「レンタルビデオ」の版間の差分
m Bot作業依頼: エイベックスのリンク修正依頼 - log |
|||
31行目: | 31行目: | ||
2008年までアニメ作品でPPTシステムの採用は少数であったが、2009年以降[[ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (日本)|ソニー・ピクチャーズ]]がTV放映作品をPPTで供給を開始以降は増加。 |
2008年までアニメ作品でPPTシステムの採用は少数であったが、2009年以降[[ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (日本)|ソニー・ピクチャーズ]]がTV放映作品をPPTで供給を開始以降は増加。 |
||
2010年以降[[ |
2010年以降[[エイベックス]]、[[NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン|ジェネオン]]の一部のTV放映作品にでPPTによる供給が開始されている。 |
||
2011年から大手映画会社[[東宝]]、2012年に[[松竹]]と[[ワーナー ブラザース ジャパン|ワーナー]]が参入し供給本数に対する比率が増加しつつある。 |
2011年から大手映画会社[[東宝]]、2012年に[[松竹]]と[[ワーナー ブラザース ジャパン|ワーナー]]が参入し供給本数に対する比率が増加しつつある。 |
2023年9月12日 (火) 01:29時点における版
レンタルビデオは、各種作品が記録されているビデオテープ[注 1] 、DVD、Blu-ray Disc[注 2]などを賃貸するサービスである。
概要
元来レンタルビデオ業はレンタルレコード業に端を発している。レンタルレコード業は、レコードを借りた本人が自宅でカセットテープに録音することを暗黙の前提にしており、当初、著作権侵害の可能性があり、レンタル業その物が違法であると問題視されていたが、利用者の増大に伴いレコード業界と和解、レコード業界にレンタルレコード店が一定の料金を支払うことにより決着した。その後、映画ビデオにおいてもレンタルが始まった。ビデオの発売時期は、映画興行(ロードショー)の時期よりかなり遅れるとはいえ、旧作品を名画座よりも安価に自宅で鑑賞できることや、ソフトを購入する場合と比べれば、さらに割安感があったことから、急速に売上を拡大した。家電メーカーは、再生機としてのビデオテープレコーダの売上を伸ばす。
レンタルビデオ店は、様々なジャンルのビデオが並べられている。最新の人気映画以外に大きな場所を占めているジャンルに、成人向けアダルトビデオがある。アダルトビデオはレンタルの回転が速くて利益率も高いため、レンタルビデオ店の経営にたいへん重要な位置を占めており、アダルトビデオ専門のレンタルビデオ店も存在する。初期は、小西六写真工業がDPE特約店網を使い、カタログ注文形式によるレンタルを試みたが、割高で煩雑であり、品揃えが充実していないと顧客満足を与えにくいことなどから短命に終わった。このスタイルは遥か後年のネット時代に呼応している。
レンタル期間は、一般に「2泊3日」「7泊8日」などと表現される。7泊8日は「貸し出し日の翌週の同曜日の閉店時間まで」となるが、閉店時間が過ぎたあとも「返却ボックス」と呼ばれる時間外返却受付サービスが行われていることが多いため、最大で「返却予定日の翌朝の開店時間前まで」が貸し出し期間となる。24時間営業の店舗の場合でも、それに準じて朝9 - 10時頃に貸し出し期間の区切りを設けている。貸し出し時に決められた期間を超過して返却すると、延滞料金を徴収される。[1]来店の手間を軽減するため、郵便などを用いた宅配レンタルの楽天などもある。
歴史
草創期
1977年12月、ロサンゼルスの12011 Wilshire BoulevardにGeorge Atkinsonが最初のレンタルビデオ店を開業したと言われるが、同時期にニューヨークでレンタルビデオ店を開業した Arthur Morowitz の方が早かったとの説もある[2]。1978年に25ドルの会費と3泊5ドルでビデオを貸す Video Movie Club of Spring Field が作られ、これは後に米国最大のビデオレンタルチェーンのひとつ Family Videoとなった[2]。
