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田村水鴎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
田村水鷗から転送)

田村 水鷗(たむら すいおう、生没年不詳)とは、江戸時代浮世絵師

来歴

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師系・経歴不明。江戸の人ともまた京都の人ともいわれるが定かではない。画風は土佐派住吉派を本格的に学んだあとが見られ、さらに菱川師宣の影響があるとされる。作品にある印章から名は節信であり、観董、无声詩と号したことが知られる。また「元吉」の印章がある作があり、これは俗称かといわれている。作画期は天和から享保の頃にかけてとされ、肉筆画を残す。美人画の作が多いが、若干ながら「小督と仲国図」のように故事に題材を求めたものもある。田中達也の指摘では「節信」の印章のある作は師宣風、「无声詩」の印章のある作は土佐派の風が色濃いとされ、これはそれぞれの印章を使った時期が違うことによるかという。

作品

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作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 落款 備考
水辺猫を曳く美人図 絹本着色 1幅 奈良県立美術館 無款
鉢の木図 紙本着色 1幅 城西大学水田美術館 無款
小督と仲国図 絹本着色 1幅 浮世絵太田記念美術館 白文方印(印文不明)
桜下縁先美人図 絹本着色 1幅 39.4×39.0 東京国立博物館 1716-36年(享保年間)頃 落款「水鷗筆」
「千山」白文方印
月下舟遊び美人図 絹本着色 1幅 43.4×58.9 東京国立博物館 18世紀初頭 無款
羽根つき図 紙本着色 1幅 43.3×55.8 東京国立博物館 「无声詩」朱文方印
桜下美人図 絹本着色 1幅 ニューオータニ美術館 白文方印(印文不明)
桜下遊楽図 紙本着色 1幅 出光美術館
文読美人図 絹本着色 1幅 出光美術館
五美人観桜図 紙本着色 1幅 鎌倉国宝館
室内遊楽図屏風 紙本金地着色 六曲一隻 82.9x224.7 千葉市美術館 1704-16年(宝永-正徳期)頃 無款
美人立姿図 紙本着色 1幅 日本浮世絵博物館 「節信」朱文鼎印
美人訪盧図 絹本着色 1幅 44.8×63.0 熊本県立美術館(今西コレクション) 落款「水鷗筆」
「无声詩」朱文方印
梅軒翫書図 絹本着色 1幅 39.0×54.1 熊本県立美術館(今西コレクション) 落款「水鷗筆」
「无声詩」朱文方印
紅梅美人図 紙本着色 1幅 41.0x56.0 大英博物館 「節信」朱文鼎印
桜下美人図 絹本着色 1幅 81.5 x 30.8 ボストン美術館 落款「水鷗筆」
若衆と姫君図 絹本着色 1幅 50.4x82.2 クリーブランド美術館 落款「水鷗筆」
Beauty and an Actor as Mitate of Prostitute Tora-gozen and Soga no Jūrō 絹本着色 1幅 37x57.2 ミネアポリス美術館 1710年頃 落款「水鷗筆」
立美人図 紙本着色 1幅 80x34.5 ミネアポリス美術館 1715年頃 落款「水鷗筆」
遊楽図巻 1巻 個人

参考文献

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  • 菊地貞夫 『出光美術館選書9 肉筆浮世絵』 出光美術館、1976年
  • 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
  • 楢崎宗重編 『肉筆浮世絵Ⅰ(寛文~宝暦)』〈『日本の美術』248〉 至文堂、1987年 ※73頁
  • 吉田漱 『浮世絵の基礎知識』 雄山閣、1987年
  • 吉田漱 『浮世絵の見方事典』 北辰堂、1987年
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(1) 東京国立博物館Ⅰ』 講談社、1994年