  • は平均値。
  • は分散、 は標準偏差。
  • は歪度。
  • は尖度。

画像のモーメント

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2変数関数 f(x, y)(m + n) 次モーメント は、

または、デジタル画像に対しては、

で表される。

2変数関数のモーメントは、画像の特徴抽出に利用される。

画像のモーメントには、次のような性質がある。

  • 面積(ピクセル値の総和。二値画像などでピクセル値が一定ならば面積を意味する。)。
  • 重心
  • 慣性主軸(周りの2次モーメントが最小になる直線)は重心を通り、傾きは で、θ を満たす。
  • 慣性主軸を x 軸に一致させれば、中心モーメントは平行移動・回転に対し不変、中心モーメントを で割った値は拡大縮小に対し不変。

モーメントは同様に、多変数関数に拡張できる。

参考文献

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  • Weisstein, Eric W. "Moment". mathworld.wolfram.com (英語).
  • アンドレイ・コルモゴロフ 著、根本伸司 訳『確率論の基礎概念』(新装版)東京図書、1988年。ISBN 978-4489002700 
  • 舟木直久『確率論』朝倉書店〈講座数学の考え方〉、2004年。ISBN 978-4254116007