PPTシステム
レンタルのビデオテープが高価であることから、1990年頃からPPT (Pay Per Transaction) 方式が登場した。
これは映画の興行収入モデルをベースにしており、映画制作会社からソフト(=フイルム)の使用許諾を得たリース会社(=配給会社)は、レンタルビデオ店(=映画館)に対してソフトのリースを行い、レンタルビデオ店は貸出実績(=入場料収入)に応じて売上の中からロイヤリティをリース会社に支払い、リース会社は制作会社へ使用料を支払う。
このシステムにおいて、制作会社は通常の販路ではソフトの売上が期待できない作品(いわゆるB級映画や劇場未公開作品)でもある程度の収入が期待でき、作品ごとに貸出回数や客層などの統計情報を得られるメリットがある。レンタルビデオ店では、1本あたり平均8000円 - 10000円かかる商品が1000円、条件によっては0円(ただし通常と分配率が異なる)で仕入れられるため、資産として購入するより安価にソフトを揃えることができる。著名な作品は大量に投入して顧客の満足と売上を確保できるとともに、知名度の低い作品も低リスクで幅広いジャンルの投入が可能となり、バラエティに富んだ売場を構築することで競合店との差別化を図ることができる。リース期間終了時に売上の良いソフトを買い上げて(1本1000円 - 1500円程度。この時点でロイヤリティの支払は終了する)自店の在庫とし、人気の無いソフトは返却して不良在庫としないメリットもある。
その一方で、通常は仕入にかかったコストを償却すれば以後の売上は全て店の利益になるが、リース期間中は延滞料金収入も含めた売上から契約に応じて最低補償額以上のロイヤリティを支払わなければならないこと (貸出料金が一定の金額よりも下がらない理由のひとつ)、貸出実績を管理・報告する都合上POSシステムが必須となり導入にある程度の費用がかかること、そしてレンタルショップ側に有利な条件でリースされる作品は著名なものが少ない、などのデメリットもある。
販売するメーカにもデメリットがあり、供給本数に対してレンタル需要が低いと利益率が低くなる。
PPTシステム対象作品は洋画・邦画劇場公開作品中心であり、アニメ作品においてはPPTの利用は少ない。
2008年までアニメ作品でPPTシステムの採用は少数であったが、2009年以降ソニー・ピクチャーズがTV放映作品をPPTで供給を開始以降は増加。
2010年以降エイベックス、ジェネオンの一部のTV放映作品にでPPTによる供給が開始されている。
2011年から大手映画会社東宝、2012年に松竹とワーナーが参入し供給本数に対する比率が増加しつつある。
大手映画会社系列では中小ビデオメーカがDVD発売元となり大手企業の映画会社の販売網でPPT方式を利用する形態となっていることが多い(例:たまゆら (アニメ) 発売元:竹書房、販売:松竹)。
PPTはレントラックジャパンが用いた呼称だが、業界内ではある程度通用する。レンタルチェーンの GEO でも当初は PPT と呼称していたが、現在では「レベニュー・シェアリング(RSS - Revenue Sharing System)」の名称を使用している。RSS の仕組みはPPTに似ている。
貸出メディアの変化
DVDの登場
2000年頃から、レンタルのメディアがビデオテープからDVDへ移行が開始した。レンタルレコード店でレコードからコンパクトディスクにメディアが移行した時と同様に、レンタルビデオ店は、既にビデオテープで保有していた過去の名画などの資産を、改めてDVDで揃え直す必要に迫られた。
DVDは省スペースで、ビデオテープのように巻き戻す手間が必要ないこと、読み出しが非接触式のため繰り返し再生しても劣化し難く画質や音質が良いこと、洋画は字幕や吹替毎に在庫を持つ必要がないなど、ユーザーとレンタルビデオ店双方にとって利点があった。これらの利点は大型店舗で顕著である。
DVD以外の規格では、2005年7月からUMD Videoのレンタルも開始されたが、再生機器はPSPのみで普及しなかった。
