コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神奈川フィルから転送)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
基本情報
出身地 日本の旗 日本
神奈川県横浜市
ジャンル クラシック音楽
活動期間 1970年 -
公式サイト 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
メンバー 音楽監督
沼尻竜典
特別客演指揮者
小泉和裕
名誉指揮者
現田茂夫
首席ソロ・コンサートマスター
石田泰尚
コンサートマスター
大江馨
旧メンバー 桂冠芸術顧問
團伊玖磨
桂冠指揮者
山田一雄

公益財団法人神奈川フィルハーモニー管弦楽団(かながわフィルハーモニーかんげんがくだん、英語: Kanagawa Philharmonic Orchestra)は、神奈川県に存在するプロオーケストラである(神奈川県内のプロオーケストラとしては、他に横浜シンフォニエッタ東京交響楽団が存在する)。横浜市保土ケ谷区にあるかながわアートホールを練習場とする。事務局はアートホール内にあったが、現在横浜市中区元浜町に移転している。横浜みなとみらいホールで、年9回の定期演奏会を開いているほか、県内の小中学校等で行われる移動音楽教室や、テレビ朝日の「題名のない音楽会」やNHKの「歌謡チャリティーコンサート」などの音楽番組にも出演している。日本オーケストラ連盟正会員。

沿革

[編集]

指揮者陣

[編集]

桂冠芸術顧問

[編集]
  • 團伊玖磨 - 1996年から2001年まで芸術顧問をつとめ、2001年5月の没後に桂冠芸術顧問の称号が献呈された。

桂冠指揮者

[編集]

名誉指揮者

[編集]

音楽監督

[編集]

特別客演指揮者

[編集]

首席ソロ・コンサートマスター

[編集]

ポップス・オーケストラ音楽監督

[編集]

神奈川フィル合唱団音楽監督

[編集]

歴代指揮者

[編集]

特色

[編集]
  • オペラへの取り組み
横浜シティオペラ首都オペラとの共演で、歌劇への取り組みを行ったり、近年、びわ湖ホールと神奈川県民ホールとの共同制作の企画にも演奏を提供している。創立30周年を記念して結成された「神奈川フィル合唱団」を率いて、プッチーニの歌劇「トゥーランドット」、(第189回定期演奏会)「蝶々夫人」(第200回定期演奏会、いずれも演奏会形式)などを上演している。
  • 古典派音楽の演奏会
首席客演指揮者に迎えたシュナイトの指揮で、かつて定期演奏会の会場として使用していた名ホール・神奈川県立音楽堂での特別演奏会「シュナイト・音楽堂シリーズ」を2003年1月から開催している。
2009年4月より常任指揮者となった金聖響によりピリオド奏法のアイディアを取り入れた古典派の演奏を定期演奏会でも行っている。
  • ロマン派音楽の演奏会
2010年3月より神奈川県立音楽堂で“聖響音楽堂シリーズ「ロマン派の響き」”全4回シリーズで前期ロマン派のシューベルトメンデルスゾーンを取り上げている。また定期演奏会でも現在集中的にマーラーを取り上げている。
  • ポップス・オーケストラとしての神奈川フィル
先にあげた「題名のない音楽会」に2003年から出演のほか、作曲家でもある青島広志を指揮者に迎えた「ブルーアイランド氏のおしゃべりコンサート」も、夏休みの時期に行っている。ハリウッド映画音楽作曲家の第一人者ジェリー・ゴールドスミスを単独で招聘し、過去5回の特別演奏会を開いたこともある。2002年4月より藤野浩一をポップス・オーケストラ音楽ディレクターとして迎え、この分野でも充実を図っている。
  • 演奏会のプログラミング
もともと創立当時から保守的名曲路線ではあったが、外山雄三の音楽監督就任により現代日本の作曲家も積極的に演奏されるようになった。外山退任後、團=手塚体制でもその方向は継続され、更に現田体制まで世界の近現代作品までプログラムに載せるまでに発展した。シュナイト音楽監督就任により一気に独墺系に傾斜し、現代作品がプログラムから消えた一方、ベートーヴェンブラームスブルックナーを扱った。金体制になってからは新作初演もあるが再び基本、名曲路線に戻り、2010-11シーズンはマーラー・イヤーであることもあり、2シーズンにわたりマーラーを集中的に取り上げている。

神奈川フィル楽団員解雇争議

[編集]

2012年4月に「演奏技術が著しく低いと沼尻竜典客演指揮者と金聖響常任指揮者から指摘があった。演奏中の態度も極めて悪い。度重なる呼出や始末書の提出要求に応じなかった」などとして楽団より解雇された2人のコントラバス楽団員が、楽団に対し、解雇無効、地位保全と賃金の支払いを求めて横浜地裁へ提訴した[3][4]。申し立ては2013年8月1日付。楽団側は解雇の正当性を主張し、楽団員側は「沼尻指揮者の指摘はすべて伝聞に基づくものであり、金指揮者は陳述書を提出するまで一度の指摘もしていない、演奏中の態度が悪いとしたのは対立する組合員一人のみで観客から苦情が出たことはない、呼出・始末書の未提出は各人1回であり、すでに戒告処分を受けている」などとして、解雇が2人の労働組合活動(神奈川県公務公共一般労働組合神奈フィル分会の組合員[5])を理由にした"不当労働行為"にあたると主張した[6][4][7]

並行して神奈川県労働委員会へも労働法違反があるかどうかの調査審議が依頼され(労働審判手続)、2014年7月に県労働委員会は楽団の不当労働行為と2人への救済命令を出した[8]。ブルーダル基金の成功により公益財団法人となったばかりの楽団は、「解雇は将来を見据えた真の健全化への苦渋の決断、理解してほしい」とコメントし、直後に上位組織である中央労働委員会へ再審査を申し立てた[9]

2015年11月26日、横浜地裁は「解雇は社会通念上相当ではなく、解雇権の乱用」であるとして、解雇無効と未払い賃金計約3000万円の支払いを楽団側に命じた[6]。一方で、「結論は乱用だが、国内有数のコントラバス奏者に精神的苦痛を与え退団に追い込むなど、就業規則上の解雇理由に当たる事実も存在する」として、楽団員側が主張していた"不当労働行為"には該当しないとの判断を下した[6]

楽団側は地裁判決を不服として、中央労働委員会および東京高裁へ上訴した[5]が、中央労働委員会の勧告に従い、楽団側が楽団員の解雇を撤回して解決金を支払うこと、楽団員が解雇の撤回後に合意退職することなどを盛り込んだ和解が2016年4月に成立した[5]

類似事件として日本フィルハーモニー交響楽団の「日フィル争議」を参照。

主な演奏会

[編集]

関連記事

[編集]

脚注

[編集]

外部リンク

[編集]