DVDはビデオテープに比して物理的障害は少ないが、データ記録面が常に露出しているため1つの傷が再生に致命的な影響を及ぼすことがある。粗悪な再生機器に起因する再生不可や想定外の動作なども発生する。
軽微な傷ならば研磨で多くの場合再生するが、信号面の保護層が薄く1 - 2回が限度である。製造時にハードコーティングを施してメーカー共通でHCマークを表示する商品も現れた。
ブルーレイディスクの登場
北米では2007年6月にブロックバスターが、2008年2月にNetflixがBlu-ray Discの本格導入を発表した。国内では2007年12月、ゲオらにより試験レンタルが行われ、2008年3月17日にTSUTAYA、GEO両社により、ブルーレイレンタルの全店舗導入が発表される。GEOは4月12日以降にワーナー作品48タイトル、TSUTAYAは主要都市10店舗ワーナー作品45タイトルで開始し、2008年夏までに全店舗で導入した。
だがブルーレイディスクの普及が鈍いことから2020年2月現在、多くのTSUTAYAやGEOがDVDのみの取り扱いに移行しつつある。
市場環境の変化
この節の加筆が望まれています。 |
2010年代になるとレンタルビデオに代わって物理的な記録媒体による貸し出しや返却を要さないビデオ・オン・デマンド (VOD) による動画配信サービスが普及した。このため従来のメディアによるレンタルビデオは斜陽となっている。
各地域におけるレンタルビデオ市場
北米市場
ブロックバスターは1985年に設立し、米国の大手のレンタルビデオ会社として世界17か国に従業員6万人の規模を有したが、市場の競争激化の中で経営判断を誤り2010年に倒産した[3]。ブロックバスターは1990年代に約9000店舗を展開したがNetflixなどインターネットを中心に展開する企業に押されて衰退した[4]。
ネットフリックスは1997年にレンタルビデオ会社として設立されたが、無店舗型経営でインターネットでの注文を受けて発送や返送を行う形態をとった[4]。2007年にネットフリックスは動画配信事業に参入[4]。薄型テレビやゲーム機のような様々な機器に対応したり、割安な定額制で需要を拡大した。
日本市場
2000年代にセルDVDの売価が下落して購入するユーザーが増え、レンタル業界は過当競争で貸出料金も下落した。中小のレンタルビデオ店は、廃業や大手レンタルチェーン傘下にフランチャイズ化など淘汰され、オンラインDVDレンタルも増えた。都合で一部の作品を仕入れない店舗、制作元や配給元から推薦と承認が得られた店舗だけ配給してほかの店舗は作品の出荷を拒否する[注 3]、チェーン本部が作品を配給する店舗を限定する[注 4] 、など店舗により配置がなく取り扱われない作品もある[注 5]。
日本のテレビ視聴者は欧米に比して有料放送加入率が低い。2000年代にPlayStation 2などDVD視聴デバイスは普及したが、VOD配信は、低画質でレンタルDVDよりも高額、配信作品数がサービス毎に異なる[注 6]、海外作品は字幕版中心、新作が少ない、などの難点でHuluは日本進出に失敗している。
2015年頃からNetflixの日本上陸[5]などによりVOD市場は急成長し、2019年は2404億円でレンタル市場の2倍になり、1976億円のセルビデオも上回り映像市場で首位となった[6]。2022年に有料オンライン配信は、5504億円で映像ソフト市場の過半数以上である[7]。
日本市場は業界の寡占化とともに安売り競争も加速し、総需要は減少している。2007年頃から衰退した[8]レンタルビデオの売上は、2007年の3604億円が2010年に2672億円へ縮小した[9]。2022年は572億円で2007年の2割未満まで大幅に縮小している[10]。
2022年12月のJVAレンタルシステム加盟店は2527店で、ピークの1995年12月の12454店の5分の1である[11]。
関連項目
代表的なレンタルビデオチェーン店
- ゲオ(GEO)※レンタルビデオ店舗数1033店舗[12](2022年12月現在)
- ティー・アンド・ジー(プラスゲオ)
- 文真堂書店
- カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA・蔦屋書店・ビデオ100など)※レンタルビデオ店舗数719店舗[13](2022年12月現在)
- 三洋堂書店 ※レンタルビデオ店舗数53店舗(内2店舗GEOに加盟)(2022年12月現在)
- アルゴ(ビデオ1)※レンタルビデオ店舗数16店舗(2022年12月現在)
- サンミュージック(HYPER BOOKS・SUNMUSIC)
- サンセイコーポレーション(ビデオインアメリカ)
- アリオン
- ドラマ(DORAMA)
代表的なオンラインレンタル店
- TSUTAYA DISCAS
- ぽすれん・ゲオ宅配レンタル(ゲオネットワークス)
- DMM(デジタルコマース)
関連団体
- 日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合 (CDVJ)
- 日本映像ソフト協会 (JVA)
- 日本音楽著作権協会 (JASRAC)
- 日本国際映画著作権協会 (JIMCA)
- 日本レコード協会 (RIAJ)
その他
脚注
注釈
- ^ 主にVHS。ベータマックスのレンタルについては、1988年頃に存在していたが、その後、消滅した。
- ^ レーザーディスク(LD)のレンタルについては、1993年に存在していたが普及せずに終わった。
- ^ 作品のレンタル権は発売元や販売元にはなく、作品の製作元や配給元がその権限を握っていることから、レンタルビデオ事業者1社独占で作品を出荷したり、作品の入荷を許可する店舗を決定し、出荷することが出来る。
- ^ 2012年下半期以降、主にTVドラマ・TVアニメなどテレビシリーズの新作でこのような事態が多くなってきている。
- ^ オリジナルビデオ作品において、特にOVAで取り扱いが終了した作品が相次いでいる。
- ^ 特に日本のアニメ作品。当初、Netflixで配信されていた作品が製作サイドの都合により、続編が配信されないケースがある。
出典
- ^ 村松行人 (2012年5月). “顧客満足度で勝負! レンタル市場のサバイバル(13)仕入れを革新しなければ生き残れない” (日本語). CDV-NET 連載コラム. 日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合. p. 2. 2012年9月16日閲覧。
- ^ a b 1975 - 1979 entertainment merchants association | Jennifer Lane Burnell
- ^ オリヴァー・ガスマン、カロリン・フランケンバーガー、ミハエラ・チック『ビジネスモデル・ナビゲーター』翔泳社、2016年、324頁
- ^ a b c 「週刊東洋経済 2015年4月25日号」38頁
- ^ “Netflix、日本上陸5周年--日本発オリジナル作品世界で人気、国内会員は500万人以上に”. CNET Japan (2020年9月8日). 2023年1月17日閲覧。
- ^ “映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2019”. 一般社団法人日本映像ソフト協会. 2020年6月22日閲覧。
- ^ “映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2022”. 一般社団法人日本映像ソフト協会. 2023年5月10日閲覧。
- ^ “販売用、レンタル店用、業務用別市場の推移”. 2013年2月10日閲覧。
- ^ http://biz-journal.jp/2013/03/post_1744.html
- ^ “映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2022”. 一般社団法人日本映像ソフト協会. 2023年5月10日閲覧。
- ^ https://www.jva-net.or.jp/report/joiningshop.pdf
- ^ “レンタルDVD/ブルーレイを扱うゲオ店舗情報 | DVD/CDレンタル・ゲーム販売ならGEO(ゲオ)”. geo-online.co.jp. 2021年12月19日閲覧。
- ^ “店舗検索結果”. 2021年12月19日閲覧。